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2010年05月29日 12:32登山靴の革命レビュー(シューズ)全体に公開

ナーゲルからビブラムへ・1960年入手

 昭和34年4月中旬、谷川岳東尾根の岩稜登攀中に私のナーゲル靴の右足が破損しました。
一ノ倉の一ノ沢を詰め終えて、東尾根に取り付いてすぐの事でした。
氷雪が少なくなったのでアイゼンを外したら、一緒に靴底が甲からパカッと取れてしまったのです。
もう長年履いていた古靴でしたが、まさかこんな事になるとは思ってもいませんでした。
見れば、皮も縫い糸も風化したようにポロポロに硬化していました。
もう数年前から最新鋭のイタリア製の靴はビブラム底になっていました。
性能が高く軽いのでナーゲル靴を買う人はアッと云う間に居なくなっておりましたが、私には高価で手が出ず、古いナーゲルを履き続けていました。
ナーゲル山靴の底は皮製です。そこにクリンカー、ムガー金具(鋲)を沢山打ち込み、踵を除く周囲にはトリコニー金具(ギザ歯板)をぐるりと取り付けます。
その靴一足で夏も冬も登りました。
靴底の金属のせいで保温力が無く、冬は靴下を重ねオーバーシューズを履いても冷たかったですね。
この先には二ノ沢上部の氷雪急斜面のトラバースもあります。
そこでは確実なアイゼン捌きが必要です。
仕方なく登攀をあきらめて撤退です。
パートナーには本当に申し訳なく、以来頭が上がらなくなりました。
取りあえず外れた靴底ごとアイゼンを履き、強めに締めました。
既に底雪崩多発時刻なので撤退ルートはシンセン沢からマチガ沢本谷に降りるしか無いのです。
補助ザイルを1本だけは持ってましたが、アイスハーケンは有りません。
もともとフリークライムの予定でしたからピッケルだけしか無いのです。
シンセンのコル直下には60度の氷雪壁部分が50メートル以上ありまして、此処で25メートル弱の補助ザイルだけで如何したものかと思案にくれてしまいました。(続く)
*(写真は在りし日のナーゲル山靴)ainakaren
*続き http://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-9010
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コメント

RE: ナーゲルからビブラムへ 1960
ainakaren さんへ

>下書きとして保存する方法をどなたか教えてください。

 途中で保存することはできません。しかし、ログインして、自分の日記の欄を開くと、右端に「編集」という緑の文字があります。

 それをクリックすれば、前の文章につなげて書くことも、直すこともできます。

 長めの文章を書くときは、あらかじめお好みのテキスト作成ソフト(エディター)で書き上げてから、コピペ する方法が安全です。

 それにしても、すごい体験ですね。ナーゲルの皮底は、甲皮に縫い付けてあるはずですが、糸が擦れて、全体に痛んでいたのでしょうか。
2010/5/29 13:17
RE: ナーゲルからビブラムへ 1960
ainakarenさん、こんにちは

たぶん、ヤマレコユーザーの90%くらいはナーゲル靴とか、トリコニー、クランカーと聞いても想像もできないでしょう、私も本で読んだことはあっても、見たことはないです。貴重な体験ありがとうございます。つづきをお待ちしています。
2010/5/29 14:21
RE: ナーゲルからビブラムへ 1960
ainakarenさん、こんにちは。
日記は例えば(続く)として、後日「編集」で続きを足すとか、日記そのものを続編として新たに書けば良いのではと思います。続き物にすればainakarenさんの体験をわくわくしながら拝見することができて楽しいと思います。

来客にて中断、続きはまた、、、で十分素敵だと思います。

続編、楽しみにしております。
2010/5/29 15:39
RE: ナーゲルからビブラムへ 1960
確かヤマレコ博物館にナーゲル靴、復刻所有の方いらっしゃいましたよね!どこだっけ・・・・。
僕もここで初めて拝見しました。

まあ、スパイク地下足袋西洋版という感じですかね!
2010/5/29 22:29
RE: ナーゲルからビブラムへ 1960
yoneyamaさん
それは、確かZENSUKEさんの日記では!
2010/5/29 22:54
ナーゲルがビブラムに駆逐された訳
皆さんにコメント深謝!・中断してしまい、すいませんでした。
皆さんのコメントを参考に、ナーゲルについて解りやすいように筆を入れさせて頂きました。
ビブラムの出現からナーゲルが駆逐されるまでは、本当にアッと云う間のことでした。
今、誰でもビブラムもしくは同質の高性能ゴム底靴を普通の事のように履いていますが、それは昔のナーゲル靴に比べて殆んどの観点で圧倒的に優れているのです。
まず摩擦力とグリップ力での差が歴然です。
ナーゲルは乾いた岩の上を歩いても、よく滑りました。
保温性では格段の差がありました。
ビブラムは底に氷雪が氷結して団子になりません。
アイゼンの定着安定性が良く締め紐での脱着が楽です。
靴とアイゼンの間に雪が凍りつきません。
歩行時に雪や泥の抜けが良く、底に残りません。
格段の軽量です。
まず欠点がありません。
唯一、1センチ程のスタンスに安全に立てないことが欠点でした。
この欠点が、却って登攀技術に斬新な進化を齎します。
それまでスタンスに金具を引っ掛け、それを重心に登攀する技術から、靴底のフリクションを重心にする登攀技術へと大変革が生じたのです。
すぐにクレッターシューズ・ブームが起きフリクションで登るフリークライミングが流行しました。
岩登り専用靴が沢山商品化されました。
そして手の指先にさえ、チョーク粉で摩擦力を人工的に付けて登るのが流行しました。
ナーゲル靴が壊れたときもう夏山シーズンも近いので、私も頑丈に出来たクレッターシューズを買い、暫らくそれを履いて登りました。
念願のガリビエールの山靴を入手したのは、1960年頃の事でありました。
ビブラムに勝るとも劣らないソールのフランスの靴だっと思います。
ビブラムの出現はナーゲルを駆逐したのみならず、登攀技術に革新を齎しました。
今、私の履いている靴は、ガリビエール以来3足目の「東京トップ」の注文靴です。

そしてその靴底にはビブラムのモンターニャが着いています。
何回か張り替えて、もう20年以上も履いているこの靴が、私の最終の靴になるでしょう。 相仲
2010/5/30 9:57
RE: ナーゲルからビブラムへ・1960年入手
実際に使っていたお話を読むのは初めてです。貴重なお話をありがとうございます。だいぶ前ですが確か高田馬場のかもしかに置いてあった(売り物ではなく)気がします。ナーゲル靴という名称は知りませんでした。
2010/5/30 12:09
RE: ナーゲルからビブラムへ・1960年入手
私が生まれた頃にまだ、鋲靴がそんなにポピュラーだったとは!尾根歩きやハイキング的な山行でも履かれていたのでしょうか?
私は履かずにすんでよかった、ビブラム底が発明されていてよかった、と思ってしまいました。街中でも革底の靴は苦手で、足が痛くなってしまうぐらいですから。
私が高校〜大学の頃に一世を風靡していたガリビエールが、そんなに前からあった、というか日本に輸入されていたことも初めて知りました。
クレッターシューズといえば、戦前に麻底のものがあったという話を読んだことがあります。
また貴重な話をお聞かせください。
2010/5/31 2:39
kennさんコメント深謝です!
昭和30年頃の山男達が履いていたのは皮底のナーゲルでした。
縦走主体の人はクリンカーだけ、岩登り主体の人はトリコニーを底縁にぐるりと取り付けていました。
その靴で駅ホームなどを歩くとガチャガチャ音がして気恥ずかしかったです。
ビブラム底の靴はその頃輸入されはじめました。
国内では藤倉がキャラバン・シューズ(布製・ゴム底・土踏まずに滑り止めのスパイク金具付き)を画期的登山靴として新発売します。
ガリビエールなど数種の輸入山靴はすぐに山男達の憧れの的になり、履き替えた人の口コミでナーゲルはアッと云う間に駆逐されました。
雪上の保温性・防水性・アイゼンの安定性の差が大きかったのではないかと思います。
仲間内ではガリビエールが高名な登山家ルネ・デメゾンの監修に拠る新製品を出すとの噂になっていましたが、私は待ちきれずに買いました。
スーパーガイドRDは半年後発売され評判になりました。
私のほうが少し幅広ですがそんなに差は無かったと思います。
今履いている山靴はトップと云うバックスキンの注文靴ですが、ガリビエールに比べると随分と幅広です。
それが楽ですから、もともと私の足は幅広なのでしょう。
ルネ・デメゾンのモデルでは70年代になってミレーの35リッターのアタックザックを買いました。
今使っているシュナードのザックに変わるまで10年近く使いました。
樹脂部分の加水分解による変質劣化で駄目になりましたが、流石に使い勝手は最高でした。
若いときには反発もありましたが、今では有名登山家の監修も悪くは無いなと思っています。 相仲
2010/5/31 10:49
RE: ナーゲルからビブラムへ・1960年入手
しつこいようですが、ナーゲルを買うほどには山に行かない、あるいは買えない、縦走でも岩登りでもなくハイキング主体のような人は何を履いていたのでしょうね? ズックの運動靴?普通の革靴? ちょっと気になります。
キャラバン・シューズは中学生の頃に履きましたが、緑色のナイロン製でした。その前にオニツカ・タイガー(今のアシックス)のキャラバン・シューズもどきを履いていたのですが、こちらにはトリコニーもどきの金具が付いていたような気がします。
スーパーガイドRDは、高校、大学の頃の憧れの靴でした。大学の先輩は、つま先部分がゴムで覆われたスーパープロというモデルを履いてました。私は大学の時に、こちらはリオネル・テレイ監修でハセツネも愛用という触れ込みのアンナプルナという靴(たしかフランスでのモデル名はニルギリ)を月賦で買ったのですが、やはり細くて足に合わず、泣かされました。大体、そんな靴が必要なところには行っていなかったのですが…。
http://www.yamareco.com/modules/xsns/?p=topic&tid=177
台形状のミレーのデメゾン・モデル(たしか555というような数字のモデル名だった気が…)は、アタックザック(死語?)の代名詞的存在で、やはり憧れの的でしたね。よくカタログで見た気がします。私が初めて買った輸入ザックもミレーでした。
アンドレ・コンタミヌとかヤニック・セニュールとかワルター・セキネルとか、有名登山家ものはフランス人、フランス・メーカー(ミレー、ラフマ、シャルレ)が多かった気がします。カシンやボナッティもありましたが。でもメスナーのニッピンは買う気がしませんでした。
2010/5/31 22:34
kennさんへお答え
夏の低山でもニッカー・ボッカー・スタイルの男女は例外なくナーゲルでした。
普通のスラックスの男女はズックの運動靴でした。
流石に3000メートル級の山では全員ナーゲルでした。
その頃は、若い登山者ばかりで山女も多かったですよ。 相仲
2010/6/1 1:23
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