![]() |
加齢による衰えが最近になって急に進行したとは思わない。
40代に達した頃から徐々に進行していた身体能力の低下が、自分自身にもはっきり認識できるまでに進行したに過ぎない。
瞬発力や筋力の低下は大分以前から認識していた。
自転車やスキー、そしてクライミングや歩行まで身体が覚えているから、長いブランクがあっても再開すればすぐにできると思うのは錯覚に過ぎない。
憶えているのは脳の記憶だけで、身体にはそんな能力はそのまま残ってはいないのだ。
登攀を引退してから10年程は現役時代にゲレンデだった一ノ倉にも入ることがなかったが、懐かしさと相棒の遭難現場の再確認に、無雪期にフリーソロで二ルンゼ からザッテルを越えでBルンゼからオキの耳近くの国境稜線に抜けたことがあった。
小さな花束を用意して遭難現場に置いたが、相棒が亡くなったのは遠く離れた高崎の病院で事故から何日も過ぎてからだ。
事故の数分後には意識を失っていたとの事だから、其処に花を置くのも供養だと思った。
そのせいとは思わぬが、帰途に西黒尾根の下りで転倒して大怪我をした。
以前に通い慣れた道で、脳の記憶の通り身体を動かした積りだったが身体が付いて来なかったのだ。
何とか自力で下山したが、そのとき思ったのは、躓いたり、滑ったり、よろめいたりが即命取りになるような山登りはもう止めようということだった。
相棒はフリーで後輩と喋りながら歩いていて躓いて転倒したことを改めて思い出したのだ。
それから40年も一ノ倉に入っていないし、今後入ることもない。
近年、無雪期に単独フリーで核心部から国境稜線まで辿れるルートが他にもあるという噂はあるが、二ルンゼ、ザッテル越え以外のルートは私には想像もつかない。
その唯一のルートでも、フリーソロで転倒すれば100パーセント アウトだ。
全ての山男に40歳を過ぎたならハード登攀から引退して後輩に道を譲り、ソフトな山歩きに転向することをお薦めしたい。
山と登攀が生業となっている職業登山家、冒険家には転向が難しいのだろうか。
そうした人達も知らず知らずに技量も身体能力も低下するから、いつかは事故になる。
著名な登山家の、死亡原因の殆んどが遭難死という事実は悲しい。
私が日記にこんな事を書くのは、一人でも多くの人に山の想い出を哀しみのない楽しい記憶にして頂きたいからだ。
楽しい山の想い出こそが、その人の生涯の宝となるからだ。 相仲 廉(ainakaren)
ainakarenさんの言っている意味は良くわかりますよ、
年齢ではなく結婚したらハードな山はヤメるべきだと思いますね、
奥さんや子供達を心配させたり泣かすような山行は控えるべきだと思います、
今までもどれ程の著名なクライマーが亡くなっていったことか、
直接話しはしなかったですが、何回かお会いした著名な人もやはり最後は山で亡くなっています、
前にも書きましたが現役の頃のリーダーはトレーニングをしながら70半ばでまだ頑張って登っていますが、
それでも若かった時のような困難を求めての岩登りはしていないようです、
naiden46さん、こんにちは。
登山家が著名になるには、それなりの実績が条件ですから年月が必要です。
名高くなる頃には中年ですが、益々困難な登攀を望み、次第に技量的にも体力的にも難しい登攀を追及します。
技量と体力は年々落ちていきますが、自分でそれをなかなか認めません。
年々高くなる難度レベルと、年々落ちていく技量と体力の交差するところが危険なのです。
その認識を欠いたまま続けることが危険なのです。
若いときから天才的な登山家程危なくて、中年になってからクライミングに入門した人は却って安心なのです。
脳の記憶が身体能力と技量の実態に近いからです。ren
こんにちは。
仰るとうりです。自分では足を上げてるつもりでも、
実際は殆んど上がっていず、何でも無いような処で蹴躓いたりします。
怖いのは歩いている事を、忘れて歩いている時ですね。
危険の認識度は昔のままで、体の方は現在と言うギャップの大きさが危険度を示すバロメータに成ると思います。 どこで線を引くか凡人故、いつも悩んでいます。
yamakatoさん、こんにちは。
私が西黒尾根で転倒し大怪我をした時の年齢は40歳には未だ届かぬ30代半ばでした。
今とは比較にならない若さで既に脳の記憶より身体能力が落ちていたのです。
ボルタリングをしている人たちを下で見学していると、脳の記憶で見ていますから、じれったいことこの上ないことがあります。
あんなに簡単なところで何故手こずるのかと思ってしまうのですが、たぶん自分が登れば全く歯が立たないと思います。
老化とはそうしたもので40歳位から、自分では気付かぬまま進行します。
寂しいですね。 相仲
renさん、こんばんは。
自分がまず最初に思い出したのは、日登代表のY氏が以前に読んだことがあると言われた話で、メスナーが数人のクライマーと食事をしているときに、1人がスプンを落としたそうです。するとメスナーが「君はそんな注意散漫なことでは山では生きていけない」と言われたそうです。Y氏もスプンを落としてもいけないのか〜と、当時とても感銘を受けたそうです。
そして今ピーク時の60パーセントの力しかないから、65パーセントの山には絶対に行かないと言っています。婦人と幾つになっても小さな山に登っていたいと、どこかに書かれていたのが印象的です。今ヒマラヤの1400m位の壁に夫人と遠征に行ってます。もう下りたかな?
現代はクライミングの技術も進化し細分化され、かなり細かいグレード分けをされているので、自分の力量は歴然と分かります。トレーニングを怠るとそのレベルはあっというまに落ちてしまいます。
クライミンググレード比較表
http://homepage.mac.com/miesark/yamabu/rock/grade.html
脚力にしても、平らなところでも坂道でも走れば直に自分の力量は分かります。
重要なのはプロセスだと思います。昔プロは結果とよく言われましたが、自分は地味では有るけれども、意志を強く持って忍耐強く長く続けることが、何かしらの変化をもたらし、大きな意味を持つことになると思っています。派手な成功を求める意欲ももう無いし。。まあ山に限ったことではありませんが。
お釈迦様の手のひらの上で、慢心すること無くもうしばらくは足掻いていたいと思っています
jazzyさん、こんばんは。
お久しぶりです。
jazz聴いてますか。
最近高音が聴こえ難くなりましたが50年代の録音は同じように聴こえます。
メスナーのスプーンの話、強靭な意志と精神力だと思いますが、これから一緒に登る仲間だったら、影響も考えてなかなか云えませんね。
其処が凡人の弱さですね。
自分自身の老化や訓練不足による現状の技量、体力を把握することは必要ですね。
ピーク時の60パーセントを維持するには随分と努力が必要と思います。
今、私の年齢で訓練もしないので、もうゼロパーセントに近いと思います。
里山歩きが何とかできる程度です。
今、一ノ倉の本谷バンドに一人置き去りにされたとしたら、なかなか生きて出られませんね。
代表、お元気そうで何よりです。
お怪我はもうすっかり良くなりましたか。
昨秋奥多摩の天益で色紙を拝見しました。
奥方と連名の色紙でした。
皆さんのご無事な山行をお祈りしています。ren
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する