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如何やら、裏山の国有林を散歩するときの通り道であるらしい。
庭の片隅に坐り、暫く斜面を見上げて様子を窺い、それから徐に山に入る。
縞模様が美しく、近所の飼い猫らしいが勝手にRinjirouと名付けている。
長谷川潾二郎画伯の描いた猫に似ていると思ったからである(画像)。
Rinjirouは若い頃、庭園灯の赤外センサー点滅の悪戯を楽しんでいたが、近頃は成長して大人になったのか見向きもしない。
猫の成長は人より遥かに早いが、寿命を終えるのも早い。
その事実は一緒に暮らす身には誠に哀れである。
物心ついた頃には直ぐ身近に猫がいた。
三毛猫の雌で名をチビと呼ばれていた。
祖母は孫達と分け隔てなくチビを可愛がった。
祖母が亡くなったときチビは家中を探し回り、やがて諦めて祖母の坐っていた座布団を自分の居場所に定めた。
チビは何時もその場所で祖母の膝上に抱かれていたのである。
祖母亡き後、チビは私を使用人として雇ったかの様に振る舞い、私もそれに従った。
児童であった私の目にも、チビは顔立ちの綺麗な所謂美人猫だった。
ある冬の日、チビは元気がなくなり何も食べなくなった。
座布団に横たわり、飲まず喰わずのまま苦しそうな息をしている。
好きな牛乳にも見向きもせず、悲しそうな目で私を見つめていた。
翌日、チビは鍵のかかった勝手口の引き戸を懸命に開けようとしていた。
外は雪が降り始めて寒く、私は直ぐに抱き上げて座布団に連れ戻した。
「チビ〜」と名を呼ぶと閉じた目を見開き、一度だけゆっくりと尻尾を振った。
それが私が目にしたチビの最後の姿だった。
縁側の硝子引き戸が五寸ばかり開き、吹き込んだ雪がうっすらと積もっていた。ainakaren
猫はその時が来ると人知れず身を隠すそうですね。チビちゃんは幸せな一生をおくったことでしょう
しま猫は洲之内コレクションの猫ですね。宮城県美術館にいます。私も見にいきました。とっても良い表情です。未完成の絵ということですが、絵葉書でも癒されること大です
bunbun41さん、こんにちは。
コメント深謝です。
猫の絵の実物は仙台では偶々貸出し中で、2010年の平塚市美術館の潾二郎展で観ました。
洲之内氏が指摘するように確かに髭の片側が描いてありません。
本当に美しい猫の画ですね。
この猫に、そっくりなのが庭の来客Rinjirouなのです。ren
*平塚市美術館 猫画観覧記ブログです。
http://karenaina-jiiji.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-4662.html
「閑居不善爺児 残日録」拝読させていただきました。
相仲様は教養深くて美術批評もできてすばらしい方です。
私もかなりの年寄ですが全然もの知らずです。
これからも種々学ばさせていただきたいと思います。
Rinjirouさん、かなりの美猫だったのですね
潾二郎の猫画、本当に癒されますね。
画を見るのが好きですが、描くのは大苦手で批評などとんでもないです。
美術館には時々足を向けます。
昨年秋には徳島県立美術館の原鵬雲 展を観てきました。
仙台にも何度か行きました。
猫が特に好きということでもないのですが動植物をそっと観察しているのが好きで、猫の日記も幾つか書いてます。
画も描かず、動物の飼育もガーデニングもしないのですが、いつも見ているのが好きなのです。
好奇心が強いので雑学的にそれらの日記を書いたりしています。
例えば「ainakaren 猫」とグーグルなどで検索すれば数点の猫日記が出てきたりします。
専門知識の無い浅薄雑学の輩なんですね。
こちらこそどうぞ宜しくお願いします。ren
ainakarenさん今晩は、初めまして。
チビちゃんの話がもう一度読みたくなり、再びおじゃましにきました。。。
切なく素敵な話ですね。
泣けました。
私は人の顔はさっぱり覚えれませんが動物の顔はなぜか忘れられません。
teteさん、こんばんは。
コメント深謝です。
チビとの暮らしは幼児から学童の頃でしたが、今でも憶えています。
猫の一生としては長い方だったと両親が話しておりました。
今は三毛猫が珍しくなりましたが、昔は沢山いましたね。
チビは雌猫でしたが顔立ちがとても綺麗な美猫でした。
人間が見てのことですから、猫達の審美感はまた異なるのでしょうね。
猫は人の顔を完璧に憶えていますね。
その記憶力は驚くほどです。
猫が決める人間の美男美女とは、どんな顔でしょうね。
興味津々です。ren
こんにちは。
ネコ,長谷川 潾二郎(この字なんですね…)氏,洲之内コレクション。
私にとって大事なものばかり。
別サイトの在処も教えていただき、
なんだか言葉に表せないような気持ちになりました。
深謝です(微笑)。
izackkarenさん、こんにちは。
コメント深謝です。
貴プロフ画像のイラスト猫で愛猫家と推察していました。
失礼ながら趣味趣向に共通するものも多くあるように思いました。
貴ブログを拝見すれば、ジャズのみならずクラシックもお好きなご様子、シューマンがお好きなのですね。
私は通俗的で珍しくもないモーツアルトの熱烈フアンです。
これも又別ブログですがモーツアルトに魅せられた経緯です。
http://d.hatena.ne.jp/karenaina77/20100423/1272005412
洲之内氏は私の感覚によく一致する感性をお持ちの方でした。
彼の故郷である松山の美術館も、一通り観てきました。
いつも貴コメントを楽しく読ませて頂いています。
ヤマレコ日記デビューを期待しています。
相仲 廉太郎
過去の猫日記を含めて、ご案内いたします。
愛猫家らしからぬ猫日記ばかりですが、愛猫家の皆さんにご覧いただければ幸いです。ren
https://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-334097 「猫と庄造と二人のをんな」
https://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-104277
https://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-85816
https://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-79369
https://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-45720
https://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-38163
https://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-30611
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