西天狗〜硫黄岳山荘泊〜赤岳


- GPS
- 30:58
- 距離
- 14.8km
- 登り
- 1,595m
- 下り
- 1,778m
コースタイム
天候 | 一日目:晴れのち曇り 二日目:ピーカン |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
二台目:登山口(唐沢鉱泉)へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山道自体に特別な危険箇所なし。 ただし、赤岳展望荘〜頂上小屋間は変な意味で別世界。 一眼レフ片手で抱えたまま降りて20cm経の落石する中年男、 下り優先で行列降下してくる高齢者ツアー、 鎖1ピッチに一人を守れないオヤジ(関西弁)、 薄い空気の山頂で大声で世間話を続ける(関西弁)オババ達などが多数生息。 |
写真
感想
友人M氏。10数年前に、赤〜硫黄縦走したあとまったく山に登っていなかった彼は、10kg以上体重増加してしまった。
その彼から八ヶ岳縦走の案内役を託されたのが春頃。ちょうど私が転倒骨折(街中で)が完治していない頃だった。
いくつかのレベルの選択ルート(超お気楽〜歯ごたえあり)のうち、彼が選んだのが「やや軽め」の本ルート、唐沢鉱泉〜西天狗〜東天狗〜根石〜箕冠〜夏沢〜硫黄〜硫黄岳山荘泊〜横〜赤〜文三郎降下〜行者〜南沢〜美濃戸、という縦走だった。
前夜山麓の山荘に泊まり、二日酔いを気にせずタリスカーを飲んで就寝。彼のためにミズノの膝サポーターを持ってきたが、「要らない」と力強く言われたので、置いていくことに。(これが大失敗!)
駐車予約しておいたやまのこ村に5時過ぎに一台駐車。もう一台で唐沢鉱泉へ。6:20に橋を渡って出発するが、しばらく行った所で連れが車のキーかけ忘れを心配し戻ることになった。やっぱりキーは開いていたという。
最初からTシャツで十分なぐらいの気温。
彼のザックはパンパン。中からビデオデッキを取り出した。
10数年前の縦走は、彼がご両親に付き添ったイベントだったのだが、加齢と持病のため、もうご両親はとても山に登れるコンディションではない。今回の山行を話したところ、非常に羨ましがられたとのことなので、せめて山の風景をビデオで見せてやろう、との思いで持ってきたものだという。
私も撮影隊やビデオ出し入れの介助をして、彼の親孝行をサポートした。
ポイントから戻ってはビデオ回し、MC入れたりと、時間のかかる行きつ戻りつの山行となったが、十分山の空気が反映された動画が撮れたはずである。
西天狗西尾根はとても登りやすく、最後の岩場は四足動物と化して3点支持でガンガン行ける者にとっては、高度が稼げて楽勝だが、慣れない者にはチト厳しい様子。途中で中山や縞枯の縞枯れ現象や、蓼科までの北八ヶ岳、根石〜赤・中・阿弥陀の南八ヶ岳の眺望をビデオ撮影して、西天狗山頂に到着。
ここでサプライズ。10数年ぶりの彼の登山再開を祝して、冷水による頂上野点をプレゼント。お点前は作法通り2杯半で。美味しいと大感激の彼に続き、私もひとつ・・・やはり真夏の山頂は冷たい抹茶に限る。
山頂に飛翔して遊ぶキアゲハ♂を見ながら、東天狗へ吊尾根横断。鞍部の風が嬉しい。この西天狗の件あたりから、連れの歩行が普通でなくなった。どうやら右膝を痛めたらしい。東天狗〜白砂新道頭〜根石という、私が八ヶ岳で最も愛する稜線を歩くのも、通常の半分以下の速度。ゆっくり歩けば痛みはなんとかなるらしい。
予定より一時間遅れて根石山荘へ。コマクサは終わりかけだが、まだ咲いていた。今夜はご飯ものだろうから、ラーメンを注文。3日前に「遊びに来た」という美系細身長身のへそ出しルックのお嬢さんが「すぐ作りますね」と和む声掛け。しかし、直後に聞こえてきたのは、ジャージャーとフライパンで炒める音。「ん?ラーメンでなぜ?」万が一焼きそばが出てきても文句言わずに頂こうと決めて待つこと10分。「お待たせしました」と出てきたのは、豚骨ベースちゃんぽんスープのラーメンだった。あの音は、野菜をごま油でソティーする時の音だったのだ!
胡麻油とスープが得も言えぬコンビネーションで、抜群の美味しさを演出している。山の上ではカップヌードルでさえ、下界の3倍の評価をしてしまうのだが、お世辞抜きでこの麺は下界でも十分勝負できる水準にあった。
相方がバッジ購入し、水補給して出発。有りがたみのない箕冠山頂上を左折して夏沢峠に降りる。途中、ニゴイチにない謎の三角点があった。
やまびこ荘で連れ合いがバッジ購入。硫黄はさすがに八ヶ岳銀座コースらしく、とても登りやすい。途中でちょっと人助けをして山頂へ。
「本当の最高標高地点はここじゃなくてあっち。更に二等三角点はその向こうなんだけど、こだわる?」と相方に聞くが、まあいいやということで山荘に急ぐ。やはり彼の膝のため、速度は出ない。
硫黄岳山荘着。ご主人の浦野さんが外で待ち構えていて「いらっしゃい」と笑顔で挨拶。
チェックイン手続き。入山口に唐沢鉱泉と書いたのを見て「西天狗の登り大変だったでしょ。」とご主人。そうか、10数年のブランクの彼には「大変」なルートだったのかもしれない。スマヌスマヌ・・・
荷物を個室に入れ、ロビーで生ビールを一杯。彼曰く「一瞬にして体中のあちこちに染みていく」旨さ。人生の中で5本指に入るビール。それにしても2600m強で生ビールとは凄い。「な〜に、昔と違ってヘリで運べるからね。」「でも北アの小屋みたいに毎週ヘリってわけじゃないよ。新鮮な野菜はいまでも歩荷さ。」とご主人。
間髪入れず、新設のシャワールームへ。おまけで山小屋オリジナルのタオル歯ブラシセットがもらえた。シャワールームは驚愕の綺麗さ。そして水量豊かな熱い温水に感激。石鹸シャンプー禁だが、シャワー後は肌がすべすべに。水質のおかげなのか?
入浴後もういっぱいずつ生ビール。今度は夏の入道雲見ながらテラスでグビグビ。
直射日光が厳しいので部屋に戻り小休止。連れは疲れのためイビキをかきだした。私は日没の頃の写真を狙って外へ。しかし、雲が出て望みなし。こまくさを撮って小屋へ戻る。
夕食の5:30、メインディッシュは、鶏唐揚げ2個とオイルサーディン一尾、その他野菜や杏仁豆腐。問題がサイドディッシュとして丼で出されたすき焼き風煮物。テーブルで同席した他の登山者たちも「何の肉だろう?」と話題に。「鹿でしょう。」と謎の断定をする私。実は根石山荘で小屋番さんが、硫黄岳山荘と無線交信しているのを聞いていたのだ。なんでも「硫黄で鹿が2頭網にかかった」という話。まさか当日捌かれて肉として出てくるとは思わなかったが、話の流れからこの肉はその鹿に違いないと思ったのだ。実食してみると、やはり脂身のない蛋白の塊の歯ごたえと、鹿肉独特の香りが充満していた。後に小屋番さんが「その肉は鹿です」と他のテーブルで解説していた。
硫黄山荘恐るべし。2600m超で生ビール、温水シャワー、ウォシュレット付き水洗トイレに加え、ジビエまで食べさせてもらえるとは。
個室でストラスアイラを飲んで、今日の山行を話し合って就寝。
翌朝3:30起床。トイレやパッキング、水補給など何だかんだでもたもたして出発が4:20。ヘッデンで台座の頭を目指す。東の空は少し明るくなってきた。
台座の頭で東と南の眺望が開け、雲海に浮かぶ富士や奥秩父山系が幻想的。
小屋のある大ダルミからはこっちの眺望がきかないのだ。
早発ちにはこれを見る意義と、もう一つ、銀座通りの鎖&ハシゴで渋滞に巻き込まれぬようにという意味合いがあるのだ。
奥の院、三叉峰〜日ノ岳と順調に。日岳一枚岩下りも、ゆっくりだが無事に通過。運良く大人数のPTとかち合うことなく二十三夜峰に。
彼にとって懐かしい展望荘。ご両親と泊まった思い出の宿。ここからピークまであまり人が多いと不愉快なので、トラバース道〜県界尾根と、三角形の二辺をいくルートも考えたが、通常ルートはメチャ混みではないし、県界尾根最後のリッジはハイマツの朝露でびしょ濡れになるリスクもあるため、通常ルートで登る。
この選択が間違えであったことは10分後に判明。いやはや展望荘〜頂上小屋は変な意味での別世界。いつも5時前に駆け抜けていて難を逃れていたが、6時過ぎたら今後は避けて通ることにしよう。(詳細は上記【危険箇所】の項目参照)
北峰からビデオ撮影。彼が南峰登頂までを追尾した。相方と一等三角点、遠くに富士を入れて写真撮影。一旦北峰の小屋に戻る。出来れば朝食を天の窓でと企んでいたが、残念、営業は10時頃からになるという。相方がバッジ購入。朝食はもしもの時のためにもって上がったパンで済ませることに。北峰は3000mで近所のおばちゃんの悪口をロングブレスで喋り通す3人のオバチャン(関西弁)の声が届くので、さっさと文三郎分岐の方へ避難。岩場の下りで膝が痛いらしく、超スローな相方。素手でガバ持たせて降ろさせたり、ストック一本だけ片手に持たせ、反対の手で岸壁掴ませたり、Wストックで段差降下させたりと、介護登山実践編さながらであったが、なんとか岩場通過。眼下に文三郎分岐〜中〜阿弥陀が迫る。
赤岳西面の岸壁の影ができている所で、ザック下ろして朝食。実は、3000m級に登るに当たり、ちょっとした実験をしてみたのだ。持って上がったのは、山崎製パンのランチパック。下界でも元々やや袋が膨らんだ仕様になっているが、これが気圧の低い好評高地でどうなってしまうのか?が実験の課題だった。
登山前日、山崎製パンに電話して、この件を問いただしたのであった。
「ランチパックを3000m級の登山に持って行こうと思うのですが、袋は破けずに形をキープしますか?それとも気圧低いと破れますか?」
あまりこのテの質問はないらしく、「少々お待ちください」とそこそこの時間待たされた結果、「破れる可能性があります。中の気体は窒素なのですが、予め少し破いて置いていただくほうがよろしいいと思います。」
そこで、「パン」と破裂してもいいように口を少し開けたビニール袋で二重包装して、破かずに登ってみたのだ。結果は、明らかに破けているふうでもないが、パンパンに張り詰めているわけでもない悩ましいじょうたいでザックから出てきたのだ。完全に気密であればおそらくパンパンに貼っているだろうから、破裂するような形ではなく、どこかの接着部分などに一部開口穴が小さく開いたのではないかと思われる。味は変わりなし。
食事中に日の高さがグングン上がり、どんどん影の境界が赤岳に近づいてきた。西面上部のギザギザから太陽が顔を出す瞬間を狙って撮影。黒い岩面のシャドウで揺るぎなくそそり立つ赤岳の不動の存在感を表現した。
さあ、ここから文三郎の下り。どピーカン日陰なしの灼熱地獄階段降下の始まり始まり。膝をかばう相方を時に介助し、行者小屋へ。コーラを狙うが水槽にコーラは浮いていない。ジュース類は、ポカリ、なっちゃん、カルピスウォーターの3種。相方はポカリ。私はなぜかカルピス。これもあまちゃん効果なのかもしれない。
あとは芸の無い南沢歩き。しかし、Wストックが松葉杖代わりとなった相方の足は重い。何度もザックをよこせと促したが、最後まで自分の荷物は自分で担ぐ、と頑固一徹。結局2時間40分!かかって美濃都へ到着。
デポしておいた車で唐沢鉱泉へ。日帰り入浴。に日焼けた肌に鉱泉が滲みた。
お疲れさん。体重落としたらサポーター持ってまたどこかへ行こう。
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