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犯人は、ときには声色で警察官や弁護士まで自演するようです。
電話ばかりか、ネット上にも成り済まし欺く書込みが存在します。
だが、自然界にはそれを遥かに凌駕する「擬態」が数多く存在するようです。
「擬態 自然も嘘をつく」
W.ヴィックラー著
羽田 節子 訳
株式会社 平凡社
昭和45年10月5日 初版発行
この本を最初に読んだのは40年も昔の事ですが、その意外性と興味深い内容に驚き、読み耽ってしまったことを懐かしく想い出しました。
今、読み返してもその興味は尽きることがありません。
野山の昆虫や草花に興味をお持ちの方には価値ある古書として、お薦めの一冊です。
コノハチョウは枯葉そっくりの色をしていて、葉脈のような模様ばかりか虫が喰った跡のような斑点まで付いています。
本物の枯葉に見紛う程よく似ています。
シャクトリムシは木の小枝にそっくりな色で、皮膚の感じまでザラザラして、小さな瘤や葉の落ちた跡の模様、新芽のような形状の突起まで有ります。
しかも枝にとまるときには、体の後方の二本の肢でしっかりと体を支え、ちょうど太い枝から斜めに突き出た小枝のような角度を保ちます。
そして懸命に食物の昆虫を探す小鳥でも、気付かずに通り過ぎてしまいます。
それ故に、コノハチョウは枯葉に、シャクトリムシは小枝に擬態しているといわれてきました。
だがコノハチョウやシャクトリムシが擬態をしているのなら、保護色を有する普通の蛾も枯葉や木の幹に擬態していることになります。
しかしながら、それは保護色とはいわれても擬態の範疇には含まれません。
理由は形まで枯葉に似ているわけではないからです。
いずれにしても、どちらも昆虫が自らの身を守る役に立っているのです。
木の葉や小枝などの環境に紛れ込んで敵の目に付くのを避ける擬態に対して、わざわざ目に付く色や形を纏う事によって敵を欺く擬態が存在するのです。
ある種の蝶は、味の極めて悪い植物をもっぱら食物としているため、自らも小鳥の餌として味が悪く、その事実を標榜すべく派手な色彩と形をしています。
そのため、その蝶を小鳥が食べることはありません。
又、その蝶と全く別種の蝶は、その味の悪い蝶の色彩と形状をそっくりに真似る擬態により小鳥の捕食から逃れているのです。
サンゴ蛇には有毒な種と無毒な種がありますが、双方の形状と派手な色彩模様は見分けることが不可能なほどよく似ています。
この場合、有毒種は無毒種のモデルではなく共に擬態者とされます。
その理由が文中に11ページにも亘って詳しく説明されており、ここでは述べませんが非常に興味深い記述があります。
多くのカマキリはカムフラージュの色彩を持っており、葉の間にとまって昆虫の近づくのを待ち伏せます。
だが数種のカマキリは、昆虫が必ずやって来る花にとまります。
それらのカマキリは花によく似ることによって身を隠してしています。
しかしカマキリ自身が花にそっくりならば、花にとまらずに花を装うことができます。
ある種のカマキリは特定の花にそっくりな形状と色彩を備え、花と間違えて自分の体にとまる昆虫を捕食するのです。
コノハチョウやシャクトリムシはできるだけ自分の存在の情報を発しない様にして身を守るのであり、花に擬態したハナカマキリなどの例はできるだけ明瞭な情報を発することによって身を守っているのです。
動物学者たちは近年動物の色彩について保護色、警戒色、威嚇色、擬態などの概念を再検討して、きちんと整理しました。
それによると、動物の体色は隠す色と目立つ色に大別されます。
前者はマイナス情報の隠蔽色であり、後者はプラス情報の標識色です。
後者に広告色という言葉を使う学者も居ります。
同じことは、形についてもいえます。
隠す形と目立つ形があり、コノハチョウやシャクトリムシは前者に、サンゴヘビやハナカマキリは後者になります。
この本で扱われている擬態は殆んどが後者の目立つ擬態であり、それを真の擬態として明確に前者と区別しています。
この意味での擬態、自らの存在を広告するような類似について近年まで日本でよく知られていた例は、熱帯、亜熱帯産の数種の蝶だけだったのです。
この本の文中に擬態とは、つまりお芝居をしているのだと書いてあります。
だが、これらの蝶や花螳螂が、いつも自分がお芝居をしていることを自覚しているのでしょうか。
そんな筈もないでしょうが、実に興味深い設問でもあります。ainakaren
写真の本は最初の日本語翻訳版で現在中古市場には殆んどありません。
その後、新装版が何度か登場していて現在も中古市場に有ります。
内容は変わりませんが写真の色彩などが美しくなっているようです。
アマゾン中古本紹介
http://www.amazon.co.jp/%E6%93%AC%E6%85%8B%E2%80%95%E8%87%AA%E7%84%B6%E3%82%82%E5%98%98%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F-%E5%B9%B3%E5%87%A1%E7%A4%BE-%E8%87%AA%E7%84%B6%E5%8F%A2%E6%9B%B8-W-%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%BC/dp/458254620X
昆虫の擬態画像
http://www.google.co.jp/search?q=%E6%93%AC%E6%85%8B+%E6%98%86%E8%99%AB&hl=ja&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=QJLaT8P-O62PiAeIguXFAg&sqi=2&ved=0CGIQsAQ&biw=1017&bih=426
ainakarenさんこんにちは。hamuo96です。
先日は東京付近の山にコメントいただきありがとうございました。
質問箱の「登山靴・・・」の回答から日記を拝読させていただきま
した。テーマと関係ない書き込みご容赦下さい。
詳細な解説が大変参考になったこととともに、久し振りに再開した
山登りの際、靴を選んだ経緯が誤った方向でないことにほっとして
います。迷いに迷って決めたものより1サイズ大きめにしたおかげ
で今のところ大きな違和感はありません。
小さな違和感は購入時に店員さんにサイズを測って貰った時、左足
が0.5cm大きいことでした。それでこれで良しと決めたサイズの
1ランク上にしたのですが、右足の余裕感が特に下りで気になりま
す。親指の第1関節左腹が赤くなる程度ですが・・・。これは中敷で
解決できる範囲でしょうか。
質問箱の続きになって大変申し訳ありません。気が向いた時で
結構ですのでよろしくお願いします。
ヤマレコの回答者は無責任と思っていませんので念のため・・・
hamuo96さん、お久しぶりです。
貴、日記「東京付近の山」にコメントさせて頂いたのは昨年の12月でしたね。
質問箱の「登山靴・・」とは、この件でしょうか。
http://www.yamareco.com/modules/plzXoo/index.php?action=detail&qid=750
2年近く前に山に入門して初めて登山靴を買う人のために「初めての登山靴」なるテーマでサイズの選び方の日記を書いていたので、質問箱の回答にしてみました。
この日記ですね。
http://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-11639
ベテランに対しては失礼になってしまうような初心者への日記なので、ちょっと心配です。
お読みになって安心なさったとのこと、少し気が楽になりました。
有難う御座いました。
最近のスーパーフィートなどの中敷については使用経験が無く、解りません。
皆さんのお話では効果的らしいですね。
靴、靴下、靴紐とその締め方、靴の手入れについては、色々と日記を書いております。
宜しければ御覧頂ければ幸甚に存じます。ainakaren
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