黒部源流周回縦走 雲ノ平・水晶岳・鷲羽岳・黒部五郎岳



- GPS
- 32:26
- 距離
- 50.0km
- 登り
- 3,766m
- 下り
- 3,728m
コースタイム
- 山行
- 5:58
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 6:12
- 山行
- 4:01
- 休憩
- 3:32
- 合計
- 7:33
- 山行
- 8:35
- 休憩
- 1:17
- 合計
- 9:52
- 山行
- 9:52
- 休憩
- 0:32
- 合計
- 10:24
天候 | 1日目:曇のち雨、2日目:快晴、3日目:快晴、4日目:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
太郎兵衛平から薬師沢の下りは3つの渡渉点(橋)があるが、太郎平小屋で沢の状況を聞いてから進んだ方が良い。ワリモ北分岐から水晶岳往復は空身に近い軽装でピストンしたが、天候が安定している事が必須。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
サンダル
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
調味料
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
ナイフ
カメラ
ヘルメット
携帯トイレ
シェラフカバー
インナーシーツ
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感想
7/19(水)登山1日目、折立登山口⇒薬師沢小屋泊
朝5時起床。バナナ・チーズトースト+コーヒーの朝食を食べ、トイレを済ませて6時20分に折立登山口から登山開始。十三重の塔で無事の登山を祈願し、薄曇り・暑くも無い登山日和の中、太郎坂を登る。前回の薬師日帰りの時よりもザックは重いのでゆっくり目のペースを守り、1時間300m平均で標高を上げる。登り始めて1時間30分ほどで三角点を通過、少しずつ厚みを増す雲の中、左手に剣の尖った山頂部が見え始めテンションが上がる。前回7月4日ではまだちらほらしか咲いていなかったゼンテイカ(ニッコウキスゲ)が沢山咲いている。曇天で遠くの景色が望めない分近くの花を見ながらの登り、コメツツジのかわいい花を見つけ、キンコウカの黄色、ミヤマママコナの赤紫などを見つけ写真に取り、五光岩ベンチを9時13分に通過する。ここからは緩やかな登り、オトギリソウの鮮やかな黄色、シラネニンジン・タカネニガナ・コバイケイソウ・ヤマハハコなどさらなる花々を見ながらの楽しい登りが続く。10時18分、約4時間で太郎平小屋に到着。ここで登山届を記入して小屋に提出、併せて小休憩を取る。太郎兵衛平も色々な花の競演、ヨツバシオガマやゼンテイカ・コバイケイソウなどの花の向こうに今回の目標の山々、水晶岳・鷲羽岳・黒部五郎岳が雲間に見えている。小休憩している間に小雨が降り出し、太郎平小屋から上下のカッパを着て薬師沢に向かう。薬師沢への道は小屋から太郎山に向かう木道を100mほど進むと分岐を左に進む。雨も一旦止んで小康状態、黒部五郎の山頂付近の雲の様子から、本降りまではまだ間がありそう。ちょっとスピードを上げ太郎山の斜面を下る。沢に向かって急降下している間もチングルマやハクサンイチゲ・ミヤマキンポウゲ・キバナノコマノツメ・ミヤマカラマツ・ゴゼンタチバナ・イワイチョウ・ハクサンフウロ・ヨツバシオガマなど定番の花々が出迎えてくれる。3つの渡渉点はいずれも水量少なく安全に橋を渡ることが出来た。カベッケが原まで下ると本降りの雨、もう少しだったが薬師沢小屋到着までは待ってくれず、カッパとザックカバーはびしょ濡れ。13時に薬師沢小屋到着。小屋の脇を流れている黒部川本流も濁って増水して、その音もゴーと大きく響いている。受付を済ませ、小屋の乾燥室で濡れたカッパやザック・ズボンなどを干して時間を過ごす。明日の天候回復を願って早めに就寝。
7/20(木)登山2日目、薬師沢小屋⇒雲の平小屋(雲の平散策)
朝4時30分起床。山小屋の朝食を食べ、ゆっくりと支度をする。今日の行程は雲ノ平山荘までの移動と散策で最初の急登を済ませればのんびりとした一日。6時50分に薬師沢小屋を出発し橋を渡る。今朝は昨日の豪雨が嘘のように雲一つない快晴、雲の平に向け急登に挑む。一旦沢に降りてからの登り口でミヤマダイモンジソウを見つける。今日もたくさんの花々に出会えそう。日が当たらず濡れた岩伝いの急登、昨日よりもさらに慎重に登る。急登が一段落し、木々が低くなりはじめる。もうすぐ雲の平の庭園(アラスカ庭園)。9時15分には右手に黒部五郎、左手に薬師が現れ一気にテンションが上がる。木道が現れ、アラスカ庭園から奥日本庭園と進む。奥日本庭園は近景はハイマツと石の織り成す造形に背景の薬師が広がる素敵な場所。進行方向には羽を広げた鷲のように水晶岳が現れる。薬師・水晶・黒部五郎の名山をバックに近景の各庭園と咲き乱れる花々を見ながらの木道歩きを楽しんでいると、向かいからの登山者の情報で「木道でけがをした人が出た」との事、そうこうしていると救助用と思われるヘリの音が響く。朝露に濡れた木道で足を滑らせたのだろうか。足元に気を付けながら進み、10時10分に雲ノ平山荘到着。受付を済ませ部屋に荷物を入れ早めのランチを食べることにする。山荘のご厚意で食堂を使わせていただきカップ麺と菓子パン+コーヒーの定番ランチを食べる。ふと隣のテーブルを見ると、小屋の主人の伊藤二朗さんがPCでお仕事中、本来なら何か注文して利用させていただく食堂を自前のジャンクフードのために使わせていただいた。ランチ後は雲ノ平散策、まずはキャンプ場の近くにある水場に向かう。木道を水晶岳に向け20分ほど歩く。眼前に祖父岳が大きく、西には黒部五郎岳がカールの大きな口を開けている。水場で今日明日の水を確保し、しばし日向ぼっこ。飽きたらまた歩き出しスイス庭園に向かう。スイス庭園付近ではチングルマ・ハクサンイチゲ・ミヤマキンポウゲ・イワイチョウ・コイワカガミなどが咲き乱れている。展望台に向かい岩苔小谷を眺めていると、近くの草むらに5羽のヒナを連れた母鳥のライチョウを発見、ハクサンイチゲをついばむ様子を見ながらビデオに収める。スイス庭園散策を終え、雲ノ平山荘に戻り、同宿の皆さんと山談義をして楽しみ、石狩鍋食べ放題の夕食を待つ。夕食後テラスで外を眺めていたら夕日に染まる水晶岳が現れ感動。何枚か写真を撮れ満足して部屋に戻り明日に備えて就寝。
7/21(金)登山3日目、雲の平⇒水晶岳・鷲羽岳⇒黒部五郎小舎
朝3時50分起床。ガサゴソとインナーシーツを片付け廊下でパッキングを済ませ、サーモスにお湯を入れる。5時に朝食が始まりしっかり食べる。それにしても雲ノ平山荘の食事は美味しい。トイレを済ませ、5時30分に山荘を出発する。昨日は見えなかった笠ヶ岳が黒部五郎岳の右手にその尖った山頂部を惜しげも無く見せてくれる。今日も絶好の縦走日和、まずは木道を進み祖父岳に向かう。キャンプ場、スイス庭園への分岐を過ぎ40分ほど歩くと祖父庭園を通過、ここから登りが始まる。ハクサンイチゲ・イワギキョウ・ミツバオウレン・ミヤマダイコンソウなど道中沢山の花々が出迎えてくれる。6時50分に祖父岳山頂到着。山頂からは鷲羽・槍穂高が真正面に見え、さらに今日の縦走ルートの水晶岳へのトレイルもはっきり視認出来る。山頂からはハイマツと石屑の道を一旦下り、小ピークを巻いていく。7時30分に岩苔乗越を通過し、これから登る水晶岳の荒々しい岩稜を左手に見ながらワリモ岳に向け進む。ワリモ北分岐でザックをデポしウエストポーチ(結構大型)に最低限必要な装備と水・食料を入れ水晶岳方面に向かう。振り返ると祖父岳とその向こうに黒部五郎岳が雄大な姿を見せている。眼下には岩苔小谷、その向こうには薬師岳の巨大な山体が視界を占有し、その右側には水晶岳の急峻な側稜が一直線に山頂に向かっている。水晶小屋(赤岳)への登りは天空への道、空身でも結構つらい。8時22分水晶小屋を通過し水晶岳山頂に向け進む。ここから山頂までは槍穂高に負けないほどの岩稜帯で気を引き締めて登り進む。途中タカネヤハズハハコやイワベンケイ・タカネシオガマを発見し写真に収める。岩稜帯を何とか登り切り8時57分に水晶岳南峰に到着。ここの山頂道標は印字された標高は2977.7mとなっているが、その下に誰かが書き刻んだ2986mが加えられている。山頂からの眺めは今日一番で、通ってきたゴジラの背中の向こうに赤岳・鷲羽岳、その左には山頂部を雲に隠した槍ヶ岳、右手には双六・三俣蓮華・黒部五郎とラインナップ、さらに西から北に目を向けると黒部の谷を隔てて巨大な山体を横たえる薬師岳、北峰の向こうに赤牛岳、東側にはこれまた巨大な白い図体の野口五郎岳がドーンと広がる。黒部湖方面を見たいので、南峰から三角点のある北峰に向かう。岩場を下り登り返すと5分ほどで北峰山頂、三角点を写真に収め、北の景色を堪能する。残念ながら剣立山方面は雲がかかり山頂部は見えなかったが赤牛岳と黒部湖はしっかりと目にすることが出来た。この北峰に先に登っていた空身の人が居たが、あとで水晶小屋に立ち寄ると小屋番の方だった。道理でひょいひょいと空身で素早く歩くはずだと感心する。南峰に戻り相棒とともに水晶岳を後にする。行く手にはワリモ岳の急峻な岩峰とその向こうに大きな鷲羽岳を見て進む。10時03分に水晶小屋に到着、トイレを利用させていただき(200円)小屋番の人を見つける。水晶小屋からは緩やかな下りの稜線漫歩、ワリモ北分岐でザックを拾い、休憩を取る。10時50分に分岐を出発、次の目標の鷲羽岳に向かう。今度はザックが重く感じる登り、ワリモ岳は山頂の西側を巻き一旦急降下、鞍部からは250m程の登り返し、水晶往復後の疲れた体にはかなりきつい登り、11時43分にやっとのことで鷲羽岳山頂に辿り着く。眼下に鷲羽池を従え、その向こうには槍ヶ岳と北鎌尾根+硫黄尾根の二つのゴジラの背中が眼前に現れる。北アルプスを代表する景色の一つだ。小休憩後三俣山荘に向け下りに入る。この下りが今日一番の厳しい箇所だった。標高差400mもあり、急傾斜の上ザレた不安定なジグザグで足の力はますますそがれ一歩一歩が太ももと膝にダメージを与える。やっとのことで下り終え、伊藤新道の分岐手前まで進むと、ハイマツの脇にライチョウの親子を見つける。しばらくライチョウ見学で休憩し、足のダメージもちょっとだけ回復し、三俣山荘には12時54分に到着。20分ほどの休憩で遅いランチを食べ、シロップ漬けのフルーツで糖分も補給する。時間と疲労度から今回は三俣蓮華岳山頂へは向かわず、巻道を進むことにする、まだ黒部五郎小舎までは2時間はかかるはず。ガスも濃くなって向かいの祖父岳も見えない。巻道とは言えテント場からの緩やかな登りでも足に負担がかかる。二筋の雪渓を横切り三俣蓮華岳の北側の尾根を越すと緩やかな下り、程なく山頂からの道と合流し2661mのピークを越す。その後しばらくは稜線を南西方向に進むと眼下に黒部五郎小舎の赤い屋根が見える。最後の急降下250m、大きな岩がゴロゴロして歩きにくい。足元に集中して、15時35分に小舎に到着。長い一日だった。前回の宿泊からすでに40年ほどの時は経っていて、昔の三角屋根の隣に立派な建物が出来ている。食堂のテーブルの下で雑魚寝した記憶がよみがえる。ここは水が豊富で食事もとても美味しい。ごはんのお替りも食べお腹いっぱいになる。個室に近い上下2段ベッドにもぐりこみ19時過ぎには就寝。
7/22(土)登山4日目、黒部五郎小舎⇒黒部五郎岳⇒太郎平小屋⇒折立登山口、下山
朝4時前起床、パッキングを早々に済ませ4時30分に朝食、トイレを済ませて5時15分に小屋を出発。今日も昨日と同じく長い一日。まずは黒部五郎岳登頂、沢沿いの湿った道をカールの底に向かって進む。所々に朝日で黄金色に輝くコバイケイソウが目を楽しませてくれる。6時10分に雷岩を通過、こんな巨岩を押し流す氷の力をすごい。雷岩を越すと正面には「青天井の大伽藍」がわずかながら残雪を纏い眼前に広がる。振り返ると槍の穂先が裏銀座の山並の上に顔を出す。カールの底から右手に進み岩だらけの急登が始まる。7時に黒部五郎の肩に到着、ここでザックを下ろして空身で山頂に向かう。肩からでも槍穂高は一続きのスカイラインとなって眼前に広がる。7時15分に山頂到着。ここからの眺めはまさに絶景360度。北鎌尾根から始まる槍穂高のスカイラインは西穂高まで遮るもの無いギザギザの稜線を形作っている。その左手には手前の三俣蓮華から鷲羽・水晶・赤牛、遠く後立山、さらに剣・立山、その右手に巨大な山体の薬師がカールの稜線の向こうに広がる。穂高の右手には笠・乗鞍・御嶽、さらに西に目を向けると白山、薬師の左手には、これから歩く北ノ股岳の柔らな稜線が続いている。山頂での至福の15分はあっという間に過ぎ、肩に向かい下山開始。肩でザックを回収して中ノ俣乗越めがけて黒部五郎岳の北西斜面を下る。2578mピーク手前の鞍部で小休憩を取る。正面に黒部五郎岳の大斜面を見ながらお湯を沸かしコーヒーを飲む。休憩後2578mピークの北側を巻き、わずかに下ると中ノ俣乗越、9時30分で周囲にガスが広がり始める。ハクサンボウフウやミヤマダイコンソウの群落を見ながら地味に足に来る赤木岳の登りをこなす。赤木岳は山頂の東側を巻いて通過する。一旦標高50mほど下り何度目かの鞍部に辿り着き、ダラダラ長い北ノ股岳の登りに取り掛かる。ゆるい傾斜でも疲れた足にはこたえる。10時43分に北ノ股岳山頂到着、あとは下りだけ、太郎兵衛平に向かて歩き出す。所々に木道が敷かれ、庭園のような美しい景色と花々に力をもらい12時過ぎに太郎兵衛平到着。ここで昼食休憩、棒ラーメンなど残りの食材を片付けコーヒーを飲んで最後の下りに備える。太郎平小屋は土曜日昼で沢山の登山者で賑わっている。13時過ぎに太郎兵衛平を出発し、五光岩ベンチから三角点と一気に下る。15時35分に十三重の塔に到着、無事の下山を報告し15時40分に折立登山口に戻る。今日は約10時間、4日間で50km以上の歩行を無事完了出来た。駐車場で汗を拭き、着替えて折立林道を下り、グリーンパーク吉峰の温泉に浸かり、4日間の汗を流し、立山IC近くの「台湾菜館」で美味しい中華定食を食べ山行の打ち上げをする。
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