涸沢から北穂高岳と涸沢岳


- GPS
- 78:34
- 距離
- 42.2km
- 登り
- 2,749m
- 下り
- 2,745m
コースタイム
- 山行
- 7:03
- 休憩
- 2:04
- 合計
- 9:07
- 山行
- 6:13
- 休憩
- 4:17
- 合計
- 10:30
- 山行
- 6:08
- 休憩
- 2:59
- 合計
- 9:07
- 山行
- 2:21
- 休憩
- 0:12
- 合計
- 2:33
天候 | 4/30 晴れ⇒曇り⇒雪 5/1 雪 5/2 晴れ 5/3 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ザイテングラード上の雪壁越えが危険です。 ここで死亡事故が発生しました。 あと全体的に雪崩の危険性があるため、アイゼン、ピッケル、ヘルメットが必要です。 奥穂高に行く人は、穂高岳山荘過ぎのハシゴと雪壁にも注意が必要です。 |
その他周辺情報 | 上高地には日帰り入浴できる宿泊施設がたくさんあるので時間に合うところを利用すると良いでしょう。 上高地温泉ホテルが一番便利ですかね。 |
写真
感想
最近、ちゃんとレポートを書いてなかったですが、今回はちゃんと書きます。
4/30〜5/3で涸沢とババ平に移動しながらキャンプして色々と登ろうかと計画していましたが、天候と体調を考慮して涸沢だけにしました。
予報でも知っていたとおり、天候は不安定でした。
5/2は天気が良いことは確定していたので、頂上に立てるのは5/2だけかなぁ〜と思っていました。
【4/30】
5:30頃に上高地を出発して、昼前に涸沢ヒュッテに到着。
テントのフライシート以外は全て厳冬期用の装備だったので22kg。
アイゼン着用は本谷橋から。
涸沢ヒュッテにたどり着くまでにはバテバテでした。
幸運なことに撤収する方から立派なテント設置場所をゆずっていただけたので、
快適な夜を過ごせました。ありがとうございました。
午前中は晴れていましたが、昼下がりにはガスってきて、夕方には雪が降ってきました。
気温は0℃くらいでしたが、風もあったため結構寒く感じました。
早々に夕食を済ませ厳冬期用シュラフに身をもぐらせました。
雪がテントに打ち付けられる音が気になり20時頃に外を見ると10cmほど積もっていた。
軽く雪かきをして再度眠りにつく。
【5/1】
5時前に目が覚める。寒い。いつの時期でもシュラフから出るのは辛い。
テントにはパラパラという音が鳴り、降雪が続いていることが外に出なくてもわかった。
また、外で会話する登山者たちの会話から本日のアタックは厳しいということもわかった。
シュラフにもぐってモゾモゾし続けてもしょうがないので、軽く食事をし雪かきをした。
長野県の山岳警備隊がホワイトアウトと雪崩の危険があるため登らないようにと登山者へ盛んに声をかけていた。
危険性は重々承知していたが、ベースキャンプでじっとしていることが嫌だったのと、斜面の状態が気になったので様子を見に北穂沢にいくことに。
あずき沢はなんとなく変な感じがしたので北穂沢。
北穂沢を登るまでに3回も山岳警備隊に危険性を説明されたが様子見ということで見逃してもらった。
雪質はざらめ雪で一晩経っても締まる様子はなく、砂山を登っているような感覚だった。
いやー、よくない。よくないよこれは。
と思いつつも登り続けていると上部から北穂高小屋から降りていた方々とすれ違った。
4PT12人くらい。上部の状況と後続の登山者がいないかを聞いてもう少し登ることにした。
で、結局松濤岩のコルまで登ってしまった。
GPSがあるとホワイトアウトでもある程度登れてしまうのが良い点でも悪い点でもある。
先行の5,6人のPTと後続のソロの方は北穂高小屋へ向かった。
北穂高南峰に三角点があるので一応目指してみたが、松濤岩のコルから南峰への道には岩に氷が貼っていてこれを投降しなければならなかった。
ダブルアックスだったので、とりあえず登ってみたが岩の向こう側は暴風だった。
また相変わらずのホワイトアウトで、標識のようなものも目視できなかったので諦めて下山することにした。
下山中には北穂高小屋に向かう人が5,6人、様子見で登ってた人が2人いた。
この日、北穂高山頂付近から1人転落して行方不明になっていたが、時間的に私の会った人ではなかったようだ。
昼前には涸沢ヒュッテまで降りてきて、おでんとビール。うん、おいしい!
山では酒を飲まないという自分の中での鉄の掟を破ってしまった。
売店前のテーブルで相席させていただいた方々と4時間も飲んでしまった。
他の方々の色々なお話が聞けてとても楽しかった。
で、テントに戻ってから夜に体調が悪くなってひたすら水を飲みまくってこの日は終了。
【5/2】
まだ少し気持ち悪いが予報どおり天気はバッチリなので、準備して涸沢岳へ登ることに。
予定よりも1時間遅れて出発。今日は気温が上がるだろうから早めに昇って早めに降りてきたい。
朝早くからヘリコプターの音が響いている。
ざらめ雪に足がとられるのに加え、体調不良のせいでペースが中々上がらない。
もう絶対山で酒は飲まない。強く誓った。
ザイテングラートを半ば過ぎると雪壁が現れ、傾斜が一気にキツくなり、危険度が増した。投降する人らで渋滞も発生していた。
とにかく雪質がよくなかったので、地に足が着いていない感覚が少しあるのが不安だったのと、「滑落したらこれ止まれるのか??」という不安もあったので
ゆっくり確実に登っていった。
8:30過ぎに穂高岳山荘に到着。
相変わらずヘリの音が良く聞こえる。
奥穂高方面へ行く人々が多くみられた。また、2日前に奥穂高に向かうハシゴからの
転落事故があったためか岐阜県警の山岳警備隊が登山者へ注意喚起していた。
奥穂高は去年の6月に登っていたので今回はスルー。涸沢岳へ向かう。
細い道だったが、絶壁というわけでもなかったのであまり危険性は感じなかった。
穂高岳山荘から20分ほどで涸沢岳に登頂。
うーーん、素晴らしい景色!槍まではっきり見え、昨日の悪天候が嘘のようだった。
目標は達成されたのでさっさと降りよう。
9:40過ぎに穂高岳山荘から下ろうとしたところ、どうもザイテングラートで事故が発生した模様。
一人滑落し、3人PTの一人も巻き込んだ。
滑落した本人は脳挫傷で死亡。ヘルメット未着用で頭が陥没していたという。
巻き込まれた方もヘルメット未着用だったが、奇跡的に無傷で済んだという。
しかし、着ていたダウンジャケットはバックリ裂けてたそうだ。
ヘルメットの有無で助かる命があるという事が今回の事故でハッキリわかった。
今回の山行の写真を整理していて改めて気付いたが、ヘルメット未着用の方が結構みられた。
事故があったからか、ザイテングラードでの下りは雪壁をクライムダウンするのではなく、
北側を巻くようなトレースが切られていたのでそちらのルートで下ることにした。
とはいえ、あいかわらず雪質がぐずり始めていたのと、傾斜もそこそこあったので
慎重かつ、急いで降りる。
尻セードで一気に降りようと思ったが、ピッケルがイマイチ効いてくれないのと
下へ結構な量の雪が落ちていくので、こりゃ危ないかもっということでやめました。
陽も十分に登ったため、またカールという地形の特性上非常に暑い。
カールの端では雪崩が確認できた。
気温は20℃まで上昇していた。おまけにサングラスと日焼け止めをテントに
忘れてきてしまった。あぁもうダメダメだ。
あちーあちーと思っているうちにテントへ帰還し、早々に撤収した。
涸沢から横尾まではアイゼンなしでストック使用。特に危ない箇所はなし。
横尾についたらテント張るのが面倒なのでツェルトでパパッと幕営。
早々に夕食を済ませ、お隣さんとちょっとお話して眠りについた。
放射冷却の影響で寒かったが、夜中目が覚めツェルトから頭だけヒョイッと出して
見た星空は格別だった。
【5/3】
今日は帰るだけの日。
16時の毎日アルペン号までの時間をどうつぶそうか・・・
朝はゆっくり目に起きて、朝食もゆっくり食べて、ゆっくり紅茶を飲んで、上高地までゆっくり歩いていった。
上高地に着くまでに多くのハイカー、山スキーヤー/スノーボーダーとすれ違った。
これから山に入る彼らが無事に山を楽しんでほしいと思った。
上高地についてからは、上高地温泉ホテルに行こうと思っていたが、上高地温泉ホテルの外来入浴は12:30〜15:00で800円でナイスなのだが、
早めに着いてしまったので我慢できず上高地ルミエスタホテルの外来入浴(11:00〜13:00で2100円)を利用した。
4日間も風呂に入れていなかったので、1秒でも早く風呂に入りたかった。
それに去年6月にルミエスタホテルを利用して、奥穂高ピストンをした時は疲労困憊のため温泉を利用せず、部屋のシャワーを利用するというもったいないことをしてしまった。
上高地温泉ホテルは利用したことが無いので比較して評価できませんが、端的に言うととても良かったです。
外来入浴の営業時間もあって、私だけの貸切で、アメニティー類は完備。マッサージチェア、ウォーターサーバーもありました。
身一つでぽんと入って済みます。温泉を下山後のご褒美とする方にはオススメです。
入浴後はバスターミナルへ移動して山賊焼きと円揚げ(ニジマスのフライ)とビールでバス待ち。
バスに乗ってからは渋滞もあって、約1時間半遅れで新宿に到着しました。
これにてGWの山行は終了。
【総評】
今回の山行は、景色が良かったとか、この危険箇所がどうという事より、
登山に対する姿勢を考えさせられました。
私が入山している間にたくさんの遭難事故がありました、ニュースで報道されているのは死亡事故が主で、
それ以外の事故もたくさんあり、涸沢にいると自然と情報が耳に入ってきました。
計画された山行のレベルが自らにふさわしいのか。
そもそも計画自体は妥当なのか。
装備(正しく扱える事も含む)、技術、体力は計画に対して十分なのか。
予想外の事態に対応できる、知識(技術)、装備、体力を有しているのか。
登山道の状況、天候は把握できているのか。
こういった当たり前の準備ができていないと事故が発生していまうのだと改めて思いました。
【備忘録】
・ヘルメットの重要性。
・山岳小説を読むと登山の「厚み、深み」が増す。
・講習会を利用することでスキルアップ、また情報収集の幅が増す。
・山での酒はダメ、ゼッタイ!(私の場合)
滑落前の私と相棒が写ってました。
怪我はありませんでした。
ロープを出していたのに滑落 情けない話です。
油断大敵ですね。
写真、頂きましたがよろしいでしょうか。
滑落記念写真にしたいのです。
yamakinuさん
怪我がなかったようで安心しました。
写真はご自由にお使いください。
あの日は5/1の降雪のせいで難易度が高かったと思います。
ブログを拝見しました。
「1000回やって1000回確実に出来るのか?」
私もこれを念頭において精進していきたいと思います。
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