![]() |
所用の後は彼が執筆を始めた著作の冒頭部に関し、その原稿に意見を求められ、感想を述べたり、あれこれと四方山話となる。
奥多摩に隣接するだけあって寒さは厳しかったが、晴天の陽射しが心地よく久しぶりに吉野梅郷周辺を歩いてみる。
梅は未だ花芽が燐寸棒の頭ほどで固く、その林はひっそりと静かである。
花が見頃になれば観光客で喧騒になる街が普段の静かな佇まいを見せている。
八幡神社を通って、獅子口屋支店に立ち寄り、好物の山葵漬けを購入する。
獅子口屋は昔の獅子口小屋主人、木宮文助氏のご子息が経営する漬物店である。
各種商品の中でも山葵漬けが絶品であり、奥多摩の里山を歩く時には、いつも日向和田で途中下車して購入している。
沢山欲しいのだが無添加で賞味期間が短かく、すぐ味が落ちるので何時も10日以内に食べきれるように少しだけ購入する。
生醤油を一滴落とし日本酒の肴にするのだが、つい酒量は多くなり心掛けている目途の3合を過ごしてしまう。
昼食を向かい側の蕎麦屋で摂る。
昼時だが他に客一人無く、閑散として静かな店内である。
だが梅見頃には行列ができるほど繁盛するという。
晴天の好日であるが、寒い平日故か日ノ出山への登山コースにも人影がない。
日の短い冬のスタートには遅い時刻でもある。
程ほどの歩きで短くまとめ、奥多摩駅近くで呑みながらの夕食をと歩を進める。
4時を過ぎると陽は高い尾根の陰に回り辺りは暗くなる。
奥多摩駅前の居酒屋”天益”には5時に到着したが灯がない。
戸を開けて声を掛けると女将が出てきて、冬の平日は客足が遅いので消灯していただけとのことだ。
定評の餃子を肴にビールを飲み、乾いた喉を潤す。
女将の感じるところ、今年の奥多摩は例年より寒さが厳しいそうである。
来店する登山客と雲取山荘主人の話では、今のところ山に雪が無いとのことである。
雪が無いと登山客が少なく、店の客も少なくなるという。
確かに、秋の紅葉の頃は平日でも、午後3時前の店は既に賑わっていた。
女将はこの週末に天候が変わり雪が期待できるという。
地元の常連客が一人入店して賑やかになる。
追加の肴を注文して店内を見回すと、昨年掛かっていた山野井氏の色紙が新しいものに変わっていた。
登山客に人気がある居酒屋らしい色紙であり、登山家の彼自身もこの店の客だそうだ。
今、奥多摩は山が降雪を待ち里は梅の開花を待つ如く、ひっそりと静かである。
帰途、奥多摩駅から乗車した電車には登山客の姿が無かった。ainakaren
*吉野梅郷 梅まつり
http://www.omekanko.gr.jp/ume/matsuri.htm
ainakarenさん、私の居住地の周辺エリアまでいらしてたんですね。
義兄さまは、もしかして、山の盟友で、奥様のお兄様でしょうか?
獅子口小屋は、私も小屋が廃止になったころに、寄ったことがあ
りました。豊富な湧水が、「獅子口」から流れ出すさまは、不思議
でした。うまい水でした。
吉野街道沿いの獅子口屋の売店も、道の反対側にあった時分から、
なんどか寄っています。
あきる野市の農協の直売所には、青梅一帯の生わさびが出荷され
ていて、値段も安価で、自分でワサビ漬けを作ったりしてきました。
多摩川渓谷をすすんで、駅一帯や梅林のこの時期の風情のainakaren
さんの描写に、読み惚れました。
流域では隣にある秋川や平井川の、この時期から春へすすむ
風情も、いいものです。
tanigawaさん、お早う御座います。
義兄は山の相棒だった義弟と山の神の長兄で間もなく90歳の高齢です。
相棒の義弟は4人兄(姉)弟の末っ子でした。
義兄は静かな環境を求めて近年、井の頭から青梅に転居しました。
山登りはやりませんが物書きなので関心はあるようです。
昔、軍から通信社に出向してシンガポールに駐在し、戦後は時事通信社の記者をしながら著作を書いていました。
「実録マレーの虎」などの著作があります。
獅子口小屋は昔、何度も泊まりました。
あの獅子口の美味しい水が良い山葵を育てるのですね。
獅子口屋の山葵漬けが好きで奥多摩に行くと必ず買って帰ります。
山葵漬けは日持ちの関係から直営店だけで扱うようになり、日向和田で途中下車するようになりましたが、途中の神代橋から先の鄙びた町の風情もいいものです。
梅祭りは混雑を避け平日に行こうと思っています。
あの梅の花咲く景観は日本一ですからね。ainakaren
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する