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写真2）自然散策コースで見かけたクロサンショウウオの卵？
写真3）千手ヶ浜ノクリンソウ
奥日光の地形は「ひな壇型地形」といわれる。中禅寺湖は標高およそ1270m、2万年前の男体山の噴火で噴出した溶岩流で堰き止められてできた大きな湖だ。そこからは華厳の滝が流れ出ている。その上の標高1390ｍ前後の戦場ヶ原は元々2万年前の男体山噴火で堰き止め湖ができ、その後１万５千年前の男体山の噴火で龍頭ノ滝が生まれたときに溶岩流で埋まり、湿原となったらしい。さらにその上の湯ノ湖、湯滝は5千年前の東側にある1945mの三岳噴火によりできた堰止湖。日光の最古の地質は前日光の鳴虫山などで見られ、奥日光の主要な山並みー大真名子山・太郎山・女峰山などは比較的新しく、男体山は最後にできた火山らしい。白根山は日光火山群の一つで、前白根・五色山などは古く新第三紀の火山で、白根山は新しくできた溶岩ドームらしく、5300年前から噴火を繰り返しているそうだ。こうした様々な地質・。火山活動などによって今のようなひな壇や湖、滝などが形成されたようだ。むろんこれらの中央を流れる湯川の存在は重要で、堰き止められて湖や滝を生み出し、堆積物は平地や湿原を作った。今回の山旅で今までぼんやり疑問に感じていた日光・奥日光の独特の地形・景観のことが少し理解できたような気がする。
ふと思い立って日光白根山のシラネアオイや千手ヶ浜のクリンソウなどを見に奥日光に行こうと考えたがなかなか時間が取れず、やっと計画を作る頃には花はピークを過ぎ、シロヤシオに至っては散ってしまったかという時期にようやく実現した。すると梅雨入りとなったばかりか台風の到来となり、今さらキャンセルもできず取り敢えず日光に向かう。土曜の午後上野の科学博物館で沖縄の出土人骨に関する講演会の
後、上野から新幹線で宇都宮駅経由で日光駅にでて駅のそばで数少ない遅い時間まで開いている食堂というか居酒屋で夕食を取る。日光ではバブル期にホテルが客の取り合いでホテルの中で何でも出来るようにした時代に普通の店の多くが潰れ、その後基本的に昼間の観光客のみ考慮するために多くの店は早くしまる。湯元温泉でも食事をする場所すらない。
世界遺産に登録され外国人のバックパッカーも大勢押し寄せて観光パンフも数か国語で用意されているに関わらずである。観光地としては繁栄しているようなそうでないような微妙な場所のようだ。食事の後駅周辺唯一のスーパーマーケットで明日の朝昼食と行動食などをゲットし宿の鳴沢ロッジまで歩く。大谷川の橋を渡ってかなり歩いた。ロッジには外国人の女性数名が泊まっているようだー金髪の女性がちらっと見えた。雨の状況を気にしながらテニスの全仏の女子シングルスの試合の速報を見ながらやがていつの間にか寝てしまい時々目が覚めてはケータイやカメラのバッテリーの充電の具合を確認して再び全仏の進行を見ると第一セットを失ったハレプが逆転勝利した様子、今まで世界ランキングナンバーワンを続けながらなかなかグラントスラムを取れなかったハレプもこれでようやく名実ともに世界一になったが維持するのは大変だ。
夜中に再び起きて荷造りをして五時前に起きて仕度を済ませ、五時半頃に宿を出発、東武日光駅に出て駅の待合室で朝食を食べJR日光駅前の始発バスの様子を見に行くと人気かないのでそのまま東武日光駅で待つ。始発バスの時間が近づき駅前のバスターミナルに移動、始発バスに乗る。ほとんど乗客はいない。中禅寺湖まで来ると、霧がすごく何も見えない。そこを離れて高台に出るとガスは晴れる。さて当初の計画では一日目は千手ヶ浜と戦場ヶ原を歩いて湯元温泉に泊まり翌日白根山を登るのだが台風の接近で予定を変更し一日目に白根山を歩いて山頂には行かずにシラネアオイの撮影など自然散策コースプラスアルファで早めに下山し午後は千手ヶ浜に向かうよう変更、湯元温泉で下車し今夜宿泊予定の万蔵旅館に電話して一部荷物を預け次の鎌田行き関越バスで白根山ロープウエイのある丸沼高原まで次のバスで向かう予定。バス待ちの時間が一時間あるので、日光山温泉寺の境内の横に広がる湯の平湿原を散策、沼にはマガモのつがい、その先に湯元温泉の源泉施設がある。危険があるのでのぞき込まないように表示がある。硫黄の臭いがすごい。遊歩道の先に切込湖に向かうハイキング道が続いている。少し上ってみたが急な階段状の道が続いている。何年も前に歩いた記憶がある。下からトレラングループが練習なのか大ぜいで駆け上がってきた。いったん旅館に戻ってバスを待つ。
時間になり、バスで白根山ロープウエイに向かう。標高1480mの湯ノ湖からすぐに急な崖をバスは上っていく。途中ガスがひどいがやがて上の方でガスは晴れてくる。標高2020mの金精峠の下の金精トンネルを抜け、標高1726mの菅沼を通過、白根山のもう一つの登山口で茶屋まである。菅沼・丸沼．切込湖なども過去の数度にわたる火山活動の結果できた湖だ。この先、標高を下げ、1425mの丸沼を経て標高1380mくらいにある丸沼高原スキー場にあるロープウエイ駅に出る。ロープウエイはゴンドラで連続的に運転している。
山頂駅を出てガスは晴れて日差しも時々少しある。ラッキー。さっそくロックガーデンのシラネアオイの様子を撮影――やはりピークは過ぎているが、まだ見れるものもあった。さらに二荒山神社の鳥居周辺の小高い場所にたくさんのシラネアオイが咲いている。これは時勢なのか、後から植えたのか、ビジターセンターに尋ねそこなった。おそらくかつての自生地はシカの食害で全滅に近く、新たに植えたものがほとんどと思われる。ピークは過ぎているもののまだまだ見ごろではあった。これらのシラネアオイの植栽はシカ食害にショックを受けた主として群馬県側の関係者が食害対策と植生復元を目的として「シラネアオイを守る会」が発足し、植栽や食害対策を行っているようだ。鹿柵の扉を開けて登山道に進むと、道は不動岩・七色平方面に向かう登山道と、六地蔵の歴史散策・自然散策路などに向かう道に分かれる。少し進むと「森の豆知識」という日本製紙の看板があらわれ、守る会の主要支援者でもあるこの会社がこの辺りの広大な森林を所有し、長年にわたって大規模な伐採活動を行ってきたことを示唆している。目の前に大きな岩があらわれる―不動岩らしい。ここから山頂へ向かう道と分かれ、全長1.5�劼亮�然散策コースに入る。このあたりはシラビソやコメツガなどの自然林で覆われているようだ。分岐から6分くらいで展望台に出る。ガスの切れ間から白根山が見えたがすぐにガスに覆われて何も見えなくなった。晴れていれば燧ケ岳も見えることになっているが、残念ながら矢印の方向はガスで何も見えなかった。この天候の中で一瞬でも白根山が見えたことはラッキーだった。ドーム火山であった5千年前の白根火山から流出した溶岩台地はでこぼこの複雑な地形を形成し、亜高山隊の植生に覆われている。窪地にはわずかに雪が残っている箇所があった。菅沼登山口から見ると深い谷に設計が残っているのが確認できた。あちこちに火山ガスが抜けたと思われる穴が開いているが風穴のような冷たい風は出ていない。展望台から10分強歩くと第二の展望地が出てきたが今度はガスで何も見えなかった。この後、六地蔵のある歴史散策コースの分岐があり、そちらに向かう。分岐からは下り基調で、分岐標高が2008m、六地蔵あたりが1947mらしい。下っていくと小さな平坦地があり、湿地になっている。小さな沼のような水たまりに何か薄緑や白っぽい不気味なものが浮かんでいる。どうやらクロサンショウウオの卵らしい、すでに相当数は孵化しているようだ。分岐から10分くらいで歴史散策コースと合流する。そこから4分くらいで六地蔵に到着、六地蔵は12世紀以降の日記などに現れ始めるようだが、おそらく江戸時代に多くの地蔵が設置されたと思われる。六地蔵から10分くらいで展望台に向かう階段があり、展望台に上がるがむろんガスで何も見えない。六地蔵から20分くらいで自然散策コースと合流、湯元に戻るバスの時間が近づいたので、いそいで二荒山神社まで戻り、時間いっぱいシラネアオイを撮影し、11時4�な�ころにゴンドラに乗り込み、12時のバスに間に合う。バス停付近にはレンゲツツジが咲いていた。12時40分前に湯元温泉バス停に戻り、急いでビジターセンターを訪問し、展示を見学――特に白根山周辺の火山群と奥日光の地形の成り立ちのジオラマや解説ビデオを見る。二度の男体山の火山噴火、三岳火山噴火などによるひな壇型地形と湖屋戦場ヶ原などの成り立ちの様子を見る。15分くらいの短い見学だったが、見学できてよかった。１3時には再びバス停から東武日光駅行きのバスに乗り、龍頭ノ滝上バス停下車、高山経由で13時半過ぎ、千手ヶ浜に向かう。赤沼から低公害バスを使うかどうか迷ったが、高山付近のシロヤシオが残っているかどうか確かめたかった。登山口は標高1350m余り、道標に従って標高1668mの高山に向かう鹿柵をくぐる。これから2.4�辧�標高差300mを進む。白根では3�劼�らいしか歩いていないが、最近は脚力低下故、次第に足取りが重く、上りがつらくなる。出発して1時間後には、何とか3分の二くらいまで進んだが、結局高山山頂にたどり着いたのは15時過ぎ、予定より20分以上遅くなった。ここからは標高差400mを一気に下る。今の脚力を考えると、千手ヶ浜到着は4時を過ぎ、おそらく最終バスには間に合いそうもない。我慢して一歩一歩下る。下りに入り、シロヤシオはほぼ散っていたが、ごくわずかにチリ残りの花を見ることができ、今年のシロヤシオにお別れを告げることができた。シロヤシオや山ツツジを見ながら一生懸命下ったが、コースタイム55分のところ結局70分もかかってしまう。中禅寺湖畔（熊窪）に到着したのは4時15分過ぎ、千手ヶ浜ノクリンソウ自生地まではまだ1�匐瓩�ある。疲れた足を引きずって18分で千手ヶ浜の船着き場に出る。船の切符売り場周辺はむろん人影はない。荷物をベンチに置いてカメラだけ持って橋を二度わたり、急いでクリンソウ自生地まで進む。10分後、クリンソウ自生地のある「仙人庵」手前に到着、ピーク過ぎではあるがまだまだクリンソウは健在だった。ひとしきり撮影し、急いで船着き場まで戻り、荷物を回収し、自動販売機のコーヒーを購入して飲み物を確保し、17時少し前、急いで中禅寺湖畔のコースを菖蒲ヶ浜に向かって歩く。すでに足はいっぱいいっぱいで最初は起伏も少なく快調に進んだが途中から岩場の崖になり、岩尾根が続いてあらわれ、急な崖の上り下りが続いて苦しいことになる。地形図で見る赤岩のあたりだ。17時53分、赤岩道標から菖蒲ヶ浜まで残り1.4�辧⊃�度の岩場の上り下りを超え、1420mピークを回り込んで、18時30分頃、ようやく菖蒲ヶ浜キャンプ場手前に出る。すでに日没時刻になり、暗くなり始めている。宿泊の湯元の旅館に電話し、結局19時過ぎのバスで戻ることを告げる。タクシーを呼ぶといろは坂を上ってくるのですごくお金がかかるのでバスを待つのが得策と告げられる。キャンプ場〜中禅寺湖周回線歩道入り口を出てから坂を上り、18時45分頃龍頭ノ滝バス停に出る。高山の下りから雨が次第に強まり、途中から傘をさして歩くが、かなり体が濡れており、真っ暗なバス停では寒さに震えながらバスを待つ。ベンチのある日光駅側のバス停に座っていると日光駅行きのバスが通過、バスは止まって乗るのか尋ねられ、湯元に行くと告げる。湯元行バス邸はベンチが壊れており、こちら側と違って樹木の屋根もなく、バス時刻までこちらで待っていると説明、なんとか7時5分を過ぎ、反対側バス停に移るとすぐにバスが来て助かった。旅館に戻り、急いで着替えて温泉に入り、ようやく生き返った。ゆっくり食事をして休むことができ、明日の雨がどうなるか、雨の音を聞きながら眠りについた。途中、全仏の男子決勝が気になったが、ナダルが1・2セットを制したので、今回はナダルの勝ちだなと理解し、明日に備える。
