同ミュージアムは一度グループで見学に出かけた記憶があるが、自宅から行くのは初めて。どのような行き方をするかーー溝の口や武蔵小杉からバスで行くのが順当だが、悩んだ末、電車の中で武蔵中原から徒歩で行くことにした。バスの時間が合わなかったのだ。北口からナビに従って進み、途中、いやに細い道となって歩行者に尋ねて確認しなんとかとどろきアリーナの一角に出て、ミュージアムに到着する。
さて、展示解説が始まるまで展示を見ていたが13時30分に解説が始まった。最初に沖縄の湊川人の頭骨レプリカが展示されている。日本の本土では関東ロームなど火山性の赤土など、酸性土壌が多く、有機物が残りにくい場所で人骨が出る機会が少ない。沖縄は石灰岩が多く、人骨が残りやすい環境にある。列島にやってきた人類は今のところ4万年~3万八千年前、ホモサピエンス=現生人類であり、それ以前の遺物は捏造によるもので今のところ存在の確認はされていない。この列島の4万年前以降の人類は、現在の私たちの祖先であり、その能力は私たちと変わりがない。そのことを「現代人的行動」として
1.抽象的思考2.計画能力 3.発明力 4.象徴⁼シンボル=による伝達力
の4つをあげ、それぞれを遺跡・遺物を基に展示解説していく。
写真1)は、かながわ最古の現代人遺跡の最古の石器=3万8千年前の台形様石器
展示解説の神奈川県教育委員会の学芸員の高屋敷女史(?名前はうる覚え?=東大の考古学教室で学位を取った方かな?)によれば、ネアンデルタールまでの人類は石器は時代によって変化することはなく、同じものを作っていたーーただ単純に打ち割っただけの石器ーーが現生人類ーつまり私たちーーは時代とともに常に石器の形や製作法を変化させてきた。能を大型化させただけでなく、その機能ー抽象的思考・発明・象徴能力など、様々な新しい能力を開花させてきたことが、かながわの旧石器時代の遺跡の遺物・遺構を見れば、彼らが4万年前にあらわれた「現代人」であることが理解できるという。
写真2)北海道の旧石器遺跡(知内町湯の里遺跡の1万4千年前のお墓出土のカンラン岩や琥珀など北海道以外(シベリア、沿海州、樺太)の場所からもたらされたものらしいーー1万4千年前と言えば縄文草創期と重なる時期だーー
写真3)横須賀市打木原遺跡の落とし穴ー
2001年に発見された約2万5千年くらい前の深い土坑ー横須賀市打木原遺跡ーは動物を撮るための落とし穴(罠猟または追込み猟)ではないかと考えられている。旧石器時代は移動中心の生活を行っていたと考えられているが、こうした落とし穴と思われる深い土坑は同時期の三浦半島横須賀市船久保遺跡や静岡県側の愛鷹山地の参篭で数多く発見されている。あるいは三浦半島や静岡県は2万5千年前ころでも黒潮などの影響などで比較的温暖で半定住的な狩猟採集生活を送っていた可能性もあるらしいーー植物も豊富であればなおーー田名向原遺跡の住居状遺構もそうした環境の反映か?
他にも國府方ナイフや石材移動などの遠隔地交流を示す石器や神子柴型の威信財的な日美術碑的な非実用石器ー象徴的行動など様々な角度から4万年前に現れた「現代人」の講堂を考えるうえでヒントがたくさんあった。
旧石器時代の人類生活を考えるうえで中々コンパクトによくまとまった展示会ではなかったかと思う。
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