元々紙芝居を電光投影式にした簡単な道具だったが、進化した機械はスライド・プロジェクターと呼ばれた。
初期の幻灯 (magic lantern) は、ガラス板に描いた絵や陽画フィルムあるいは絵画・写真・実物などに強い光をあて、その透過光または反射光を凸レンズによって拡大映写した。
幻灯の光源には高輝度白熱電球が使われ、使用中の機械に触れれば火傷する程の熱さであった。
スライド・プロジェクターは、枠でマウントされた陽画フィルム専用の機械で高性能だったが、使用中に高熱を帯びる点は同じだった。
暗い中で機械を操作するので、よく火傷したものである。
単独行の時代にリバーサル・カラーフィルムによる高山植物の写真撮影に嵌り、撮影機材を担いで野山を歩き回った。
銀塩カメラと低感度カラーフィルムでの花の近接撮影は、現代の新型デジカメによる撮影に比べて、著しく不便で手間暇が掛った。
マクロレンズが無いので、50ミリの標準レンズに近接撮影用のアタッチメント・レンズを装着して対応した。
ピント合わせは60〜30センチ用、30〜15センチ用、15〜8センチ用の3種類のアタッチメント・レンズを付け替える。
フィルム感度は初期には ASA 25 だったが、しばらくして ASA 50 に高感度化された。
高感度化されてもスローシャッターを必要とする領域なので、カメラを頑丈な三脚に固定していた。
それでも光量が不足しがちなので、携帯用の銀レフを常に持参していた。
以前、その撮影の山歩きを「花の山旅」として日記に書いていたことを、思い出した。
http://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-37093
現在の多くの山行記録に掲載されるデジタル撮影の花の写真に比べれば、見劣りも否めないが、当時はスクリーン上に拡大投影された花の姿を美しいと思ったものである。
職場の同僚たちに写真暗室で披露したことから評判になり、若い女性からのスライド・フィルムとプロジェクターの貸し出し要請が連続した。
写真暗室は、昼休みに男性たちが8ミリのブルーフィルム(死語)を観ているとの悪い風評で、若い女性たちが近付かなかったのである。
若い女性の中には、花見たさに山に登り始めた人も居たが、果たして小さく質素な高山植物の花の姿に如何思っただろうか。
近頃のデジタルカメラで近接撮影された高山の花を、大型液晶モニターに表示すると息を呑む美しさである。
銀塩の昔もデジタルの現代も、高山植物の「花影 幻灯」は肉眼視に劣ることなく美しいと思う。ainakaren
20年前にヒマラヤで死んだ山仲間の遺稿集を、ようやく奥さまが作れるようになり、先月、遺品のポジフィルムを何百枚も、幻灯機にかけて映写会をやりました。写真に写る背景の山の形を見て、いつのどこの山行か判別するためです。懐かしの幻灯機。大学に勤める仲間が職場の倉庫から発掘してきて久しぶりにがちゃんこがちゃんこまわしながら見ました。昔はこうやって、みんなで集まってみましたね。
山あてクイズはほとんどわかりました。若い時に見た北海道の山なみは、忘れません。
ASA50は、雪山ではいいけど、沢の中ではぶれ放題でしたが、それがまた味わい深いです。
yoneyamaさん、こんばんは。
コメント深謝です。
作動する幻灯機、未だありましたか。
今ではアンティーク貴重品ですね。
白熱球が切れると、入手が難しいですよ。
リバーサルは ASA 50 になってもラチュードが狭く、光量が少ないと難しかったですね。
手ブレは三脚で防げましたが、花の風ブレは困り者で随分フィルムを無駄にしました。
現像されて手元に戻るまで、失敗が判りませんでしたからね。
幻灯会とかレコード・コンサートとか、ただテレビを観るだけにも人が大勢集まった昭和の一時代がありましたねぇ。
紙芝居も懐かしいなぁ〜。ren
レンさん、ご無沙汰しています。
私も昔はよくリバーサルフィルムを使っていました。理由としては、レンさんのようにきれいな写真を撮りたいから、ではありませんでした。
ネガフィルムで撮ると、プリントしなければどのように写っているか分からないため、プリント代がかかるという理由です。リバーサルフィルムだと現像代だけで、取りあえずライトボックスを使って拡大鏡で写り方を確認でき、どうしてもプリントしたい部分だけ、1枚当たりのプリント代は多少割高になっても、結果的には費用が安く済みました。当時は山の費用を捻出するため、いつもぎりぎりの生活でした。
若い時は写真が無くても憶えておけばいいや、と思っていましたが、年齢を重ねると、あの時写真を撮っておけばよかったなと思う事もあります。
ankotaさん、こんばんは。
コメント深謝です。
カラーにリバーサル・フィルムだけしか無い頃は、アンスコ社の輸入プラ印画紙で焼き付け、高価でしたね。
後年、カラーネガ・フィルムが発売され、それが進化してオレンジ色ベースになる頃には紙プリント代金も安くなりました。
それでもデジカメ撮影と違い、シャッターを切る前に試行錯誤を重ね慎重でしたね。
今は気軽に無闇矢鱈にシャッターを切るから、ロクな写真も写りません。
困りものです。 ren
おはようございます。
リバーサルフイルムとデジタルの写り具合
見た感じでは、リバーサルフイルムの方が
奥行き感が在る感じに思えますね!
でも・・
銀塩写真時代の写真を撮影する時と
現代のデジタルでの撮影する時と
撮影に対しての・・モラル・・が
落ちていますね
銀塩写真の時は、撮影が終わって・・
後ろで待っている方が居れば 即場所を
譲りますが、現在は殆ど皆無に近い状態
デジタルの時代でもそうして貰いたいです。
umetyanさん、こんにちは。
コメント深謝です。
確かにそうですね。
リバーサルフィルムは、色調に深味があります。
経年変化で色褪せがありますが、紙焼き写真よりは長持ちしますね。
撮影モラルに銀塩とデジタルで差があるとすれば、多分撮影回数が懐に響くか響かないかで差が出るのでしょうか?
シャッター回数=お金の額〜だと自分の撮影回数を制限するが、タダなら粘って何度でも撮影し続けると言うことでしょうか?
そういうの撮影モラルのデジタル・リスクとでも言うんですかね。
でも無闇に矢鱈滅多シャッター切っても、ロクな写真は撮れませんよねぇ〜ren
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する