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2014年09月04日 01:16自然と人文全体に公開

筆不精の万年筆と山靴職人

 隠居して以来、次第に筆不精になってしまったのだが、それでも稀には手紙を書く。
現役時代に仕事用だった万年筆は、今や眺めるだけの趣味の文房具に成り下り、ペン皿に鎮座している。

筆不精が極まると、必ず万年筆の調子が悪くなる。
ペン先のインク汚れが乾き、固まって書けなくなる。
久々の手紙を書こうとして気付いたのだが、今回のトラブルはインク詰まりだけに止まらなかった。
ストッパーがバカになりキャップが閉められなくなっていた。
インク汚れで押さえバネが固着したかと思い、ぬるま湯で漬け洗いを試みたが復元しない。
如何やら押さえのバネがヘタってしまったらしい。
筆不精が嵩じて、キャップの長期間閉じっぱなしがいけなかった。
やはり万年筆のキャップは今風の押し込み式より、古いネジ込み式が好ましいのだろうか。

万年筆職人ならば、押さえバネを調整するか交換するだけで簡単に修理できると思うが、さてこのご時世にその職人が何処にいるのかさえ見当もつかない。
家で手紙を書くにはキャップを後ろに嵌めておけば問題ないが、胸ポケットに挿しての携帯ができない。
まぁ、万年筆は他にも有るし何も困ることがないので、アンティーク万年筆としてペン皿に飾っておくか〜。
富士山の標高 #3776 を型番にした年代物の木製万年筆は、木目模様の美しさが売りで、それ故飾り物になる運命なのかも知れぬ〜。
富士山は登るより観る山とはよく言われるが、書くより飾る万年筆など聞いたことがない。

今当に、あらゆる業界で手仕事の職人の絶滅が進行していると聞き及んでいる。
万年筆職人ばかりではない。
今や切実な問題として、山靴職人も絶滅寸前ではないか。
安価な機械造りの量産筆記具や量産靴の氾濫により、使い捨てが当たり前の世の中になってしまった。
もしも今、自分の山靴が壊れたらそのままにすることはできない。
かなり遠方だが腕がいいと評判の山靴職人を訪ね、懇願してでも修理してもらうつもりである。
手慣れ足慣れた道具を修繕しつつ大切に使ってゆく文化が、少しでも生き残ることを切望している。ainakaren
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コメント

RE: 筆不精の万年筆と山靴職人
ainakaren さま

ご無沙汰です。
で、まいどです。

キーボードの時代も終わって、指先で会話する時代、、、
理解できない部分が多いかな

でも、何時でも誰でも訓練すれば練習すれば、敗れた帆布キスリング修理できるから、、、今自分で何とか修理してるですよ。。
近々どっかでキスリング再デビューです。

何でもやらせないだけかもと思う近年ですが、誰がやらせる経験させる、、、
出来ることから。少しはきつい経験も泣きながでもさせましょう


この時間ですので


2014/9/4 1:34
筆不精の万年筆と山靴職人
77ms1ksbさん、こんばんは。
コメント深謝です。

当方もサントリー プレミアムモルツとホテイの焼き鳥缶詰め〔塩味〕で一杯やりながら日記を書いてました。

キスリング修理ですか。
岳会現役時代のキスリング、会装備品で分厚い綿帆布(カレー粉色)で片桐製だったと記憶しております。
中型から超大型の3サイズ位ありました。
皮と金具と帆布ですから、絶対に加水分解がありません。
やはり修理しながら使いましたねぇ。
全部で20ヶ位あったかなぁ。

そのデッカイの背負わされて藪漕ぎさせられた時には、荷物その場に放り出して逃げ出したくなりましたよ。
分厚い帆布も、引っ掛けて破けることがあって、皆で修理したものです。
懐かしいなぁ。ren
2014/9/4 2:11
RE: 筆不精の万年筆と山靴職人
おじゃまします・・

>手慣れ足慣れた道具を修繕しつつ大切に使ってゆく文化・・

共感します。

車の修理の師匠からは、インナーキット交換、エンジンOH(オーバーホール)などを習いましたが・・

いまの部品屋の若い子などはエンジンのピストンやメタルを見たことないそうです(^^;

なんでもアセンブリー交換なんですねぇ〜

これ、みんなブラックボックス化していけば誰がブラックボックスを作るのかしら??

コンピューターが支配する世界もSFではなくなりそうですね・・

昨夜、テレビで「とり人間コンテスト」を放映しておりました。

ひょっとすれば、こういう趣味の形の中で職人技が伝承されていくのでしょうか?

それもひとつの形なんでしょうかねぇ

ainakarenさんの万年筆が、いつまでも大事に保管されて、いづれ修理完了されんことを祈ります

      でわでわ
2014/9/4 16:26
筆不精の万年筆と山靴職人 2
uedayasujiさん、こんにちは。
コメント深謝です。

クラシックカーはいいですね。
修繕が利きますからね。

ハイテクカーやIT機器は仰る通りブラックボックスですから、交換してみて直るかどうかですからね。
交換して直らなければ元に戻して、別のパーツを交換してみるという修理手法ですから、ユーザーが自分では直せませんね。
大メーカーでも今の修理屋さんはエンジニアではなくチェンジニアです。

年代物の万年筆を修繕しても、年代物の自分自身がもちません。
多分山靴も壊れずに、自分自身より長持ちするのでしょうね。
そろそろ身辺整理が必要ですかねぇ。 ren
2014/9/4 17:56
RE: 筆不精の万年筆と山靴職人
ainakarenさん、こんにちは。

僕、万年筆には目が無くて・・・。
数年前にペリカンの万年筆に出会って以来、もう万年筆無しでは生きていけない身となってしまいました(笑)

お写真のペンはプラチナの#3776ですね!happy02
ニブは14Kでしょうか?柔らかそうな書き心地がしそうです

僕は定期的にペンクリニックに通ってはメンテナンスをしていますhospital
伝説のペンドクター川口明弘さんにも何度か診て頂きました。今では半分隠居生活を送られているようですが、その貴重な技術はお弟子さんに受け継がれてるようで、とてもうれしく思いました。その叡智を失ってほしくはないですね。

ついつい興奮してしまいました
ありがとうございました。
2014/9/5 11:14
筆不精の万年筆と山靴職人 3
shoytomoさん、こんにちは。
コメント深謝です。

私も万年筆が大好きですよ。
毎日使い続ければ何時までも調子が良いのが万年筆ですね。
筆不精を決め込んでインクを入れたまま長期間放置すると必ず調子が悪くなり、復元するのに手間と時間が掛かります。

仰せの通り写真の万年筆は、キャップが故障した#3776です。
軸は喫煙用パイプなどにも使われる木材(ブライヤー)です。
ペン先は14Kで、ぬるま湯洗浄で書き味だけは回復しました。
キャップ修繕は、素人には不可能なので諦めています。

これまでに、オノト、シェーファー、パーカー、ゲーハー、モンブランと次々使った時期がありましたが、晩年になって縦書きの日本文字には国産の上級モデルが最適と判り、この20数年は国産万年筆です。

御身近に万年筆のオーソリティーが居られるのは、心強いですね。
貴コメントにより、若い方にも万年筆の文字文化が健在なことを知り、嬉しく思います。ren
2014/9/5 13:37
ベークライトの万年筆。
ainakaren さん、こんにちは。
日記を拝読させて頂きました。
最初は、何気なく拝読していたのです、読むほど
に引き込まれてしまいました。
懐かしい感がありました、「あ、そういえば」が
沢山、万年筆がその一つですね。
小学生の頃でしょうか、天神さんの縁日で万年筆
のたたき売り。
なけなしの小遣いで思わず買った万年筆。
紺色のベークライトの万年筆でした。
嬉しかったですね、大人になった気分で。
もう一本、おまけに貰いました。
(実際はセルロイド製でした)
それは、安物でインク漏れして書けない万年筆。
でも嬉しかったですね。
もう一つは、玉子が透けて見える二枚合わせガラ
ス、何に使おうとしたのか。
あとで親父に軽く怒られましたが。
中学生になったときに父親が本物のベークライト
の万年筆を買ってくれましたが、どこに行ったの
だろう。
量産靴(私にはスカルパが合っているようです)で、
トレッキングをしてる輩ですが、半世紀近く登山
をしている先輩は、足慣れた山靴を修繕しつつ、
大事に使っています。
もう一人の先輩は、金剛杖と地下足袋ですが。
どちらも付き合わされています。
が、ともに楽しい山歩きです。
ふと、懐かしさを感じた日記、楽しく拝読いたし
ました、有り難うございました。
2014/9/11 15:10
Re: ベークライトの万年筆。
strasseさん、こんにちは。
コメント深謝です。

終戦直後までの万年筆の軸は、エボナイトかセルロイドでしたが、その後プラスチックが多くなりました。
フェノール樹脂製の軸は珍しいですね。

最初に手にした万年筆は祖母の遺品でオノトのエボナイト製でした。
その後出現し急速に普及したボールペンが苦手で、現役時代は万年筆一筋で書いてきました。
隠居後は手紙を書く時に使ってますが、昨年から年賀状と暑中見舞いをパソコンメールに切り替えてから、すっかり筆不精になりました。

手紙の宛先の人々も次々と亡くなり、年々人数が少なくなります。
近頃は電話とメールで済ませてしまうことが多く、滅多に手紙を書きません。
若い人は手紙を書く習慣が無くなり、受け取っても戸惑ってメールで返事が来たりします。
我が万年筆のインクも固まる訳で、侘びしさも、しきりです。

山靴はトップ靴店製、ビムラム底の二重総皮靴で、ビムラムと紐を交換しながら、30年以上履いています。
防水性能の高さを維持したまま足慣れして、身体の一部の様です。

地下足袋は、沢に入る時にアメゴム薄底の鳶職用に草鞋を併用していました。
買い置きが残っていますが、もう履くことはありません。
齢を重ね、年々昭和が遠くなります。ainakaren
2014/9/12 11:56
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