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写真��2500年前の同一遺跡出土の縄文土器・弥生土器、他地域の土器
写真��最古級のトルソー土偶（相谷熊原遺跡ー11.000年前ころ）
ジパングの割引は年末29(土)から正月６日にかけては効かなくなる。そこで26日に京都・滋賀・岐阜の気になるややマイナーだが展示会を見に行くことに。
今回初めて横浜6時始発のひかり493号を試してみた。早朝の始発で登戸・武蔵小杉・菊名と乗り継いで新横浜に5時54分着、6分あれば新幹線乗り継ぎは、大丈夫と見た。少しでも電車の遅れがあれば乗り遅れるが、その時は次の「のぞみ99号」の自由席に乗り込むつもり＝新たな追加支払いは覚悟。ひかりであればジパング割引が効くので、これはよいことに気づいた。止まる駅も新横浜から小田原・静岡・名古屋・京都と少ない。名古屋・京都・大阪まではこの光が一番早く到着するので、これは良いことに気づいたー新横浜までは早朝から少々ハッスルするがーー。
京都駅に8時前に到着し、東海道線で少し戻り、大津市の瀬田駅に出る。ここからバスで文化ゾーンバス停下車、広大な図書館・美術館・埋文センター、製鉄遺跡などを含む公園の前に出る。
埋文センターでは、最新の発掘成果展と福満遺跡展がある。
センターのロビー一帯で平成以降の発掘調査の変遷のパネル展示と縄文から弥生時代の遺跡と出土品の展示を見る。中央には琵琶湖沿岸の遺跡出土の縄文丸木舟の展示がある。残りのよいものだった。
目を引いたのは縄文晩期約2500年前の遺跡から出土した縄文土器と弥生土器で同じ遺跡から両方が出ている。誰がどのように弥生文化をもたらしたのかよく分かっていないらしい。別の弥生前期に遡る遺跡でも弥生土器に供伴するのは縄文時代からの伝統的な石器で文化の継続性が見られ、けして外来者により征服されるようなものは見られない。弥生土器にしても形や作り、技法は弥生っぽくても、紋様は伝統的なものらしい。その時水田耕作をしていたかどうかも不明のようだ。弥生時代イコール水田耕作とは言えないというのが現代の考古学の主要な見解か?一方お米以外の雑穀は凸帯文期頃に遡るようだが、海人の交流説が有力か?
職員にいろいろ質問をしたが先史時代の専門家でなかったので十分な説明はなかった。
また隣のケースを見るとこの地域の遺跡からは、北陸や東海など様々な地域の土器も出土、様々な地域の人々が行きかう交流の盛んな地域であったことが分かる。
ちなみに、今回の「平成の発掘成果」展(2020年7月頃までの予定）の展示構成を見ると、
１．研究者もビックリ！滋賀県最古の竪穴住居群―東近江市相谷熊原遺跡―9千年前・縄文草創期の竪穴住居が5棟がも検出され、その大きさが数百年後の近江八幡市上出A遺跡などの住居址と比べても１．５〜２倍も大きく立派で、遊動的な生活から定住的な生活への移行期になぜこうした大きな住居を作ったのか？謎だーー列島最古級の土偶(女神像？）も出土。
2．信仰から墓へー縄文後期初頭の「埋甕」(長浜市宮司遺跡）−住居入口付近に赤ちゃんの胎盤あるいは幼くして亡くなった赤ん坊の骨などを入れたと考えられる「埋甕」風習が中部地方から伝わり、晩期中頃には「土器棺墓」のようなお墓づくりが広がる。
3．東西各地から運ばれた土器
縄文時代の遠隔地との交流の様子を示す土器ーー高島市広川佃遺跡からは、九州・四国地方の土器、近江八幡市竜ケ崎遺跡からは縄文後期中葉の東北、彦根市六反田遺跡からは、後期末の北陸・東海の土器などが出土している
４．縄文人と弥生人との出会い(既述）
５．湖岸の集落・内陸の集落・山の集落
草津市烏丸崎遺跡からは県内最古の弥生の竪穴住居が出土、壺、甕などの弥生土器と石包丁の他に、縄文伝統を引き継ぐ打製石斧を出土、弥生中期の日野町森西城遺跡では植物加工用の磨石・石皿や土堀具の打製石斧など縄文時代と同じような道具を使う生活をし、弥生時代に入っても稲作をやっていたかどうか怪しい遺跡も少なくないようだ。標高365mにある近江市百済寺遺跡では弥生時代終わり頃の竪穴住居6棟を出土、稲作を基盤としない山の生活もあった。
６．溝で囲まれた群集墳
草津市烏丸崎遺跡では弥生中期の方形周溝墓が多数発見され、供献土器、木偶なども出土、規模の大小もあることから、埋葬される人物や家族間に階層差があると考えられる？
7．縄文人のおしゃれー甲良市小川原遺跡から縄文時代通有の耳飾り「耳栓」−耳たぶの穴をあけはめ込むもので、縄文早期・前期には石のピアスが多いが、前期以降は土製のピアスが主流になるという。
8．出産や入れ墨を表す土偶
守山市赤野井浜遺跡出土の土偶や土偶型容器は縄文・弥生を通じた出産表現や入れ墨を表現したと思われる土偶が出ているー中部・東海地方に多い土偶表現という
９．日本最古の芸術
１．で紹介した東近江市相谷熊原遺跡出土の11.000年前の女神像ー1万年以上続いた縄文土偶の出発点になるような全長3.1�僉∈蚤臧�2.7�僉∈蚤膰�32.3��(胸部)、重量14.6gという小さなトルソー五体は所略され、現代芸術のトルソに通じる女性表現で縄文の土偶の歴史の出発点―列島最古の芸術作品？
10．土器芸術：縄文中期の中部地方などでは「火焔土器」や「水煙土器」など芸術的とも思える装飾性の強い土器が作られたが、西日本ではこうした装飾的な土器は珍しい。近江八幡市竜ケ崎A遺跡では東海地方から運ばれたと思われる装飾性の高い土器が出土している。
また2019年秋のミニ展示「人が暮らし、物が集う―掘り起こされた器あれこれ」展では、彦根市西今町の「福満遺跡」−縄文から鎌倉・室町時代までの複合遺跡出土の器の変遷を展示、縄文時代の河道、弥生・古墳時代住居、飛鳥時代の溝、奈良平安時代の掘立柱建物、鎌倉時代の溝などから様々な時代の器が出土、それぞれの時代の縄文土器(後期の深鉢＝約3500年前）、弥生後期(約二千年前）の器台に載せられ、蓋をした状態の「直口壺」、弥生土器の流れを汲む「土師器」や須恵器の技法を用いた「韓式系土器」、朝鮮半島から伝わった「須恵器」(古墳中期＝5世紀ころ〜平安時代まで作られた)、須恵器から発展した「施釉陶器」(唐三彩・奈良三彩・緑釉・灰釉など）の内、三彩破片や緑釉陶器数点や平安末の「山茶碗」が出土、また平安時代の近畿特有の土師器伝統を受け継ぐ「黒色土器」も出ているー素焼き器表面にすすを吸着させたもので、内面の実黒いものと内外ともに黒いものがあるようだ。
各時代の遺構・遺物の簡単な解説文のパネルやパンフレットも置いてあった。
ロビーの奥には旧東浅井郡浅井町の「東野舘古墳」の横穴式石室の実物大ジオラマが展示されていた。またロビー中央には米原市入江内湖遺跡出土の丸木舟(琵琶湖周辺最古が展示され、琵琶湖風編は千葉県に次いで多くの縄文丸木舟が出土しており、いくつかの実測図も展示されていた。
その後、この滋賀県埋文や文化財保護協会などの刊行物を少し見たり、購入して館を出て製鉄遺跡を見ようとしたが、工事で遺跡に通じる道が閉鎖され、今回はあきらめる。丘陵の子供広場で出会った人に尋ねると、龍谷大学瀬田キャンパス側の入り口から入ると行けるらしいーー今回はこの辺で時間切れ、京都に戻る。
