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Yamareco

記録ID: 329156
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
剱・立山

長次郎谷から剱岳へ 予想外の雨天にも完遂

2013年08月03日(土) 〜 2013年08月04日(日)
 - 拍手
体力度
9
2〜3泊以上が適当
GPS
16:37
距離
25.7km
登り
3,749m
下り
3,769m
歩くペース
速い
0.70.8
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

3日7:20室堂発−8:00一の越−9:05雄山−10:50別山11:20−12:00剱沢キャンプ

4日3:30剱沢キャンプ場発−4:55長次郎谷出合−6:20熊の岩−7:15長次郎のコル
−7:43剱岳山頂7:50−8:20早月尾根ヘルートミス・折り返し−9:05剱岳山頂再び
−9:20カニのよこばい−11:20剣山荘11:35−12:00剱沢キャンプ場13:00−15:15室堂
天候 8月3日 晴れ   8月4日 雨のち曇り
過去天気図(気象庁) 2013年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
立山駅周辺の駐車場は土曜日早朝4:00で9割ほどの埋まり具合
コース状況/
危険箇所等
剱沢−積雪量豊富、剱沢山荘からしばらくは右岸を歩き、滝を過ぎてから、
   雪渓に降り立つ。
長次郎谷−雪渓には落石多し。熊の岩までは30度程度の斜面。
   熊の岩から上部は35〜40度の急斜面。早朝でも雪の緩い箇所は
   アイゼンが効きにくい。晴天時はさらに雪が緩むだろう。
   長次郎のコル手間で雪渓の断裂箇所あり。その高さ3〜4mあり、越えるのは
   困難。谷の右側はなんとか雪がつながっていた。ただ、お盆以降は
   この部分も断裂する恐れあり。
北方稜線−一切の目印、ペイントなし。微かな踏み跡はあり。浮き石も多く、
   後続者がいる場合は要注意。雨天でも意外と滑りにくかった。
カニのよこばい他−雨天でも結構な登山者あり。渋滞30分待ちであった。
予約できる山小屋
立山駅にて
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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立山駅にて
始発便に乗車
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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始発便に乗車
急こう配を登っていきます
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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急こう配を登っていきます
まだ曇り空の下界
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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まだ曇り空の下界
称名滝
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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称名滝
雲の上に出た  いい天気!
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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雲の上に出た  いい天気!
高原道路を振り返って
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高原道路を振り返って
ソーメン滝
太陽が眩しい〜
室堂の展望台より 富山市内はまだ雲の下
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室堂の展望台より 富山市内はまだ雲の下
左奥に剱岳
ここから登頂開始です
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ここから登頂開始です
スプーンカットされた雪面模様が綺麗〜
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スプーンカットされた雪面模様が綺麗〜
雷鳥平を俯瞰  
雄山を仰ぎ見る
遠くには槍ヶ岳
八ヶ岳方面にかけての一面の雲海
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八ヶ岳方面にかけての一面の雲海
北アルプス南部を一望
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北アルプス南部を一望
中央の平原は五色ケ原  その向こうに薬師岳
その左に黒部五郎岳、そしてトンガリは笠ヶ岳
一番左の尖がりが槍ヶ岳
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中央の平原は五色ケ原  その向こうに薬師岳
その左に黒部五郎岳、そしてトンガリは笠ヶ岳
一番左の尖がりが槍ヶ岳
五色ケ原をアップ
見事に平原です
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五色ケ原をアップ
見事に平原です
五色ケ原のバックには薬師岳、黒部五郎岳
そして笠ヶ岳
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五色ケ原のバックには薬師岳、黒部五郎岳
そして笠ヶ岳
雄山山頂
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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雄山山頂
雄山の祠
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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雄山の祠
沢にはまだたくさんの雪が
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沢にはまだたくさんの雪が
見事な雲海です
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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見事な雲海です
沢から湧き上がってくる雲
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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沢から湧き上がってくる雲
雲海の右には富士山
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雲海の右には富士山
雄山神社
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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雄山神社
筋状の雲が爽快
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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筋状の雲が爽快
これから歩く行程が見える。
遠くには剱岳も
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これから歩く行程が見える。
遠くには剱岳も
雄山を振り返る
気持ちいい空
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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雄山を振り返る
気持ちいい空
気持ちいい稜線歩き
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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気持ちいい稜線歩き
富山平野にも雲海
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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富山平野にも雲海
真砂沢
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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真砂沢
内蔵助カール
心癒される風景
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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心癒される風景
別山に到着
剱岳が目前に
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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別山に到着
剱岳が目前に
別山北峰より剱岳を望む
明日目指す長次郎谷は山頂直下の右側の谷
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別山北峰より剱岳を望む
明日目指す長次郎谷は山頂直下の右側の谷
長次郎谷をアップ
所々、雪渓が断裂しています
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長次郎谷をアップ
所々、雪渓が断裂しています
長次郎谷と八ツ峰
雲海の向こうには白馬三山
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雲海の向こうには白馬三山
剱沢を見下ろす
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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剱沢を見下ろす
別山乗越方面を見る
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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別山乗越方面を見る
剱岳をバックに自分撮り〜
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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剱岳をバックに自分撮り〜
剱沢へ降りていきます
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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剱沢へ降りていきます
剱沢キャンプ場が見えてきた
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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剱沢キャンプ場が見えてきた
あぁ〜 剱岳にガスがかかっていく〜
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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あぁ〜 剱岳にガスがかかっていく〜
テン場に到着
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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テン場に到着
剱沢小屋からはもう山頂はガスで見えなくなった
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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剱沢小屋からはもう山頂はガスで見えなくなった
ビール冷やし中〜
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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ビール冷やし中〜
テントの中は暑いので、マットを外に敷いて
くつろぎ中〜
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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テントの中は暑いので、マットを外に敷いて
くつろぎ中〜
楽しみの夕食タイム
やっぱり肉が欲しいねぇ〜
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楽しみの夕食タイム
やっぱり肉が欲しいねぇ〜
夕暮れ時、再び山頂が見えてきた
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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夕暮れ時、再び山頂が見えてきた
トワイライトタイム
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トワイライトタイム
剱岳がシルエットになっていく
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剱岳がシルエットになっていく
午前4:00 剱沢を下っていく
空からは雨が落ちてきた。
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午前4:00 剱沢を下っていく
空からは雨が落ちてきた。
そしてここが長次郎谷出合
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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そしてここが長次郎谷出合
長次郎谷出合から剱沢を見る
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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長次郎谷出合から剱沢を見る
低い雲がかかっている長次郎谷
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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低い雲がかかっている長次郎谷
長次郎谷は落石が沢山
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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長次郎谷は落石が沢山
こんな落石が当たったら終わりだ
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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こんな落石が当たったら終わりだ
長次郎谷を振り返る。
この辺りで斜度30度ほど
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長次郎谷を振り返る。
この辺りで斜度30度ほど
熊の岩が見えてきた。
完全にガスの中。
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熊の岩が見えてきた。
完全にガスの中。
熊の岩周囲のシェルンド
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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熊の岩周囲のシェルンド
熊の岩上部にはクライマーたちのテント

ここから、左俣を進むが、急こう配で
写真を撮る余裕なしだった。
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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熊の岩上部にはクライマーたちのテント

ここから、左俣を進むが、急こう配で
写真を撮る余裕なしだった。
左俣を詰めた辺りで出現した断裂した雪渓
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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左俣を詰めた辺りで出現した断裂した雪渓
断裂した雪の壁、その高さ3〜4m
こんな壁は越えれないので、
なんとか雪面が繋がっている箇所を探す
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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断裂した雪の壁、その高さ3〜4m
こんな壁は越えれないので、
なんとか雪面が繋がっている箇所を探す
雪渓をなんとか乗り越え、長次郎のコルに
到着。
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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雪渓をなんとか乗り越え、長次郎のコルに
到着。
雨、ガスが強い。
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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雨、ガスが強い。
長次郎のコルより北方稜線を見上げる。
まったくの視界不良、雨風の最悪のコンディション。
細心の注意を払い越えていく。
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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長次郎のコルより北方稜線を見上げる。
まったくの視界不良、雨風の最悪のコンディション。
細心の注意を払い越えていく。
北方稜線への一般登山者立ち入り看板
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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北方稜線への一般登山者立ち入り看板
即席パーティーを組んだskier1303さんと
感動の山頂ショット!!
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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即席パーティーを組んだskier1303さんと
感動の山頂ショット!!
現在、山頂の祠はありません。
修理中だとか。
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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現在、山頂の祠はありません。
修理中だとか。
カニのヨコバイプレートも雨に濡れてます
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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カニのヨコバイプレートも雨に濡れてます
核心部のカニのヨコバイ
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核心部のカニのヨコバイ
雨に濡れた梯子はよく滑った!
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雨に濡れた梯子はよく滑った!
岩の種類によっては滑ります
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岩の種類によっては滑ります
高山植物にほっとした瞬間
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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高山植物にほっとした瞬間
コバイケイソウの群生
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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コバイケイソウの群生
一面に咲いていました
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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一面に咲いていました
だいぶ標高が下がってきましたが
依然周囲はガスの中
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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だいぶ標高が下がってきましたが
依然周囲はガスの中
剣山荘にようやく着いた
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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剣山荘にようやく着いた
この雪渓を越えれば剱沢山荘だ
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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この雪渓を越えれば剱沢山荘だ
今朝、真っ暗の中を下っていった剱沢
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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今朝、真っ暗の中を下っていった剱沢
ようやく午後になって日が射してきた
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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ようやく午後になって日が射してきた
別山乗越を越えて、室堂が一望
2013年08月04日 20:32撮影 by  DMC-FT3, Panasonic
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別山乗越を越えて、室堂が一望

装備

個人装備
ピッケル
アイゼン(10本以上)
ヘルメット

感想

7月末より富山県に長期出張となった。

季節は夏。
このタイミングはなんというGOODな状態だろう。
これは北アルプスに登らないわけにはいかない・・・・
ということで、最初の土日は上手い具合に仕事も連休が取れた。

最初のターゲットは剱岳。
でも、ノーマルルートでは面白くないし、一度に二度美味しいとルートを
考えると、長次郎谷から剱岳を目指し、別山尾根から帰るルートが
いいだろうとこの出張が決まったときからずっと考えていた。

ピッケルとアイゼン、ヘルメットをザックに忍ばせ、
降り立った室堂ターミナル。

絶好の登山日和だ。

まずは雄山から真砂岳、別山を縦走して、明日への足慣らしだ。

一ノ越に着くと、真っ先に目に飛び込んだのは槍ヶ岳。
さらに、雄山へ向けて標高が稼いでいくと、薬師岳、黒部五郎岳、五色ケ原が
次々と見えてくる。
昨年歩いたコースが一望し、なんとも感慨深い。

雄山までは地元中学校の集団登山などで渋滞ぎみだったが、
雄山から先は人も減り、縦走気分が盛り上がる。

後立山連峰も一望出来て、そのバックは見事な雲海が広がっていた。
きっと今朝は見事なご来光が臨めたんだろう。

別山からは剱岳が正面に圧倒的な迫力で見えてくる。
明日登る長次郎谷もはっきりと見える。
明日は無事、あの頂上に立てるのだろうか。
期待と不安がさらに募ってきた。

剱沢キャンプ場にはちょうど正午着。
テントを張るが、照りつける日差しがきつく、暑い。

ようやく日が陰ってきたころ、雪渓の雪で冷やしたビールを空けて、
夕食準備を始める。

賑やかだったキャンプ場が日暮れとともに急に静かになっていった。
皆さん、明日の剱岳アタックに向けて、早々の就寝なのだろう。



夜中1時頃に目が覚めてテントから覗く空には星空があったのが、
起床した2時過ぎには見えなくなっていた。
天気予報では今日の方がいい天気だったはずなのだが・・・

テントをそのままにして、サブザックにアイゼン、ピッケルを放り込み
AM3:40いよいよ長次郎谷へ向けて剱沢を下っていく。

剱岳を見上げると、数珠つなぎとなったヘッドライトが瞬いていた。


剱沢を半分ほど下ったであろうか、小雨が降り出した。
なんてこった。まったくの予想外である。
雨具を着込む。

AM4:50 長次郎谷出合に到着。
同じくしてこの場所で出会ったskier1303さんと即席パーティーを組む。

登り始めの長次郎谷は30度ほどの斜面。
落石が至る所にある。これ以上雨が強くなれば、これらの落石が
滑り落ちる可能性も高くなるだろう。
苦しい登りだが、極力顔をあげて、前方の落石に注意をする。

1時間ほどで熊の岩に着いた。
周囲は完全にガスに覆われている。
雨もさらに強くなってきた。
ここで一息を入れて、これからの核心部分に備える。

左俣へ向けて、斜面をトラバースする。
雪が緩く、アイゼンが効きにくい。
さらに10本爪アイゼンだから、横滑りしやすい。
ピッケルを確実に雪面に刺して、登っていく。

この辺りからはskier1303さんとなるべく離れないように進んでいく。
少しでも離れるとガスで視界から外れてしまうのだ。

さらに傾斜がきつくなってきた。
35〜40度はあるだろうか。

春の山スキーなどではこれくらいの斜面も登ったことがあるが、
その時はアイゼンが良く効く。
しかし、この時期の雪渓は雪が緩く、前爪だけでは簡単に滑ってしまう。
フルフラット接地を意識し、一歩一歩確実に登らなければ
即滑落の危険が迫る。


目の前の雪渓が突然、大きく切れ込んでいる。
事前の情報で得ていた雪渓上部の断裂部だ。

その深さは3〜4mはあるようだ。
とても越えてはいけない。
左に右にと急斜面をトラバースして、なんとか雪のつながっている箇所を
探すと、一番右寄りが唯一つながっているようだ。

ピッケルのポジションを変えて、空いている手も使い、最後の急斜面を
駆け上がる。

長次郎谷出合から2時間少し。
skier1303さんと無事コルに立つことができた。
がっちりと握手を交わす。


ここからは北方稜線の一部だ。
道標やペイント、目印は一切なく、わずかに残る踏み跡も岩場ではほとんど
見つけることが出来なかった。
降りしきる雨と叩きつける風。
濡れた岩場を細心の注意で登っていく。
浮き石も多く、非常に危険な状態である。


そして、微かに聞こえる人の声。
山頂が近いことを確信した。

AM7:40 無事二人で剱岳山頂に立つことが出来た。



ここからはカニのヨコバイを経由して別山尾根を下りていく。

しかし、ここで致命的なミスを犯してしまう。

なんと早月尾根を下りて行ったのである。
しかも標高2700m近くまで下りて行って気が付くという失態。

ガスで見失う方向感覚、疲労と山頂についた安堵感。
まさか間違えることなんてないだろうという思い込み。

色んな原因がそこにはあったのかもしれない。



早月尾根からの登り返しが身体的にきつかった。

再び剱岳山頂に立ち、別山尾根を下りていく。

早速現れるカニのヨコバイで渋滞が発生していた。
待ち時間と共に増大する体の冷え。
吹き荒れる雨風にどんどんと体温が奪われていくのがわかる。
こんな時が一番事故の起こり易い状況だ。
集中力が途切れないようにしなければならない。


AM11:20 ようやく剣山荘到着。
ここでskier1303さんと別れる。
再び固い握手を交わした。
即席パーティーであったが、二人いたことで、テンションを保つことが出来て、
最後まで登りとおすことが出来た。
本当に感謝の気持ちで一杯だ。

剱沢キャンプ場に戻り、テントを撤収。
このころには雨も上がり、青空が覗くようになる。
剱岳に掛かる雲も幾分少なくなったようだ。

別山乗越を越えて、雷鳥沢まで下りる。
硫黄の臭いがきつくなった頃、再びskier1303さんと出会う。

室堂からバス、ケーブルカーと乗り継ぎ、立山駅でskier1303さんとは
最後の別れ。
後日、ヤマレコ上で出会うことを約束し、今回の山行は終わった。

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