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銀座山荘には、一台の古い蓄音機が置いてある。
蓄音機と言えば今では立派な骨董品で、機能を失いアンティーク装飾品として展示される例も多いが、この機械は手入れの良い完全動作品である(写真)。
古色蒼然たる艶やかな美音を程好い音量で鳴らすが、動力は手巻き式ゼンマイだけで電気を一切使用しない。
戦後の日本で、ゼンマイ式蓄音機は1950年代後半に絶滅して電気式蓄音機、略して電蓄の時代になった。
私が音楽に親しむ契機は、絶滅寸前の蓄音機(訛ってチコンキと呼んだ)とシェラック製のSPレコード盤であった。
シェラックのレコードは、床に取り落とすと粉々に割れた。
割らないよう傷付けないよう宝物のように扱われた。
音楽との付き合いは、蓄音機とシェラック盤から始ったのである。
当時はクラシック音楽ばかり聴いていたが、演奏時間の長い交響曲などは12インチ盤の4枚組み5枚組みは普通の事で、鳴らすのも仕掛が色々と大変だった。
片面の高々4〜5分毎に盤面を掛け換え、針を換えゼンマイを巻くのである。
1960年になると片面30分弱ものLPレコードが広範に普及し、電蓄はマニアの手によりスピーカーとアンプが分離し、オーディオシステムが流行の兆しを見せ始めていた。
学校の講堂や町の公民館では、レコードコンサートなる催しが大勢の音楽ファンを集めていた。
その舞台の真ん中には、一台の大きなスピーカーボックスだけがポツンと置かれていた(ステレオ出現前のモノラル録音時代)。
この頃には、既に蓄音機は完全に絶滅していたのである。
銀座山荘の蓄音機で山の歌を聴いてみたい。
残念だが現存するシェラック盤のレコードに、山の歌は殆ど無いのではと思われる。
戦後の第一次登山ブーム到来と、蓄音機、シェラック盤の絶滅が同時期であるからだ。
電蓄の時代に、ダークダックスが「雪山賛歌」など数曲の山の歌をリリースしているが、たぶんEP盤やLP盤だけではなかろうか。
もし、シェラックのSP盤でリリースされていたとしても、現存している可能性は低いだろう。
残念だが蓄音機は、SP盤だけしか鳴らせない。
もしも山の歌のシェラック盤があるなら、この蓄音機で鳴らしてみたい。
あの古色蒼然たる艶やかな音で山の歌を鳴らせば、先人達の山を想う心が我々にも伝わるような気がするのである。ainakaren
*蓄音機とは http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%93%84%E9%9F%B3%E6%A9%9F
この蓄音機の針が、一回演奏ごとの使い捨てだというのを初めて知って驚きました。
床に落とせば粉々になるレコードといい、一回一回、聴けるだけで幸せな時代には、音楽を聴く態度もナガラではなくて全身全霊傾けたでしょうね。レコードコンサート、僕が中学生の1970年代まではまだありました。放課後、音楽室でビートルズなんかかけました。
いまはラジオ番組で良い音楽を知って検索し、ネットでCDを買っています。が、最先端のヤングは、CDも無しでスマフォにダウンロードでしょうか。整理整頓がタイヘンそうです。
音楽は腕を組んで集中して聴く聴き方もあるけど、ナガラでも繰り返し聴いてわかる事というのもあります。生演奏しか無かった時代の音楽の聴き方って違うんだろうなあ。
ナガラでも、読書しながら音楽はやっぱり無理だし、走りながらとか、料理しながらとか編み物しながらならばOKでしょうか。
しかし5分でハンドルを回す蓄音機なら、ナガラは勿体ないですね。
yoneyamaさん、こんにちは。
コメント深謝です。
蓄音機用のレコード針には通常の鉄製と、盤の磨り減りが少ない竹製があり、竹針はレコードを大切にする人が使いました。
鉄針の寿命は5〜10分弱でしたから、LP盤時代のサファイア針100時間、ダイア針1000時間に比べると著しく短命でしたね。
何れの場合も盤と針をすり減らして音を出していたから、それを無駄にせぬよう一所懸命、聴覚と精神を集中して聴いていたのですね。
レコードコンサートはスピーカーの前に大勢集まって聴きましたから、テレビの珍しかった時代に、画面前に集まって聴視する人達と同じ光景ですね。
生演奏しかない時代は兎も角、昔は王侯貴族でもない限り音楽も演劇(映画)も、独りで聴視するものではなく大勢が同時に楽しむものだったのですね。
たとえ短い5分間も、その精神的価値は現代よりも格段に大きく濃密だったのでしょうね。
それを思うと、何時でも、何所でも、独りで何でも聴視できる現代は便利ではあるけれど、はたして本当に豊かなのか〜?
その事を考えてしまいます。ren
え・・・
蓄音機の針が、一回演奏ごとの使い捨て
出来れば・・次回・・銀座山荘へ出向いた時に
クラシックを聴いてみたいですが・・
自分が聞くなど・・もったいないですよね
umetyanさん、こんにちは。
コメント深謝です。
蓄音機の鉄針は短い寿命なのです。
蓄音機の音量は電気無しでも充分に大きく、初めて聴く人は皆さん驚きます。
蓄音機コンサートでは、皆さん真剣に聴いて居られて昔のレコードコンサート時代を彷彿とさせます。
長くても精々10インチ盤3分半、12インチ盤4分半の世界、濃密な緊張とスリルの時間ですよ。
是非一度、味わってみて下さい。ren
ainaka様
日記楽しく拝見させていただきました。
レコードは500回、針は毎回交換が必要ですが、針は10円/本、国産レコードであれば数百円、蓄音機は10万円くらいから入手可能です。
蓄音器は、2.5分から4分程ですから、落ち着き音楽に集中しようとしたとき、次のレコードと交換をしなければならなくなります。
恐らく蓄音機を懐かしく思うのは、今日のように曲も容量も無限に近くなっている再生装置が、人の社会生活に追いついていないからなのではないでしょうか。
全て有限で管理できることが必要であることへの警鐘なのかもしれません。
次回は少し蓄音機を再生するようにします。
KV581さん、こんばんは。
コメント深謝です。
蓄音機のオーソリティであるKVさんから、コメント頂き恐縮です。
蓄音機の音は古き良き時代を感じさせますね。
次の例会で、何か懐かしい曲を聴かせて下さい。
楽しみにしています。ren
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