南アルプス/白峰三山縦走
- GPS
- 18:33
- 距離
- 27.9km
- 登り
- 2,914m
- 下り
- 3,576m
コースタイム
- 山行
- 6:29
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 6:53
天候 | 9/20 曇り、9/21 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
奈良田温泉第1駐車場に駐車。4:10に到着したがもう満車状態であった。500m上流側に第2駐車場があるがこちらは広大なので満車になることは無いのでは。 ◆広河原へのバス 奈良田5:30発広河原行きに乗車。9/20は第1駐車場から2台出た。約半数は釣り客なのでパラパラと途中下車していく。広河原には6:23に到着。 運賃は1130円(利用者協力金100円を含む)。 http://yamanashikotsu.co.jp/ |
コース状況/ 危険箇所等 |
◆登山ポスト 広河原のインフォメーションセンター裏口に設置されていた登山ポストで登山計画書投函。 広河原山荘にはより解りやすい所に登山ポストが設置してあった。 奈良田側では大門沢の林道終点近くの広河原庵に登山ポストあり。 ◆危険箇所 ・大樺沢コースはバットレスからの落石の危険性が告知されている。 ・西農鳥から農鳥に向かっての岩稜帯は西側が切れているので要注意。 |
その他周辺情報 | ◆温泉 奈良田の里温泉を利用。550円。駐車場は無いが、第1駐車場からはバス停裏の斜面の遊歩道を登って行くと数分で着く。孝謙天皇に由来するため「女帝の湯」と札が掛かっていた。ぬめりのあるぬるめの湯で長時間浸かっていられる。 食事処も館内にあるが営業は15時まで。 南アルプス山岳写真館も隣接しているが別に600円の入館料が必要。 |
感想
週間天気予報では冴えない週末のはずだったが行ってみて大正解。快晴の3000mの稜線闊歩は快感そのもの、白峰三山縦走はハードだったが充実した山旅だった。
ガイドブックでは白峰三山縦走は白峰御池経由で1泊目を御池か肩の小屋に採る2泊3道コースが紹介されているが、バットレスの展望なら大樺沢の方がいいでしょ、ならば北岳山荘泊りで1泊2日で行こうよ、との計画だ。
◆9/20
湘南を1時に出て奈良田に着いたのが4時過ぎ、その時点で奈良田の第一駐車場はほぼ満車。5:30のバスだったが、確実に乗れるように40分前からバス停で待っていたら山梨交通の方が寒いからと配慮してくれ早めにバスを開けてくれた。「右側の方が眺めが好いよ」とAki-CLさんが教えてくれたが広河原までの半分以上はウトウトしていた。途中何箇所かで停車して釣り師が降り、第二駐車場で乗車した客も最終的には全員座れるようにはなった。バスは6:23に広河原に着いた。一週間前の三連休は素晴らしい天気で素晴らしい人出だったようだが、今週は週の半ばまでの予報で週末が雨だったせいもあるだろう、人出は三連休よりも少ないと思われた。それでも16年振りに広河原に来た僕としては登山者の多さには驚いた。
各自準備を整えて6:34に広河原を出発した。気温は13℃と温かい。広河原山荘から北岳へ向かう登山道には20人程の隊列が出来てかなりなハイペースで歩いて行く。えっこのペース?と思いつつも後にも続いているのでしばらくは我慢して着いて行く。が、そのうちにポロポロと抜けていき自然にペースも落ち着いて来た。白根御池への分岐で大樺沢に向かう登山者は半数以下になる。16年前は大樺沢ルートはずっと左岸側に道が付けられていたが、今は1550mから1950mまでは右岸側を行くように道が付けられている。
流石に北岳は花の百名山。もう夏も終わり花の季節も終わったかと思っていたが、大樺沢に沿って行くと未だ未だ彩り豊かに花が咲いていた。大樺沢二俣までは未だそれほど勾配もきつくなく登山道の路傍の花々を愛でながら歩くことができた。段々とバットレスもそれと解るように近くなって来て二俣に至る。振り返ると鳳凰の尾根が手に取るように見えるが、まだあちらの方が高くオベリスクも望むことができない。曇天だがガスっぽくなく結構展望が好い。大樺沢ルートはバットレスだけでなく鳳凰三山の展望も好いのが大きな長所だ。
二俣からは徐々に勾配がきつくなってくる。a沢、b沢、c沢と数えて行くに従いバットレスの下部岩壁も近接してきて目を楽しませてくれる。ただだんだんとガスが出てきて、バットレスも鳳凰も隠してしまう。天気が持ってくれるかもちょっと不安なところだ。d沢を超えていよいよ八本歯のコルに向けての登りとなると一層厳しい。一人少し遅れて喘ぎながら登る。2800m近くまで登りふと振り返るとガスの上に出たのかガスが晴れたのか鳳凰の峰々がはっきり望めるようになった。もう地蔵よりも高く、オベリスクも全体像が見て取れる。バットレスも明瞭に見えるようになった。好展望に勇気づけられて八本歯のコルに出てそこから数分北岳に向けて歩くと今度はボーコン沢ノ頭の脇から富士山が現れた。八合目位からは雲の上だが、流石にそれと解る姿だ。八本歯のコルから10分程進んだ2910m地点で先行する3人が待っていてくれた。気温は7℃と随分低くなった。3000mの北岳山荘への分岐でザックを置き、流石に寒く感じるので各自上着を着込み、カメラだけ持って身軽になって北岳に向かった。
12:12に北岳山頂に到着。山頂には10人程の登山者が集っていた。山頂からは360°の展望。とは言え雲も多く北アルプスは槍の穂先が見える程度だが、中央アルプスの稜線は全部展望できるし仙丈ヶ岳、甲斐駒、鳳凰三山は手に取るように望める。10分程展望を楽しみ、デポ地点に向かって降りる。デポ地点からは北岳山荘に向けてトラバースして行く。トラバース路は一部梯子を組んだ場所があるが、その他は穏やかなシングルトラックの登山道だ。
13:30に北岳山荘に到着した。さて、その先、農鳥小屋まで進むか?との話もあったが、当初計画通り今日はここまでで良いでしょうと言うこととなり、幕営準備になった。北岳山荘では水場まで往復90分とか書かれていたので危惧していたが、実際には小屋の入口で無料で配給してくれることに今年からなったようだ。有り難い。我々が到着した時には数張りだったが最終的には十数張りになった。この幕営地からは富士山と北岳が真っ正面に展望できるが、バックドア側を富士山側とした。14時にはゴロ寝になりAki-CLさんは中ア山行に続き頭痛を訴えて昼寝となる。13KさんとT女史と僕は13Kさん持参の梅酒で一杯、歓談して時を過ごした。16時から夕食、今晩はレトルトカレー、みそ汁に加えてSolleoneのペンネを持って来た。果たして3000mでもちゃんと食べられるものになるの?と思っていたが時間は5割程余計に掛かったが充分に美味しく食べられるペンネが出来上がった。軽いし今後は取り入れて行っても好いかもしれない。
ワインを呑みながら夕食を食べ、その後ウィスキーや梅酒で段々と酔いも進んで行くが、外で「晴れて来た」と声がする。日没の頃が近くなって外に出てみると雲は残っているものの高層雲で随分とクリアーな空気になってきた。17:30頃からみんな山荘上の稜線ルートに上がって夕陽を見に集まって来た。稜線ルートからは雲海に沈んだ伊那谷越しに中央アルプスが衝立のように黒いシルエットになって立っている。太陽は越百山の左に落ちて行った。我々は19時就寝としたが、それより早くウトウトしだし各自就寝モードに入って行った。しかしまた外から「夜空ヤバッ」とか聞こえて来たのでモゾモゾと身を乗り出して除くと雲が一切なくなり満天の星となっていた。星降る夜とは正にこのような夜を指すのだろう。天の川もくっきりと見える。こんな夜空を子ども達に見せてやりたいと思うがここまではそうそう来られないなぁ。こんなに良い天気に恵まれると知っていたら双眼鏡を持ってくるんだったと少し後悔する。
ともかく明日の好天も半分以上約束されていると安心して眠りについた。とは言え夜半寒さを感じてぐっすり休めたとは言えなかった。凍結する温度ではないが0℃程度までは下がっていたのだろう。
◆9/21
起床は3時。朝食はT女史が用意した五目ご飯と数々のおかず。それにコーンスープ。スープの袋の角がハサミで面取りしてあるのにも細かい心遣いを感じる。結構満腹になる朝食を終えて外に出ると薄く雲は見られるもののほぼ快晴。早朝でも甲府盆地が明るい。三日月が輝き、オリオンも輝いている。今日は好天だろうと予測させてくれる。
計画より早く4:50に撤収を終えて幕営地を出発。気温は1℃とやはりかなり低い。フリースを着込みウィンドブレーカーを着て歩いてもちょうど良い位だ。中白根には5:25に到着しここでご来光を迎えることができたが気温は0℃と更に低い。富士も昨日は隠していた全身を見せてくれている。北岳もピラミダルな姿を見せている。今日の行程は長くなるが実に好い日になりそうだ。
中白根から間ノ岳までは穏やかな稜線歩きだ。が幾つかの登り下りを繰り返して行く。陽が出たら暖かくなるかと思ったが、すぐにはそうはならず間ノ岳に着いた時も3℃だった。間ノ岳も絶好の展望地だ。特に北岳が眺望できるのが好い。しかも最高のポジションで。雲一つ無く北アルプスは穂高から後立山まで、更に妙高まで見通せる。二つ耳がピンと立った鹿島槍もはっきり解る。南に目を転ずると北岳では間ノ岳に塞がれていて展望できなかった南アルプス南部の山々が一望にできる。しかもそれらは近くにある。塩見、荒川三山、赤石、聖と堂々たる姿を横たえている。あれらの山々も旅してみたいとつくづく思わせる景色だ。
間ノ岳から農鳥岳に向けては先ず農鳥小屋に向けて下ることから始まる。ここでAki-CLさんがゆっくりと先に行くと歩き出した方向が農鳥が見えている方角と違ったので急いで降りて行き呼び止めてルート修正。でも途中で踏み跡らしきものが見えたのでこれを少し降りたがそれは中間の支尾根だった。本来のルートに歩いていた13Kさんから合図のコールが掛かる。登り返して適当な所でガレたルンゼをトラバースしてルートに戻った。三峰岳経由だと1時間で済む所が3時間半掛かる所だった。農鳥小屋は関所みたいに小屋の建屋の間を通り抜けて行く。そこで小休止して次の大登りに備えた。
農鳥小屋から西農鳥までは約250mの登り。間ノ岳から見て見くびっていたが農鳥小屋から見るとその勾配は威圧的だ。西農鳥から農鳥へはほぼ一様な標高になっているのでこれを越すと今日の登りはほぼ終えることになるが、この尾根の東面は岩肌が露出してアルペン的であり容易では無いと覚悟させる。でも一晩の休息は実に有効でそれなりのペースではあるが身体を高みに上げてくれることができた。一番北方に見える岩峰に登るとそれ以降は緩やかなアップダウンが続き、やがて西農鳥岳に至る。
西農鳥から農鳥は緩やかには見えたが中間にある岩稜帯を大きく下から巻いていく。ここは濡れているといやらしそうだ。そこからは快適な3000mの稜線闊歩が続き、農鳥岳に達する。ここまで来て漸く北岳と間ノ岳が揃った形で見ることが出来た。農鳥からの眺めも最高だ。やはり特により近づいた南アルプス南部の眺めが好い。十二分に展望を楽しみ農鳥を去ることにした。農鳥から少し下った所でAki-CLさんが「雷鳥がいるよ」と教えてくれた。振り返ると路傍に2羽の雷鳥が居る。人に馴れているのか馴れていないのか、ゆっくりと山側の斜面を降りて登山道を横切って谷側のハイマツの中へ入って行った。よく見るとそのハイマツ帯の北側の砂礫には別の雷鳥が2羽居た。どうもこのハイマツ帯は雷鳥の営巣地のようだ。間ノ岳からはめっきりと登山者が少なくなったがそれも雷鳥には好適なんだろう。
30分下ると大門沢への下降点に至る。黄色い鐘がある道標がシンボルだ。プレートには由来が記されていた。悲しい話だ。でも建てられた遠目にも目立つ道標は万人に役立ってくれる。ここからの下りが今日一番のハイライトかもしれない。農鳥が3026mで奈良田が880mだから2000m以上の下りだ。大門沢小屋は約1750mにあるがちょうどそこまで丹沢の大倉尾根分になり、そこから奈良田までもう一回大倉尾根を下るようなものだ。富士山ともほぼここでお別れ。大門沢はずっと下に見える。稜線はずっと10℃以下だったが大門沢に向かって降りて行くと途端に生暖かい風に包まれる。最初の500mの下りは猛烈な急勾配だが、徐々に傾斜は緩くなって行く。下りに集中するためにカメラはザックに仕舞って行ったが、大門沢ルートも花々が多いルートであった。
大門沢からは傾斜は緩くなり大古森沢へ八丁沢を大下りして河原に下り立つ。そこからは大きなアップダウンは無く、標高を減らして早川水系発電所取水口の建屋と吊橋が見えて来る。この吊橋は細いワイヤーで吊られた仕立てでちょっと荷重制限が心配だ。地図ではその後に吊橋が2つあることになるが、最初の一つは堰堤工事で桟橋に置き換えられているようだ。更にもう一つ森山橋を超えると林道に達する。林道脇には堰堤工事用道路工事業者により設けられた登山者用休憩所があり、水、トイレが準備されている。
ここからは4.3kmの道路歩きで奈良田温泉に戻り、無事1泊2日の山旅の終了を迎えることができた。白峰三山は大きく美しい山だった。三山から展望した更に南部の山々にも憧憬の念が湧いて来た。それを最高の形で登って来ることが出来たことにパーティの全員に感謝したい。
往路、復路共に一人でドライブしてくれた13Kさんにはいつものことながら感謝の限りです。
久しぶりの白峰三山縦走。
事前の天気予報は良くなかったが、結果として好天に恵まれた。
怪我もなく無事下山できて何よりだが、大門沢の長い下りはダメージが大きく、
9/23現在、太腿のひどい筋肉痛で日常動作に支障があり。
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