11月23日(土)「加曽利E式土器」シンポジウム

2024年11月24日 07:39講演会・研究会全体に公開

特別史跡　加曽利貝塚博物館と千葉市主催の加曽利E式土器に関するシンポジウム、この土器型式をめぐる専門家による報告と討論、素人も聴講できるとはいうものの、議論は専門的な内容で素人がついていくのは難しいのは初めから分かってはいる。しかしさすがについていくのはきびしい。
　私にとっては何よりこの土器型式を最初に提唱し、土器編年体系を最初に完成させた山内清男をめぐる様々な研究者と格闘の学史と土器形式の問題を学べたことだ。山内が日本最大の貝塚と見られた加曽利貝塚の最初の学術的な発掘調査を行ったのが1926年、今から百年前、今年が百年目に同博物館では2018年から七年間、加曽利E式土器に関する各時期、県内各地域の加曽利E式に関する展示を繰り返し開催し、今回の同博物館の総括天理とシンポジウムの開催となった
　百年前の調査の後に東北帝大に移った山内は大木囲貝塚の発掘調査により、出土した土器の型式を10形式に分け、それと加曽利貝塚の土器と比較した。大木の８a型式が加曽利Eとの並行関係に気付き、列島縄文土器の、全国編年への手がかりを得た。当時は土器形式の違いを部族、民族の違いと見る学者と山内のように時間差と見る研究者にわかれていたが、加曽利貝塚の発掘調査により、層位的に上の層に薄手土器、下の層に厚手土器がでて、時間差があることが明白になった。しかし加曽利E式土器自体の変遷、編年に関してはまだ課題が多かった。当時は発掘調査も少数精鋭でわずかな土地面積を掘るだけであり、A.B.C.D.Eの五地点を調査しただけなので出土資料には限界がある。それ以降加曽利E式土器は、４つの型式に分けられたが、その内容を、弟子の芹沢長介やその弟子の岡本勇らによる誤解が生じ、混乱を招くことになったようだ。その主な理由は山内がE式土器を設定した資料や根拠を詳細に示さなかったことによるが、出土資料がまだ少なかったたので、山内も慎重だったらしい。戦後になって1970年代以降、高度成長とバブル時に急速かつ全国的に発掘調査が増加し、出土資料が激増したことから、編年研究も急速に進んでいった。1960年代に松戸市中峠遺跡出土資料が注目され、勝坂とも阿玉台とも加曽利ともわからない土器が加曽利E式土器の出現に関わる土器であると考えられた。阿玉台や勝坂の要素と後に加曽利で出てくる要素を併せ持った土器であると考えかれた。しかし事は単純でなく、いまだに未解明の問題を残しているようだ。本シンポジウムのコーディネーターの中央大学の小林謙一氏は、土器形式に関わる縄文人の遺跡の形成や住居、炉よ形成と廃絶のプロセスを問題として、土器が製作されてから廃棄される過程と住居の変遷関係を詳細に把握し、かつ炭素年代の精密測定を繰返し、縄文人が生きた時間の視点から土器形式がどう見えるのかを検討し、後の発表者の黒尾和久氏らの新地平編年という土器形式とと実年代を十年刻みで把握する新たな視点を提案した。
　また、同じ時期の北関東ー茨城県、栃木県エリアでは、東北の大木式などの外の文化の影響が強く、同じ関東でも東西南北でかなりの違いがあることは明白だった。土器編年に終わりはなく永遠の課題と考える研究者が多いようだ。

2024-11-24 11月22日（金）はにわ展（東

2024-11-24 11月24日(日)「加曽利E式

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