「えっ!誰の?〜」
「この新人が持ってきた〜」
幹部が、私の購入経緯を先輩たちに話しますと、皆で私の顔を訝しげに見るのです。
私は何のことか解らず、ただ呆然とするだけです。
先輩が自分のピッケルと私のピッケルを重ね合わせると、確かに私のほうが一回り大きいのです。
「これが完璧に使いこなせるようになったら、お前さんは俺と交代だ。大事にしろよ〜」
先輩たちはかわるがわる私のピッケルを手に取って、翳すように眺めておりました。
後で先輩たちがピッケルについて、いろいろ薀蓄を話してくれました。
そこで私は初めて自分のピッケルについて詳しく知ったのです。
私のピッケルは札幌の「門田」で造られた炭素鋼の鍛造品でした。
ピッケルの寸法は一尺が普通なのですが、これは一尺一寸と一回り大きい特注品です。
鋼の肉が厚く重くて使いこなすには体力が必要なのです。
このような注文をするのは氷雪のベテランだけなのだそうです。
「門田」のピッケルは一人の名工が手作りで一本一本造るので標準品(シャフトの長さのみの指定)で半年待ち、尺一寸など鋼の寸法や肉厚などの特注品は一年待たされるそうです。
そこで注文主はいったいどうしたのか〜と云う話が先輩たちの話題の中心になるのです。(つづく)相仲 廉(ainakaren)
*続き http://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-9392
門田ピッケルの詳細
http://www.nirayama.com/~suwabe/Pickel/Kadota/K1.htm
ainakarenさん こんにちは
2年ほど前に北穂高で知り合った初老のかたが 門田 をお持ちでした
黒く光る長めのシャフト
とても美しいものでした
その時のピッケル談義も面白く
上高地までの帰り道があっという間だったのをおもいだしました
注文主 気になりますね
いろいろ想像してしまいます
coffeeさん、コメント深謝です。
私はピッケルを昭和36年4月迄使い続けました。
最初からこのピッケルでしたから、重いという感じは無かったのですが、仲間は自分のピッケルに慣れているせいか、皆が重いといいました。
最近は雪山へ行くこともありませんが、今でも「門田」を使っている初老の人のお話を伺い、とても懐かしい気持ちです。相仲
こんにちは,ainakarenさん。
“待ってました” ・・・・・と思いきや,“またまた先が気になるぅ〜 ”
先輩の「これが完璧に使いこなせるようになったら、お前さんは俺と交代だ。」という言葉。粋な先輩で男らしいですかっこいぃ〜です
それにしても,続きがきになりますねぇ〜
ainakarenさん、はじめまして。
僕は山用に限らず、自分の道具や服などをとても大切にする口なので、個人的にその「いわく付き」のピッケルの話がたまりません!
正に一生モノですね!
陰ながら楽しみにさせて頂いております・・・。
hirorineです。
待っていました
人生の先輩方のお話を聞くのが大好きなんです。
いろいろ伺って勇気を戴いております。
マイペースで結構ですので、いろいろ聞かせて頂けると嬉しいです
ainakarenさん、今晩は。
想い出のピッケル日記、いいですね
自分は、30年ほど前に門田のサミット(量産品の穴あきウッドシャフトピッケル)を、なけなしの懐をはたいて購入し、しばらく愛用してましたが、最近は山から遠ざかっており出番はほとんどありませんでしたが、この冬から再度出番を作って愛用してます。
さびが少々ありましたが、耐水サンドペーパーで磨き、いい感じになってます。
続きを楽しみにしてます。
kayo-piさん、jimsonさん、hirorinさん、kusmmkさん、コメント深謝です。
ピッケルについては、いろいろ想い出があります。
シャフトに不要な加工をして幹部に叱られたり、訓練中にオーバー手袋を脱ごうとしてピッケルを流してしまったり、殆んどが失敗談です。
おかしなもので活躍の想い出より、そうした失敗の想い出が遥かに懐かしいのです。
失敗談も少しでも皆さんのご参考になればと思いますので、面白く読んでいただけそうな想い出を選んで、これから書いて行こうと思います。
なにぶん一本指キーインですので、話が小刻みなことと、記帳が遅いことをお許し下さい。相仲
いつも催促して申し訳ないですそれだけ魅力的なお話なので,ついついこちらも急かせてしまってスミマセン です
話が小刻みなのもまた魅力(レンドラのように,実にいいところで終わっているので^^;小説家のようですね )
ainakarenさんのペースで記帳してください でもやっぱり気になってしまう愛読者の私たちのこともお許し下さい
こんにちは相仲さん
シャクイッスン!、なんだかフランス語かと思いましたよ。Chaque yssun?
一尺は30センチくらいですね。「ピッケルの寸法」とはどの部分が一尺一寸だったのですか?シャフトには短し、ピックとブレードにしては大きいと思うのですが。
僕も鍛造ピッケルを愛用しています。いまやカドタは無いのですが、愛知県の豊田に二村さんという方がただ一人作っておられます。いまどき鍛造木柄のピッケルを注文する人はコレクターが多いそうですが、多分僕のピッケルが一番山に行っているのでは、と思います。
手作り品の重みがなんとも心地よいのですが、目方を量ると特に重いわけではない。不思議です。
こちらで、ウッドシャフトのピッケル写真披露合戦してます。↓写真ありましたら、参戦してください。
http://www.yamareco.com/modules/xsns/?p=topic&tid=171
kayo-piさんコメント再深謝です。
次の話のテーマを仄めかしておくのも、そのほうがお読みになる皆さんが、楽しいのではないかと思います。
他の道具での失敗談も山ほどありますので、ポツポツと記帳していきたいと思っています。
yoneyamaさんコメント深謝です。
一尺一寸は仰る通り、まさにピックの先端からブレードの刃先中央までの寸法です。
約335ミリメートルあります。
「門田」の標準品で304ミリメートル位ありましたから標準品でも他のメーカーのピッケルより大振りでした。
残念ながらピッケルだけを接写した写真はありません。
人物写真に携帯品として写っている写真がありますが、細部まではよく見えません。
昭和36年、退会するときに後輩に請われて譲渡しました。
そして今は行方不明です。
最初の日記カテゴリーを「今、何処に・・」とした訳、まさにそれがこの話のメインテーマです。
シャフトを交換したり削り取ったりしないかぎり、一目でわかる目印があります。
もっともその加工をしたため、幹部にひどく叱られました。
鋼部分の目印は刻印の違いです。
通常の「門田」と異なり、楕円形の中はフランス語ならぬドイツ語でBERGHEILと刻印されていたのを鮮明に記憶しています。相仲
ピックからブレードが335ミリとは大きいですね。
驚きです。それならセンパイ方も羨ましかったことでしょうね。
yoneyamaさん再コメント深謝です。
ピッケルを「見せて〜」、とか「触らせて〜」、という人は多かったのですが、こちらから「貸すから使ってみて〜」、と言うと皆さん「ノーサンキュー」でした。
最初から使いにくい道具と思っていたようでした。
何かシンボリックな床の間用品のように思っていたのかも知れません。
当時は私も道具類には無頓着で使えれば何でもいい、と思っておりましたから、えらい物を背負い込んでしまった、という感じでした。
猫に小判だったんですね。相仲
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する