北ア 槍・鷲羽岳周辺 廃道巡り 宮田新道(千丈沢)-伊藤新道
- GPS
- 57:16
- 距離
- 63.5km
- 登り
- 4,131m
- 下り
- 4,259m
コースタイム
5:00 七倉ダム
6:15 高瀬ダム
7:10 林道終点
8:30-8:45 水俣川出合い
10:35-10:45 千天出合い
13:50 千丈沢(標高1900m付近) 泊
10/13
6:05 泊地
7:30-7:40 6ノ沢出合い(標高2050m)
10:20-10:45 千丈沢乗越
13:50-14:10 双六小屋
16:35 三俣山荘 泊
10/14
5:25 三俣山荘
5:30 伊藤新道分岐
6:25 平坦地(標高2350m付近)
7:45 赤沢
8:00 赤沢出合い
9:20 ワリモ沢出合い
12:15-12:50 噴湯丘付で入浴!
13:00-13:15 水俣川出合い
15:30 七倉ダム
天候 | 10/12:晴れのち雨(頂上付近は雪) 10/13:晴れ 10/14:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
今回は6時半でしたが、それより先に歩き始めました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
このルートは一重に沢の水量によって山行の成否が決まると思う。 水量の情報なく伊藤新道を下山に使用すると、水量多で激流状態で徒渉できず登り返した記録もあるので、水量の事前調査が重要。また、登り返しのことも考え日程に余裕をもった計画も必要。 我々は水俣川から入渓したので水俣川の水量が多ければ湯俣川も水量が多いだろうと、水俣川の水量を伊藤新道下山可否の判断材料にした。 ・水俣川:水量少なく巻道を使わなくても難なく千天出合いまで行けた。 ・千丈沢:水量少なく簡単な沢歩き状態で問題なし。六ノ沢も上部は急だが特に難しくはない。 また、宮田新道の痕跡はほとんどわからなかった。 ・伊藤新道 :上部の長いトラバースが山側の枝が邪魔だったりで少し歩きにくい。 :中部は普通の登山道状態で気持ち良く歩ける。 :下部は崩壊が進んでいる箇所も有り、トラロープフィックスも多く注意が必要。 :湯俣川は基本渡渉で進めるが、水俣川、千丈沢よりは水量多く徒渉時は水圧に注意。 また、両岸崩壊が激しく落石に注意。 崩壊したガレの上を通過することも多く、乗った岩を崩さない様に注意。(崩れたら岩雪崩の可能性あり) 千丈沢の幕営場所は、毎年台風等で沢の状態が変わると思うので、行ってみないと分からないといった感じだが、どこもあまり沢から高い所では張れる所がなさそう。 大雨の可能性のある時は危険。 |
予約できる山小屋 |
七倉山荘
|
写真
感想
9月の連休にこの計画を実行しようとしたのだが、台風の影響で沢の水量が多く、千天出合いまでも辿り着けなかった。
我々以外のパーティーは進んで行ったが、渡渉の苦手な我々は敗退するしかなかった。
今回はそのリベンジとして実行した。
10月11日
会社が終わって家には帰らず、関IC近くのマーゴの湯でお風呂に入ってから七倉ダムへと向かう。
夕食や休憩を入れて4時間くらいで七倉ダムに着く。
9月の連休より車が少ない。
寝酒を飲んで車中泊。
10月12日
今回は少しでも早く行こうとタクシーが出る前に出発。(タクシーは6時半から)
林道終点から晴嵐荘の間で小屋の方とすれ違った時、前回小屋に寄って敗退してきた事や水俣川の水量などお話ししていたため、我々の事を覚えていてくれ、リベンジしに来たと伝えると、今回は水量もかなり少なくチャンスですよと教えてくれた。
お礼を言って先に進む。
今回は晴嵐荘には寄らずそのまま吊り橋に向かい、降りた河原で沢支度をする。
前回は橋からすぐの巻き道を使ったが今回は最初から渡渉で進める。水深も膝くらいで問題ない。
前回苦労した渡渉点にもあっという間に着き前回の苦労は何だったのかと思うくらい楽である。
そんな感じなので千天出合いにもすぐ着き、少し休憩後千丈沢に進む。
この頃から雨がポツポツ降ったりやんだりしてきた。気温も下がってきて動いていないと寒い。
千丈沢は始め渡渉も多かったが次第に河原歩きになってくる。
時刻も12時を過ぎたので、テントを張れそうな所を探しながら進む。
何箇所か張れそうなところはあったが、どこも石などでフラットではない。
また、沢から少し高いだけのところにしかなく、大雨が降ったらヤバそうだ。
仕方ないが大雨は降りそうじゃないので、13時半頃見付けた所にテントを張った。標高で1900mだった。
テントを張ってすぐに焚き火の準備をしたが雨が結構降ってきた。 なんとかネバッたが結局楽しみにしていた焚き火はできなかった。
外はかなり寒くテントの中でバーナーを焚き温まった。
夕食を食べ、担いできたビールを飲んで就寝。
10月13日
朝は4時に起床。
外を見ると満点の星空。好天が約束された感じ!
朝食を食べ準備をしテントを撤収する。
相方が西鎌方面を見上げてなんか白いと言う。
私も見上げるとホントに白い。
どうやら昨晩の雨が上の方では雪になっていたようだ。
少し歩くと沢の水は一時伏流する。
再び流れが現れるがこの辺りからは沢を渡るのも飛び石で行けるので沢靴じゃなく登山靴でも大丈夫と思う。
途中、何本もの枝沢が北鎌方面から出合ってくる。
千丈沢乗越へは、枝沢の一つである六ノ沢に入らないといけない。
GPSで現在地を確認しながら沢を詰めて行くと、GPS読みで丁度2050m地点で枝沢と出合う。
その沢を目で追っていくと何となく千丈沢乗越へと続いている様だ。
去年登っている他のパーティーの記録ではこの出合いにケルンが有るとあったが発見できなかった。 おそらく沢が荒れたときに流されたのだろう。
他に目印がないか見回すと、出合ってすぐの左岸にある木の枝に色褪せた緑色のスリングがぶら下がっていた。
これが唯一の目印かも知れない。
六ノ沢下部は多少の水流はあるが沢靴じゃなくても全然大丈夫。
私は出合いで登山靴にチェンジ。(相方はもっと前に登山靴に履き替えた)
太陽は北鎌の向こう側なのでなかなか陽が当たらず少々寒い。
六ノ沢も良い感じで紅葉しており写真を撮りながら進む。
沢は上部で注意しないと槍方面へ向かう沢に引っ張られてしまうので、千丈沢乗越方面を確認しながら進む。
雪も薄っすら残っており、滑るのではないかと少し不安になったが問題なかった。
いよいよ乗越の標柱や西鎌尾根を歩く登山者がすぐそこに見える。
後ろを振り返るとかなりの急斜面、疲れるはずだ。
ヘロヘロになり(私だけ)やっと乗越に登り詰めた。
天気もすこぶる良く乗越には沢山の登山者が休暇している。
我々も休憩しながら行動食を食べたり写真を撮ったりゆっくりする。
その後、今日の目的地の三俣山荘に向け西鎌尾根を歩き出す。
今回はいにしえのルートを歩くのが目的なので通り道に無いピークはパスする。
天気が良いので景気を楽しみながら歩くが、この西鎌尾根、疲れた体には結構こたえる。
樅沢岳をなんとか登り双六小屋に到着。
ここで温かいコーヒー(私)とホットミルク(相方)を注文し三俣山荘までの道を確認する。
相方の希望で三俣山荘まで双六頂上経由で向かおうとしたが、私がバテバテで時間的に余裕がないのでトラバースルートで向かうことにさせてもらった。
トラバースルートと言ってもアップダウンはあり、今日最後の歩きを頑張る!
三俣山荘のテン場は結構こみ合っておりもう少し遅かったら良いところに張れないところだった。
早速テントを張り受付を済ませる。
受付で明日のルートを聞かれ、伊藤新道で下山と伝えると、昨日伊藤新道から登ってきたパーティーがいるとのこと。
これで今夜大雨が降らない限り湯俣川を下降できる事が確認できた。
受付でビールとおつまみを買ってテントに戻って乾杯。
寝る間際空を見上げると星空、安心して就寝する。
10月14日
起床し食事を済ませテントを撤収しトイレに向かう。
このテン場にはトイレはなく、小屋の中のトイレを使用する。
綺麗なので良いのだが、靴を脱がないといけないので少々面倒!
用を済ませヘッドライトを点けて出発。
伊藤新道へは小屋から鷲羽岳への登山道を辿り、鷲羽岳への登りになる所で右にトラバースする道がある。 特に道標や通行禁止の札等はない。小屋からはほんの数分である。
明るければ問題ないが、暗いと分かりにくいかもしれない。我々は前日偵察していたので問題ない。
伊藤新道に入ってすぐに明るくなってきたのでヘッデンをしまう。
槍ヶ岳と北鎌がシルエットになって綺麗だ。
延々続いたトラバースから尾根下降に入るところで平らな広場に出る。
他の記録にもあったが本当に小屋が建てられるくらいの場所だ。
テントを張るにも快適な場所だが水がないのが難点だ。(探せば水場があるのかな?)
尾根下降に入ると道は普通の登山道で、快適に歩ける。
尾根の後半は道が少々荒れてくる。
湯俣川が見えてくると更に荒れてきてトラロープのフィックスが何度か出てくる。
道も一部分かり難いところもあるので注意。といっても落ち着いて見回せば分かる程度なのでそんなに構えなくても大丈夫。
赤沢に降り立つと取付きにやたらと目立つホースが置いてある。
ここから湯俣川との合流まで5分くらいですぐ着く。
合流点で沢支度をし沢下降を開始するが、出合って直ぐは左岸の高台に登ってその上を歩く。 高台の上では焚き火の跡もあり、少々落石の危険もあるがテントが張れる。
高台を歩き沢に降り、そこからは渡渉を何度も繰り返し下っていく。
沢を下降し始めて1時間くらいのところで、私が河原の石に足を滑らせ転倒。
膝を強打し足の親指をひねってしまう。
暫く痛さでもがく。 もしかしたら膝のお皿を骨折したかもしれない。
暫くすると痛みが和らいできたので膝を動かしてみると骨折の様な痛みもなく動かせる。 どうやら骨折は免れた様だ。
打撲の痛みはあるものの歩いてみても大丈夫。しかし足の親指にも痛みがある。
取り敢えず歩けるので下降を続行。
この沢は両岸がガレガレでいつ落石が起こってもおかしくないくらい。
また、がけ崩れのガレの上を通過しなくてはいけないところも何箇所も有り岩雪崩を起こさないように注意しながら通過する。
基本どちらかの岸に渡渉していけば高巻きしないで行けるが、一か所バランス岩っぽいのがあるところはそのバランス岩の上を通って巻いた。 バランス岩に乗り上がる所が数手微妙。(不慣れな人がいる場合は注意)
バランス岩から沢に降りるところにトラロープがあるので、それを補助に下降する。
このバランス岩の通過がこの沢の核心のようなもの。 あとは難しいところもない。
次第に硫黄臭くなってきて、河原に黒い水の水溜りがある。 もしやと手を入れてみるとほのかに温かい。 いよいよ楽しみにしていた温泉地帯に突入したようだ!
進行方向に湯気が見える。近付いてみると噴湯丘でお湯がボコボコ沸いている。
触ってみると火傷する温度。 近くには温泉成分が固まったのかピンク色の物質が床のように広がっている。
二つ目の噴湯丘(湯俣川、水俣川合流点からも見える)で誰かが掘ったと思われる肩まで浸かれる黒い湯溜りがあったので、折角なので全裸になって浸かる。
相方はさすがに足湯でガマン!
かなりの時間ロスだが初めて野湯に入れて大満足! この後三日間くらい硫黄臭さがとれなかった。
そこからすぐ湯俣、水俣川合流点、少し手前でカップルとすれ違う。
もう少し長く入浴していたら全裸での入浴シーンを見られるところだった。。。
合流点で沢靴から登山靴に履き替え少し休憩してから高瀬ダムまで戻った。
転倒した際の足の痛みが終盤になってだんだん大きくなってきていた。
親指に関しては青くなっていたので翌日病院へ行ったら骨折していた。
膝の骨には異常なかったが靭帯を少し伸ばした?ようだ。
もしあの転倒でお皿を骨折していたらどうなっていただろうと考える。
骨折していたら・・・
・当然歩けないので救助が必要になる。
・救助がくるまで沢中ビバークとなる。
・台風26号が近付いていて大雨が予想される。
・救助が長引けば大雨で沢が増水し命の危険があった。
なんだか怖くなった。。。
後日相方に、もし骨折していたらどうやって救助を求めに行ったかと聞くと、「一人での沢下降は自信がないので伊藤新道を登り返して救助を要請しに行ってた」言っていた。
気を付けよう。
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