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2022年02月10日 20:32雪崩遭難全体に公開

あまりにも遅い「那須雪崩事故で送検から3年後の在宅起訴」

「栃木県那須町で2017年3月に登山講習中の高校山岳部員ら40人超が雪崩に巻き込まれ、県立大田原高校山岳部員ら8人が死亡した事故で、宇都宮地検は10日、訓練当日の朝に雪崩発生を予想できたにもかかわらず、安全確保のための注意義務を怠ったとして業務上過失致死傷罪で、講習会の責任者だった猪瀬修一教諭(55)ら教諭3人を在宅起訴した。

 他の2人は死亡した生徒らの班を率いた菅又久雄教諭(53)、後続の班を引率した渡辺浩典教諭(59)。事故から間もなく5年。県警が業務上過失致死傷容疑で3人を書類送検してから3年近くとなって、刑事処分が決まった。」(共同通信)

那須の雪崩遭難事件から5年、書類送検から3年目にようやく関係者の在宅起訴がなされた。
那須で起きた高校生らの雪崩死亡事故は、だれの目で見ても不可解な人災事故だった。長年春山(雪山)での訓練に携わってきた教諭が雪崩の危険を予見できないなど、ありえない話だが、実際に起きたことは目を覆いたくなるようなまずいやり方で危険な斜面に高校生たちを連れだしてしまった責任は大きい。子供を突然なくされた遺族の悲しみは想像もできない。
そればかりか、学校や教諭は自らの責任を認めず、謝罪もせず、不可抗力であるかのようにふるまい、学校側も県教育委員会も木で鼻をくくったような対応に終始した。5年間も遺族に苦痛を与え続けた関係者の責任は限りなく大きいと思われる。

 本来は検察も短期間に刑事責任の有無を判断して起訴すべきだし、遺族も早期に損害賠償責任を問う民事訴訟を起こすべきだったのではないか?遺族は学校や教諭個々人、教育委員会を信頼しすぎたように思える。当初の数か月のやり取りでこれらの人々は自らの責任を認めようとする意思のないことは明らかだった。検察もぐずぐずしていたため、私は法律の専門家ではないが、民事訴訟を起こすしか真実を明らかにする方法はないと思われた。

5年間はあまりに長い。その間の遺族の苦しみ、怒りの増幅はすさまじいだろうと感じざるを得ない。そんな苦しみを増幅させる前に早く民事訴訟を起こすべきでなかったのか――素人の私はそんな感想を抱くのだが――登山関係者、法律家、あるいは世間はどのような感想を持っているのだろうか?

以下は、この間の下野新聞などの関連記事を集めたもの。引用してよいかどうかわからないがーーこの間、私の知らない多くのことが起こっていたことを知りました



下野新聞によれば
「栃木県那須町の国有林で2017年3月、登山講習会中だった大田原高の生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故で、宇都宮地検は10日、業務上過失致死傷罪で講習会の責任者だった事故当時の県高校体育連盟(高体連)登山専門部専門委員長ら男性教諭3人を在宅起訴した。事故発生から5年近くが経過する中、引率教諭の刑事責任の有無や事故原因が公開の法廷で審理されることになった。

 3人は事故当時の委員長で講習会責任者だった教諭(55)、副委員長で亡くなった8人がいた班を引率していた教諭(53)、前任の委員長で別の班を引率していた教諭(59)。県警が19年3月に同容疑で3人を書類送検していた。

 3人は17年3月27日朝、前日からの降雪などで雪崩の危険性が高まっていると予見できたのに、訓練中止や安全な行動範囲を定めるといった危険回避義務を怠り、那須町湯本のスキー場周辺斜面で漫然と雪上歩行訓練を行い、雪崩に巻き込まれた8人を死亡させ、生徒5人に重軽傷を負わせた疑いが持たれていた。

 事故を巡っては、県教委による第三者検証委員会が最終報告書で、県高体連登山専門部の「危機管理意識の欠如」が最大の事故要因と指摘。県教委は教諭3人を停職の懲戒処分とした。亡くなった8人のうち5人の遺族は今月2日、県や県高体連、男性教諭3人に対し損害賠償を求めて民事提訴していた。」

「 栃木県那須町で2017年3月、大田原高の生徒7人と教諭1人が亡くなった雪崩事故で、一部の遺族は2日、事故が起きた講習会の責任者だった3教諭や県高校体育連盟(県高体連)、県へ損害賠償を求めて宇都宮地裁に提訴した。

那須雪崩事故の一部遺族が県など提訴へ 民事調停が不成立
 原告は、亡くなった生徒4人と教諭1人の計5遺族。訴状によると、事故は17年3月27日朝、那須町湯本の国有林で発生。8人が死亡したほか、生徒40人が負傷した。

 遺族側は、3教諭が降雪にも関わらず雪崩の危険を意識せず、安全性を検討しないまま予定に無かった雪上歩行訓練をさせたことなどから、「無謀で不用意な危険登山で、明らかな人災」として個人に過失があると主張した。

 県高体連には、高校生の冬山登山を原則禁止するよう求めた国からの通達違反などがあったとし、県には国家賠償法の責任があるとして、被告側に連帯して計約3億8500万円の損害賠償を求めた。

 事故を巡っては、県警が19年3月、3教諭を業務上過失致死傷の疑いで書類送検した。一部の遺族は3教諭との話し合いや謝罪などを求めて民事調停を申し立てたが、1月24日に不成立となった。」(下野新聞soonニュース)

「【那須雪崩事故】「話し合いがしたかった」 調停不成立に遺族側落胆 事故は「人災」教訓残す
1/25 5:00 那須雪崩、8人死亡

「 那須雪崩事故で、遺族が栃木県(県教委)などに真摯(しんし)な謝罪などを求めて申し立てた民事調停。引率した3教諭の責任を重視する遺族側と、「教諭個人の責任ではない」とする県側の主張の溝は埋まらなかった。24日の協議後、「和解すれば『事故は自然災害』との間違った教訓が後世に残ってしまう」として、宇都宮地裁に損害賠償訴訟を提起する方針を固めた遺族側。「事故が(3教諭による)人災だと明確にしたい」と次を見据えた。

那須雪崩事故の一部遺族が県など提訴へ 民事調停が不成立
 「私たちは話し合いをしたかったのです。でも県側には話し合う態度がみじんもなかった」。長男公輝(まさき)さん=当時(16)=を亡くした奥勝(おくまさる)さん(50)は報道陣の取材に対し、無念さをにじませた。

 遺族側は2020年3月、「歩み寄るための話し合いがしたい」と民事調停を申し立てた。求めていた3教諭の出席が実現しなかったため、昨年9月には、県が支払う損害賠償金を3教諭に負担させる「求償権」の行使を内容とした和解案を提示した。3教諭に責任があると認めさせることが目的だった。

 一方、県側は事故を3教諭個人ではなく、組織全体の責任とする立場で、和解案には応じなかった。奥さんは「県側の主張は一歩も動かなかった」と肩を落とした。

 調停開始から2年近くが経過し、8回の協議を重ねてきた。事故で亡くなった大田原校山岳部第3顧問毛塚優甫(けつかゆうすけ)さん=当時(29)=の父辰幸(たつゆき)さん(69)は「何も進まなかった。すごく悲しい」と嘆いた。

 「息子は県側と争うことを望んでいると思えない」と想像し調停に臨んできたが、要望や和解に応じない県側の姿勢に怒りが募った。「真摯(しんし)に対応するとしながら、遺族側の主張はかたくなに無視してきた。県は二枚舌だ。私たちの願いが軽くあしらわれてしまった」

 提訴後は改めて、3教諭の責任の所在などを明らかにしていく考えだ。奥さんは「雪崩発生の危険が高い斜面までの歩行訓練を強行し、8人の命を奪った。県側は事故を部活動中の自然災害と認識しているが、人災だったと明らかにしたい」と声を震わせた」

那須雪崩事故の一部遺族が県など提訴へ 民事調停が不成立
1/25 9:00
那須雪崩、8人死亡


「 那須町で2017年3月に大田原高生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故で、遺族の一部が栃木県(県教委)などに事故の責任を認めて謝罪するよう求めた民事調停の第8回協議が24日、宇都宮簡裁で開かれ、解決のめどが立たないとして調停は不成立に終わった。事故が起きた講習会の責任者だった3教諭の責任の在り方などを巡り、最後まで折り合わなかった。

【那須雪崩事故】「話し合いがしたかった」 調停不成立に遺族側落胆 事故は「人災」教訓残す
 これを受け、一部の遺族が2月2日にも損害賠償を求めて県などを提訴する方針を固めた。

 遺族側によると、24日の協議では、調停委員が遺族側の提案した和解案に対する県側の回答を再度求めた。県側は「結論は変わらない」と応じなかった。

 民事調停は20年3月、事故で亡くなった8人のうち6人の遺族が申し立てた。遺族側は、事故発生の責任を明確に求めた上での真摯(しんし)な謝罪を求めてきた。県側は県としての賠償責任を認めたが、「引率した教員個人の責任ではない」と主張。遺族側が求めた3教諭の出席もなかった。

 協議後、遺族側の代理人弁護団は報道陣の取材に対して「事故は人災以外の何物でもない。県は(遺族側の)申立書の主張に対して認否もせず不誠実な対応を繰り返した」と強調。調停を申し立てた6組の遺族のうち5組は、民事訴訟の場で謝罪などを求める考えだ。

 福田知事は「損害賠償の提示や再発防止策の策定など真摯に対応してきたが、調停が不調に終わったことは残念に思う」などとコメントを出した。」(下野新聞soonニュース)
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コメント

全く同感ですが、ご遺族のお気持ちを考えると 、複雑な思いがします。なぜ本部(温泉旅館?)を40分だったか、離れた所に設けて、通報連絡が遅れたのかなどなど疑問だらけです。阿部幹雄氏の著書でしか見ておりませんが、同じ山岳仲間たちが口を閉ざすのも、姑息な教育委員会(界)からの無言?の圧力でしょうね。せめて残された彼らだけは素直に成人して、そういう色に染まらないで、社会に貢献していただきたい。
私事、息子が小学生の頃、子供会行事で腕に中程度のヤケド(今でもケロイドが残る)を負いました。原因はハッキリしていました。治療はすべて自費(保険)で、付き添いなどもすべて当方です。その後、高校進学時に引っ越したのち、なんと県教育委員会は、10年後(時効を待って?)に示談の書類を持って引っ越し先へ、和解に同意して欲しいと言ってきました。あきれてモノが言えなかった記憶があります。何処の都道府県も似たようなものでしょうか?
2022/2/11 11:28
4080takaさん、コメントありがとうございます。関係者が口を閉ざしているのでよくわかりませんが、一般に文科省が冬山登山を禁止している、ということから、雪山訓練は「雪崩の起きない安全な場所と時期で行っている、という題目を掲げているということでしょうか?

そのために雪山気象、地形、雪崩などに関する基礎講習も、事前の地形や気象、雪崩(弱層チェックなど)をどの程度調べ、教えていたのか、わかりませんが、危険はないという前提なのでこうしたことはおそらく講習の中には入っていないかもしれません。氷雪学会の解説はなかなか素人では理解しにくいですが、ヤマレコでは気象予報士の雪崩リスク回避法のページがありました。
https://www.yamareco.com/modules/yamanote/detail.php?nid=1430

高校山岳関係者の間で講習の在り方がどの程度見直されたのか、これまでの在り方をどう改めるのか?多少の対策はあるようですが、納得できるようなものには程遠い気がします。栃木県教育委員会は以下のような取り組みを行うとしていますが、おそらくコロナで実施困難な状況でしょうか?

逃げずにきちんと事故に向き合っていただいきたいものですね。
https://www.pref.tochigi.lg.jp/kyouiku/kyouikugyousei/kyouikuiinkai/documents/torikumi_1.pdf
2022/2/13 10:29
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