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埋文事業団の発掘情報館での講演会が始まる前に、今日から始まった企画展「未来へつなぐ歴史の道ー上部道路」展を見る。上部道路は昭和45年から47年間かけて、今年3月に全線開通、その間、様々な時代の多数の遺跡が発見・調査され、今回はその全体像の概要を展示するものだった。
この上武道路の通過するエリアは、南側の北武蔵、で利根川を渡って北上すると、１）現在水田の広がる大間々扇状地末端低地部
２）扇状地状に広がる開析台地
３）赤城山南麓エリア
４）旧利根川流路にあたる広瀬川低地帯
の4つのエリアに分かれる。それぞれの地域の特徴に見合った79の遺跡が発見されているらしい。
上部道路最古の遺跡、異物としては3万年前の前橋市荒砥北三木堂�彊篝廖�上泉唐ノ堀遺跡の局部磨製石斧がある。事業団の専門家にお聞きすると、やはりAT層の下からの出土という。次に提遺跡（前橋市）の縄文草創期の石槍と石鏃の展示、この時代に初めて石鏃が現れるが、この遺跡からは土器は出ていないようだ。続いて縄文の各時代の土器や石器、装身具や土偶などが並ぶ。前期の五目牛清水田遺跡（伊勢崎市）の土器は尖り底と平底の土器が混ざり、文様は縄文だけ、装身具、土偶なども出土している。提遺跡の縄文後期の土器には沈線文の中に縄文や列点がつけられ、柄鏡形住居を含む9棟の住居跡が検出されている。また把手の付いた稱名寺式土器も出ている。弥生時代の遺跡は17か所発見され、弥生中期以降の土器や農耕具と思しき石器類、伐採に使ったと思われる磨製石斧などが展示されている。縄文晩期から弥生前期の遺跡・遺物は検出されなかったのか展示がなく、この時期の遺跡を発見することはまれらしい。どのようにして弥生時代が始まったのか、不明な点が多い。弥生中期の阿久津宮内遺跡（太田市）は上武道路南端の利根川の自然堤防上から、土器や石器が出土したが住居址は発見されていない。前橋市の富田西原遺跡は荒砥川支流を望む台地上にあり、県内でも古い時代の中期前半の土器を埋めた土坑が発見され、竪穴住居も6棟検出されている。残された石器（石鍬、伐採用の磨製石斧）や土器などから、低地や赤城南麓でも農耕社会が始まったことが推定できるようだ。また五目牛清水田遺跡からは、前方後円墳一基が発見された。また太田市の下渕名塚越遺跡からは12基の円墳、1基の方墳の群集墳発見され、墳丘上の円筒輪庭や主体部にもわずかな武具などが出土しているようだ。また古墳時代から古代国家の国造りの様子や中世の地域開発の様子のわかる遺跡も出て居おるようだ。
写真1）上武道路遺跡展入口
写真2）3万年前の局部磨製石斧と環状集落（推定復元）
写真3）縄文から弥生へ（左下―稱名寺式土器と赤城南麓の弥生中期の出土品）
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