予定では赤ぼっこなど青梅を歩くつもりだったが、このところ連日のように出掛けたので少し疲れを感じ、早朝三時過ぎに起きるのが辛かったので来週に伸ばして今日は休養日とした。７時前に起き出して朝食を準備して家族に食べさせ、午前中は12月の熊本県有明海の玉名市や沖縄の予定を再検討し、その他の予定を見直すなどして過ごす。このところお休みしていた群馬県や新潟県の博物館などの予定をチェック、村上市で大量の人骨出土状況を知り、早速何度目かのの見学会の予定を組む。次の日曜日なので、急いでレンタカーの手配、何とか間に合った。今回は村上市内ではなく人骨調査を行っている新潟医療福祉大学で行われる。そのついでに今年ほとんど足を運ばなかった県埋蔵文化財センターや新潟市の古津八幡山弥生の丘展示館や文化財センターにも立ち寄るつもり。午後からはある考古サークルで中央アジアの仏教写本、スコイエン.コレクションなどの原始古代仏教写本、仏教学ー文献学の話をスコイエンコレクションの欧米の研究チームに参加されてきた佛教大学の松田先生から聞く。
近代仏教学というのは、ギリシャローマなどの古典文献学研究と同様に欧米社会がスリランカや中央アジアなどで発見された原始古代仏教写本、経典断片など、様々な古代語で椰子の葉、樹皮などに残された経典断片をつなぎ合わせ、解読し、原始古代仏教の姿を明らかにしようとする文献学研究だ。この学問は明治時代の日本の僧侶、仏教研究者に衝撃を与え、日本も大谷隊などの中央アジア調査を開始してこの流れに参画していった。言語学的には従来のパーリ語、サンスクリット語経典に加えて、椰子の葉や、木の皮に残された経典断片、カロシュティ語、ギリシャ語、クシャーナ文字などの古代語断片を含め、古代印欧語や中央アジア、アラム語系やインド語系の諸語でさまざまな断片が残されており、それがまだまだ今後も出てくることが期待されている。こうした中で、例えば大乗仏教と呼ばれる宗派がいつどこで生まれたのか、近年の研究では、経典や関連の文書は、古代インドの紀元一世紀以降のものが出ているが、古代インド僧院や在家者社会で大乗仏教的な言説は存在するが、それを実践する宗派や教団は成立していないということらしい。アショーカ王のクシャン朝時代の仏教と関係すると思われる石碑でギリシャ語で書かれたものはアレキサンダー以降のものでその当時はまだ仏教はほとんど知られていなかったこと、大乗仏教の成立過程はまだ殆どわかっていないことなど、またヘレニズム時代にギリシャ語で残されたミランダ王の問いなどについて話が及んだ。世界の仏教学の最前線の話を聞く貴重な機会だった。なお松田先生は日本に多い僧侶、仏教徒の研究者でなく、宗派信仰と無関係の珍しい研究者でその強みを発揮できる研究者であるが、大学を退かれ、スコイエンコレクション解読、編纂の仕事を教え子の韓国人に任せ、自由な立場で老後の研究生活を送られているそうだ。
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11月22日(水)赤ぼっこは延期して、古代仏教写本の話を聞く
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