聖岳、上河内岳、光岳 南アルプス南部の巨人たちを縦走
- GPS
- 23:47
- 距離
- 43.9km
- 登り
- 4,230m
- 下り
- 4,367m
コースタイム
○7/16(土)
便ヶ島キャンプ場 9:25 - 便ヶ島登山口 9:27 - かつら沢滝 9:42 - 西沢渡 9:55 - 西沢小屋 10:01 - 1400m 10:31
- 1600m 10:51/56 – 1800m 11:19 – 2000m 11:49 – 昼 12:05/22 – 2200m 12:41 – 薊畑 13:10/20 – 分岐 13:34
– 聖平小屋 13:35 (泊)
○7/17(日)
聖平小屋 朝/4:58 - 分岐 5:00/02 - 薊畑 5:14/19 - 小聖岳 5:51/58 - 聖岳 6:43/51 - 奥聖岳 7:02/08 -聖岳 7:20/37
- 水場 8:05 - 小聖岳 8:11/18 - 薊畑 8:44/45 - 分岐 8:54 - 聖平小屋 8:56/大休止/10:08 - 分岐 10:10
- 南岳 11:10/14 - 上河内の肩 11:37/45 - 上河内岳 11:51/昼/12:14 - 上河内の肩 12:19 - 竹内門 12:40
- 亀甲状土 13:00 - ハイジの丘 13:10/20 - 分岐 13:26 - 茶臼小屋 13:35 (泊)
○7/18(月・祝)
茶臼小屋 朝/4:08 - 分岐 4:17 - ご来光待ち 4:25/40 - 茶臼岳 4:45/51 - 仁田池 5:01 - 希望峰 5:13 -仁田岳 5:26/30
- 希望峰 5:41/44 - 易老岳 6:36/49 - 光岳取り付き 7:25 - 静高平 8:01/03 - センジガ原分岐 8:08
- イザルガ岳 8:16/21 - センジガ原分岐 8:25 - 光小屋 8:35 - 光岳 8:48/56 - 光岩 9:03/07 - 光岳 9:16
- 光小屋 9:26/昼1/56 - センジガ原 10:01 - 静高平 10:06 – 光岳取り付き 10:28 - 易老岳 11:11/昼2/29 - 標高点 11:43
- 面平 12:56 - 易老渡 13:52 - 便ヶ島 14:17
●行動時間
○7/16 : 4:10
○7/17 : 8:37
○7/18 : 10:09
天候 | 快晴、快晴、曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
(自宅) = (便ヶ島) – 聖岳 – 光岳 - 易老渡 - (便ヶ島) = (かぐらの湯) = (自宅) ●自動車でのアクセス ○便ヶ島) ・国道153号線飯田市内からは県道251号線喬木村経由で行ったが、途中から標識により富田方面に誘導される。県道251号線の道路状態が良くないためのようだ ・帰りも案内に従い富田方面に行き、そのまま県道83号線〜18号線経由で飯田に出たが、このほうが早くて近いようだ ・飯田市内から喬木経由で上島トンネルまで約40分、便ヶ島まで約80分 ・上島トンネルから先の道路状況は、下栗大野を過ぎると、中部電力の管理道なのか、通常利用を考えた管理はなされていないようだ。路面には落石、斜面にも防災工なし、支流も道の上 ・北又渡から先は、未舗装路が断続的に現れる ・参考までに、神戸市内の我が家から便ヶ島までは所要約5時間30分だった |
コース状況/ 危険箇所等 |
●コース状況 ・特段の不明瞭さは感じなかった ・強いて言うならば、易老岳から易老渡へのルート。標高1800m位の広場では、登りの場合には先の道取りがすぐには見えないと思われる。下りならば心配ないのだが ●山小屋 ・文章中に記載しました。参考まで ●買う、食べる ・通常の買い物は、飯田の国道153号線沿いにある店で済ませるべき ・食べるものは、飯田へ出なくても、遠山郷にもある。下栗にも蕎麦処があるようだ ・かぐらの湯の周りであれば、夕方以降もやっている飲食店もある ●立ち寄り湯 ・遠山郷の「かぐらの湯」が有名。21時まで(入湯は20時まで)営業 ・「かぐらの湯」は新しいこともあろうが、空いているし、設備は整っているし、よかった ・信州なので、飯田市内も含めいくらでも温泉がある ●雑感 ・おそらく若年は日帰りや1泊が多そうに受け止めた ・中高年は2泊以上でゆっくり縦走される方が多いように思った ・確かに、年代毎の忙しさや体力相応という意味では、それぞれ適切だろうと思った |
写真
感想
➊便ヶ島〜聖平小屋
易老渡付近での駐車を試みたが、あいにく立錐の余地なし。便ヶ島に誘導され、しかもキャンプ場側へ。こちらもまもなく満車になりそうなほどの盛況。小屋のことも心配になる。
久々の連泊、それ相応の荷姿でよろよろと出発。こういうときには最初のうちの平行道歩きはありがたい。トンネルをくぐり、滝の沢橋、かつら沢橋と木橋を渡り、荷が背中にしっくり来た頃に西沢渡。結構な流れを橋で渡り、少し登ると作業小屋。手入れされているようだ。
細い尾根筋の登りや面状の地形のジグザグの登りなど、休むことなく登り勾配が続く。所々の大木になにがしかの看板。うんざりする頃に、1400mの標識。このあとも1600m〜2200mと200m刻みで標識がある。励みになるものの、見通しの利かない1000m超の登りは疲れを覚える。
1800mを越え、地面が赤っぽくなっていることに気づく。聖も赤石山脈である。2000mになっても巨木の目立つ樹林帯が続く。そのうちに2200m付近で聖岳の懐にある滝が樹間に垣間見える。
やがて、薊畑。予定よりもずいぶん早いが、聖を見るとガスの中。登るのは明日でいいやと、聖平小屋へ。
小屋は、中もきれいで、幕営場も広い。食事はやや質素なものだったが、ご飯のお代わりもできるので量の問題はなかった。三連休の初日だけあって、宿泊は満員。ぎりぎりの狭さの中、お隣さんは、あす易老岳まで縦走の上易老渡に降りるとのこと。光岳は別途行ったので、その間を埋めるのだそうな。確かに南アルプスはアプローチも悪いので、三連休といえども連泊行程は組みにくいのであろう。
到着とともに休んだおかげもあって、夜は2時間毎に目が覚めたが、何となく眠れたように思う。
❷聖平小屋〜聖岳(奥聖岳)〜聖平小屋
第二日。小屋の朝食が4:30からであったので利用。
食べ終わる頃に、ちょうど日の出。小屋から見ると、ちょうど笊ヶ岳のあたりから。撮影しそびれ。
小屋にリュックを残して、サブパックで出発。身軽。
昨日降りてきた薊畑を過ぎ、小聖へ。樹木の生い茂る最初の小さなピークを過ぎると、砂礫の目立つ急な登りに。やがて小聖岳。
小聖岳からは聖岳山頂までが見えているが、一枚壁を登ることになるのが分かる。蟻のような人影が登っていくのは、かなり急な斜面だと見える。昨日の西沢渡からの登りと同様、こういった激しい登りは体力のある時間帯に限る。
礫よりも砂が支配的な歩きにくい急坂を登る。一枚斜面を登り続けるので、途中で振り返ると、あとに続く方々が見えるし、これから始まる縦走路が一望できる。途中で気がつくと聖平小屋も見えている。
実は聖平小屋は絶好のポジションであり、聖岳からも見えるし、この先の縦走路からも何度か姿が見える。低地でありながら、目立つ場所なのである。
戻って、山頂への登りを続け、やがて山頂に。下からの厳しい登りとは異なり、奥聖岳から続く広大な山頂部である。
本日は快晴。360°全てが遠くまで見通せる。南アルプスの北岳、塩見岳、荒川岳、目の前の赤石は当然ながら、北アルプスの穂高、槍さらには以遠の山、中央アルプス、御嶽、恵那山、光岳からの縦走路、富士山、八ヶ岳などなど。見えすぎて“食当たり”しそうなくらいによく見える。
奥聖岳からの聖岳の眺めを楽しんだ後に、下山。先ほどの登りは下りのほうが足には悪そう。砂礫を落とさないように気を配りつつ、慎重に降りる。ちなみにこのとき山頂部でお会いした三人連れの方々とはこのあと光岳まで何度もお会いすることになった。
帰りは小聖岳〜聖岳間にある水場に立ち寄り。急峻な岩陰に水場。とても冷たいが、汲めない。
そして再び聖平小屋へ。4時間をわずかに切った。予定よりもだいぶ早いので、靴を脱いで睡眠を取り、早めのお昼を摂った。外のベンチで食べたが、向かい側に座った方と会話。今日便ヶ島から登ってきたというこの方は、同年配。しかしこちらと異なり、いかにもたくましく、山がよく似合っている。このあとの行程も同じようだ。
この“聖平の隣人”とは、このあと何度もお会いすることになる。
❸聖平小屋〜茶臼小屋
今日は、聖岳で満足していてはいけなくて、上河内岳を経て茶臼岳に至るこのあとのルートも標高差は聖単独と同じくらいある。それを承知で睡眠まで取ったので、気合い十分な状態で出発。しかし、今日初めてのフル装備に、当初は足取りが重い。分岐からしばらくで緩やかな登りの末に2300m台のピークがあり、そこからは平行路をたどる。こんな始まりなので、足慣らしにはちょうど良い。
やがて、南岳への取り付き。崖状の尾根を登り始める。やがて頂上に到着するが、聖岳ほか3000m峰がよく見渡せる。
南岳からは、同じような傾斜が上河内岳に続いている。途中からは沢筋になり、やがて肩に到着。肩から上河内岳へは残り標高差約50mの一気の登り。上河内岳は360°の展望。特に、聖岳の絶好の展望台。上河内岳からは、南アルプス最南部の3000m級の巨人3座がバランスよく見える。それぞれの個性がよくわかる。
肩に降り、竹内門へ向かって進む。途中から竹内門が見えているが、確かに山中には似つかわしくなく、屹立した岩が門のようになっている。竹内門を過ぎて振り返ると、上河内岳が既に遠く高く聳えている。南側からだと、北側からのように順次登るわけではないので、さぞや大きな登りとなるのであろう。
南下するこちらは、二重山稜と思しき“お花畑”(今では“元”を付けた方がいいかも)や、珍しい亀甲状土などを過ぎ、やがて茶臼岳が眼前に迫って、見晴らしのある場所に。左手は行き止まり、と書いてあるのを承知で、左に進むと“ハイジの丘”と標識。見えるのは、この先の茶臼小屋との分岐や茶臼岳。後ろには雄大な上河内岳。
道に戻り、分岐からは茶臼小屋へ。ずいぶん下降する。明日の登りは最初から大変だ、などと思いつつ茶臼小屋へ。
茶臼小屋は、定員こそ聖平よりも少ないが、設備はきれい。トイレもこちらも環境配慮形である。ジュースなどは流し水にさらされていつでも冷えている。トマトがそのまま冷えている。思わず頬張る。生でかじって、うまい。
先の分岐以来同行の方と会話。明日は光岳小屋に宿泊し、下山の予定とのこと。服を水洗いされると聞いて、こちらもまねして下流でTシャツなどを水洗い。しかし、夕方以降は日差しがなくなるため、乾かなかった。
食事はなかなか工夫のある内容。お刺身が珍しい。夜は、団体が一件キャンセルされたそうで、結果的に空いた状態であった。
❹茶臼小屋〜光岳〜光岩〜光小屋
茶臼は朝食として宿のお弁当を一つ食べて、予定通りの4時頃に出発。茶臼への途中で日ノ出が近いと思う様相になり、待機。しかしそこからが長い。ようやく太陽が笊ヶ岳付近から出る、と思ったとたんにこちらの山頂にガスが立ちこめる。名残の一枚を撮りつつ、頂上へ。なんと茶臼頂上ではブロッケン現象が。ちょうど富士山が光岳側にできた雲に投影されている。これは珍しい、と写真を撮ろうとするが、なんとも撮ることができない。理由はよく分からないが。
ブロッケン現象は一瞬にして消滅してしまい、ガスが少し切れる。その隙に、とばかりに縦走開始。標高を少しずつ下げながら、希望峰へ。希望峰からは仁田岳に立ち寄り。光岳にややガスがかかっているようだが、それがなければ光岳の良い展望台であろう。
希望峰に戻ってみると、“聖平の隣人”が。女子サッカーの決勝はラジオでは聴けないそうな。そうか、そういえば昨日そんな会話をしたな、とようやくサッカーを思い出す。
易老岳への途中で6時。6時のニュースを聞いてみるが、試合はまだ途中だという。延長でなでしこはリードを許しているようだ。
易老岳への木立の間の緩い上り下りを繰り返し、やがて、易老岳へ。山頂は縦走路からほんの少し外れていて、注意しないと見過ごしてしまいそう。
ここで三度目となる、リュックをデポしての光岳山頂トライへ。
身を軽くして進むが、鞍部までが長い。いつまでもアップダウンを繰り返し、やっと光岳本体に取り付いたと思ったら、足くらいの大きさの石だらけの沢である。これを淡々と登り続けると、静高平。水が枯れていないようだ。汲んでみるが、冷たい。これが本日最後の清水か。
眺望のイザルガ岳へ向かうが、残念ながら、聖、上河内、富士山はいずれもガスに頭を覆われている。遠く中央アルプスや、恵那山はきれいに見えている。大無間山も間近く大きい。
十分な展望の得られないままに、光小屋を越えて光岳へ。途中から女性のうしろに続く。雛には希な美人である。やがて、美人に牽かれて山頂に。百名山でも最後の一山にする人が多いと聞くが、そんな証拠の品は今や撤去されているようだ。樹間の静かな山頂。百名山らしくない。ちょっと先には光岩の展望台。山頂で先ほどの美人に写真を撮ってもらうが、彼女は先へ。先には光岩がある。
こちらも光岩を目指すことに。看板にあるとおり、約7分で到着。先客である彼女が岩の上でくつろいでいるのが見える。こちらが近づく姿を見て、岩の上を譲ろうと。おそらく“岩の上のトカゲ”を決め込んでいたであろう彼女には申し訳なかったが、おかげで岩の上の写真を撮ってもらうことができた。聞けば彼女は小屋でアルバイトをしているようだ。毎朝こうやって散歩しているのだろうか。贅沢な過ごし方である。
光岩ではミネウスユキソウやミヤマムラサキなどを見ることができた。これだけでも、ここまで足を運んだ意味があろうというもの。
光岩から光小屋に引き返し、小休止。小屋はきれい。ちょうど朝のお仕事が終わったところ。先ほどの彼女も姿が見える。こじんまりした小屋だ。
ちょうど、“聖平の隣人”が到着。女子サッカー決勝の結果を知らないことや、昨日の小屋の食事のことなど、あれこれと会話。会話しながら、昼食。ついでに、昨日同様にゆっくり休めるといいが、雨との競争になりそうなので、そこそこで出発。“聖平の隣人”はゆっくり食事。おそらくこれが最後になろうかと思い、お別れを。
❺光小屋〜易老渡…便ヶ島
光小屋からは急ぎぎみ。静高平から三吉平にかけての岩下りも駆け下り。ちょうど付け根付近で“茶臼の隣人”とすれ違い。天候を見て、今日下山することに変更する、とのこと。時間的には相当にタイトと思われることをお伝えして、お別れ。
先ほどから雨粒が見え隠れ。やがて、易老岳。置き去りリュックが濡れてはいないかと心配したが、全くそんなことはなかった。
易老岳から、いよいよ今回最後の下り。約1,500mの一気の下りである。降りたときに足がおかしくなっていそうだ。
最初のうちは根張りのよい痩せた尾根、そのうち、土も目立つ急斜面、面平から先は、急下降の狭い尾根筋か、広い斜面を大きくジグザグを切って降りるか。途中何度も振り返ってみたが、とても登る気にはならない斜面だ。聖岳を先にして良かったと思う。
最後は急崖に無理矢理付けたようなへつり道を下って易老渡。易老渡から便ヶ島まで車道をとぼとぼと歩く。やがて、駐車場。ついに終了。
車での帰りに、易老渡に居た車を見ると、“聖平の隣人”である。やはり易老渡に車を置けたらよかったようだ。
その後、「かぐらの湯」へ。よもや、「かぐらの湯」からの帰途、“茶臼の隣人”が上島トンネル口にいらっしゃるところに遭遇するとは思わなかった。
再会の多い山旅であった。
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