町田市立博物館は初めてで、町田駅から藤野台行きのバスで市立博物館前下車し、案内板に従って坂を登ると丘の上にある。隣に縄文遺跡があるらしく、「遺跡」ので、案内板があるが、博物館には収蔵品倉庫はあっても常設展示はない変わった博物館だ。
展示を見ると、古代の副葬品であった中国「明器」と「俑」および初期には金属器の代用品・模造品として扱われた容器としての陶磁器が漢代から時代を追って並べられている。北斉・隋唐の白磁と三彩、南宋や明の青磁など、中国陶磁は長い歴史の中で他地域の追随を許さない高度な技術を発展させたが、日本社会は独自の美意識でそれを受け入れ、鑑賞した。それは単なる消費行為ではなく、異なる美意識の文化の中で築き上げられた第二の価値創造であると、この展覧会の監修者は主張している。実際、常盤山文庫コレクションにあった南宋官窯の米色(黄色)青磁の研究を通して、中国の陶磁史には出てこなかったー国立故宮博物館の所蔵品にはない=。中国では評価の無かった米色青磁だが、その後の南宋官窯の発掘でこうした作品の破片が出土し、この南宋官窯がさらに研究されるようになった。また常盤堂文庫の呼びかけで中国陶磁研究会が発足し、「米色青磁」「北宋白磁」「10世紀の中国陶磁」など、これまでの研究の空白部分を開拓していたという。こうした研究活動から日本人の美意識が中国陶磁器をどのように愛し、鑑賞したのか、理解できるように展示されていた。中々ユニークな展覧会だった。
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