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モルディブは長い間、英国領だったが、独立。近年までは独裁者による抑圧的な統治が行われ、反対者を投獄、拷問という過酷な人権侵害が行われていたことは知らなかった。この独裁者に抵抗し、自由と民主主義を取り戻すために立ち上がった人々の中に、現大統領のナシードがいた。何度も投獄され、拷問も受けた。命の危険を感じて英国に亡命し、海外から人権問題、モルデブ民主化支援を訴えた。
拷問死の息子のことで一人の母親が立ち上がり、遺体を公開し、拷問の実態を訴えたことで多くの島々で抗議活動が盛り上がり、ナシードも帰国して,闘った。その結果、国際世論の後押しもあって、初めての選挙が行われることになった。そしてナシードが予想を裏切って大統領に。しかしナシード大統領を待っていたのは、海面上昇で海岸線の浸食の進む島の姿。これ以上の海面上昇はモルディブの死を意味するとして、国際社会に働きかける大統領の活動が始まった。デンマークのコペンハーゲンで開催されたCOP15で、削減義務化に反発するインド、中国などのリーダーらとも話し合い、最後には法的義務化はできなかったが、削減に関する合意をかろうじて勝ち取ったーー。
しかしこの映画の完成後、昨年にクーデターが起こり、大統領は辞任ーー温暖化との戦いは安定した政治情勢がないと不可能というナシードの言葉が胸を刺す。来月7日には選挙が再びあり、ナシードも立候補するらしい。その結果が気がかりだ。
上映後、湯川れい子さんのトークがあり、高齢でもなお活動する湯川さんの若々しさに驚いた。温暖化、地球サミット、原発などに関する芸能界、音楽業界の対応に関する裏話はさもありなんという感じ。日本ではこれまで、早見優(地球サミットに湯川さんらと参加)、原発では斉藤和義、坂本龍一、忌野清志郎らがなんらかの表現をしてきたが、日本では一人の歌手などを育てるのに多くの企業を巻き込む組織的な努力をしているので、アーチスト一人が何かを決めることはほぼ不可能というのが実態という。欧米ではアーチスト個人の力が強く、そこにぼっきんぐエージェンシーや弁護士、その他の多くの関係者が協力してビジネスをしているが日本では組織で動いており、個人の意思は届かないという。−−ちなみに、今回の映画の音楽は英国のRdioheadが協力しているーー
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