映画「阿賀に生きる」5月1日

2013年05月03日 18:50映画全体に公開

今年の連休前後は山よりも映画中心になってしまった。「阿賀に生きる」は1992年、21年前に完成した名作で、新潟水俣病の未認定患者を多数抱える阿賀野川流域に生きる人々の姿を淡々と映し出す手法は感動的で多くの内外の賞を獲得した。　

　この手法はおそらくその後の日本の記録映画界に大きな影響を与えたのではないかと思われ、たとえば先日見た本橋成一監督のチェルノブイリに関する2作にもその影響を見ることができる。

　実は、昨年秋、初めてこの地域を訪問し、御神楽岳（電車途中不通で未登頂）と御前ヶ遊窟（ミスコースでルートでない岩稜に出て苦戦するも何とか登頂）を歩いたときに、「阿賀町」という存在を知った。その阿賀町が、この映画の主人公である新潟水俣病を引き起こした昭和電工の鹿瀬（かせ）工場のあった阿賀町の鹿瀬であることは、当時全く気がつかなかった。もしかしてあの阿賀町かとようやく気がつき、映画を見ながら、昨秋歩いた地域と、この映画の撮影場所を確認しながら鑑賞した。

　鹿瀬とは昨秋歩いた御神楽岳の岩尾根入口になる津川駅のひとつ先（会津寄り）で、新潟水俣病はこの鹿瀬工場から下流の町村で起こった問題といえる。単なる旅行者には全く見えなかった世界だが、会社が撤退しても、いまだに上流から水銀が流れ出すらしく、その影響は容易に消えそうもない。山間の棚田を耕してお米を作る人々、阿賀野川で船を操り、漁業にいそしむ人々、その船を造る船大工、それぞれの世界に生きる人々だが、水銀中毒で手足が震えるなど、作業をするのも大変困難を抱える。この映画完成後、高齢だった村人の多くは次々と向こう側の人となった。そして佐藤監督ご自身も2007年、他界されている。かつて環境問題を学んでいた身としては、新潟水俣病に関して、表面的な理解しかなかったということを残念に思い、この映画を観てよかったと思う。さらに日本の記録映画の達成を感じ取ることができ、またこの山域の旅の意味が大きく広がったことに感謝したい。

2013-05-03 映画「日本国憲法」「ベアテの贈

2013-05-03 5月連休後半、たけのこ狩りに参

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