11月３日(日)「律令国家成立前夜」③大化の改新と地方社会

2024年11月04日 07:15博物館、展示会、美術館など全体に公開

11月３日(日)「律令国家成立前夜」③大化の改新と地方社会

先に挙げた西野原遺跡からは、七世紀後半の製鉄炉である箱形炉遺構など、砂鉄を原料とする鉄生産と鉄製品製作を行った遺跡で鍛冶関連も含め34トンもの鉄生産関連遺物が出土した大規模製鉄遺跡だった。大化の改新(645年)以降の天皇中心の中央集権的な国家作りを目指す政府による地方政策の一端を窺うことができる。地方制度として中国の郡県制を真似た評制度を導入、評(こおり)に関しては様々な検討がなされるが確実な評の証拠となる遺跡の確認はまだ多くないが、木簡や、刻書土器などを含め、様々な証拠となる遺跡、遺物がでてきている。群馬県域では、安中市の植松、地尻遺跡、藤岡市滝前F遺跡、前橋市山王廃寺下層遺跡、太田市天良、新田小金井間違えての天良、七堂遺跡、伊勢崎市上植木本町の三軒屋遺跡などが挙げられている。
　飛鳥宮、藤原京、宮遺跡から発見された木簡で「碓日評」(律令制下の碓氷郡)、「車評」(同群馬郡)、「佐為評」(佐位郡)、「大荒城評」(邑楽郡)と書かれたものが発見された。また、安中市植松、地尻遺跡からは「評」と刻まれた須恵器坏蓋と、藤岡市滝前F遺跡出土した「評首」と刻まれた硯ーいずれも七世紀後半の資料で評の存在を示すものだ。実態がよくつかめないこの時期の評のあり方を解明する手がかりがある。
　山王廃寺下層遺跡の掘立柱建物や総柱建物などは、豪族居館説、屯倉説の他、車評説も立てられている。
　太田市天良、七堂遺跡は、律令時代の新田郡家に比定され、そのうち二万八千平米が国史跡に指定された。この遺跡からはそれ以前の七世紀後半の新田郡家以前の遺跡も発見され、そのうち七世紀後半の掘立柱建物が複数存在し、方位が一定していない点も郡家以前の評時代に当てはまるという見方もある。
　また伊勢崎市上植木本町の三軒屋遺跡は、律令時代の佐位郡家に比定され、そのうち九万一千平米が国史跡指定されている。そのうち八角形の総柱建物が、「上野国交替実録帳」に記載されている「八面甲倉」と考えられ、文献記録が考古学調査で確認されたまれな例として話題を集めた。

2024-11-04 11月３日(日)律令国家成立前

2024-11-04 「律令国家成立前夜」４官道整備

お気に入りした人

人

拍手で応援

拍手した人

拍手

訪問者数：54人