案内の口上は、
「空を飛び、舞い踊る天人は「飛天」と呼ばれ、インドで誕生して以来、優美で華麗な姿で人々を魅了し続けてきました。本展覧会では、地域・時代を超えて展開 した飛天の姿を、彫刻・絵画・工芸の作品によってたどります。中でも、京都・平等院鳳凰堂の修理落慶に先立ち、堂内の国宝 《雲中供養菩薩像》を特別に公開 いたします。さらに、国宝 《阿弥陀如来坐像光背飛天》を寺外初公開し、鳳凰堂内の絵画・工芸表現とともに、平安時代の飛天舞う浄土空間を立体的に展示いたします。屈指の名品を間近に鑑賞できるたいへん貴重な機会をお見逃しなく。」
まず、この飛天を含め、あらゆる仏像のもとであるガンダーラ(現パキスタン)の仏様。ヘレニズムの強い影響を受け、仏様もややギリシア彫刻風、ここで登場した「飛天」は天使、キューピッド風で、羽が生えている。次に中央アジア、西域から中国を経ると、神仙思想の影響も現れ、天女(仙人・仙女)風になる。
日本の飛天は法隆寺金堂の壁画の飛天と西の間の天蓋の飛天だ。さらに鎌倉時代の曼陀羅や浄土図などの飛天は、中国から10年ごとに新しいものが入ってきて、その影響の後、変化がみられるという。
最後に今回の目玉である平等院鳳凰堂の改修に当たって借り受けた宝物、なかでも本尊の阿弥陀如来像そのものこそ、なかったが、その光背飛天(国宝)、さらに雲中供養菩薩像(国宝)、全52体中、12体が展示されている。これは阿弥陀如来坐像の周囲の壁の上に掛けてある浮彫の飛天像だ。この国宝は今回初めて壁から取り外され、寺の外に出たのだった。大半は薄くとも立体感のあるレリーフで大きなもの二体は雲が1mもあり、厚みもかなりある丸彫りになっている。それ以外は浮彫だ。間近で見るとこの時代(1053年ころ)の仏像の手本と称賛された仏師定朝とその弟子たちの技量の高さには目を見張るものがある。快慶・運慶に先立つこと150年だ。これらの国宝を目の前で見ることができる、それもすばらしい展示環境、ライティングの中でーーこんなに幸せなことはないーーまだ来年1月13日まで会期があるので、仏像や美術に関心のある人は是非お見逃しなく!また解説会や音声ガイド(イヤフォーン)もある。また同美術館HPにもハイライトの図像が出ている。
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