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写真2）緒立遺跡ーすぐそばにある的場遺跡とも関連する官衙的性格を持つ遺跡らしい
写真3）古津八幡山弥生の丘展示館で開催されている「豪族居館」展―きょうは文化財センターで関連講演会
豪族居館に関する講演会が新潟市文化財センターであるので出かけてみた。新潟駅万代口の駐車場でチャリを借り、出発、チャリはクロスバイクのようなスポーツタイプで24時間千円、ママチャリだと３時間３００円で一時間超過の度に100円で差額は400円程度なのでスポーツ車で出発、まず十キロ先にある
的場史跡公園に向かう。県庁のある通りを進み、信濃川を渡って高速や新幹線を越えて進むとなにやら工業団地のような場所に出てしまいナビの地図とは違う道に出てしまう。農道に入って何とか脱出しようと試みるが農道と工業団地との間に比高差があり、上に上がる道がない。大回りして何とか上の道に出て改めてナビで的場史跡公園を探す。少し戻って何とか史跡公園の方向に向かうことができほっとする。公園に到着し解説や遺構などを撮影し展示施設のある東屋に向かう。ここで行動食や水分を補給して展示を見る。ここは平安時代の漁業（鮭漁）基地であり、また漁業管理の役所の建物跡と考えられる遺構も出ているようだ。新潟市のHPでは
「発掘調査によって、奈良・平安時代を中心とする多量の土器や漁具等の遺物が、非常によい状態で出土しました。中でも注目されるのは、文字が記された木の札（木簡−もっかん−）や、奈良時代に流通した古い銭貨の一つである和同開珎（わどうかいちん）が出土したことです。また、魚とりに使う網のおもりと浮きのセットなど、全国的にも貴重な資料といえます。的場遺跡は、奈良・平安時代の水産物の捕獲や管理に関係する基地のような性格を持っていたようです。
この遺跡出土遺物は県・市の指定文化財となっています。
また、この遺跡は現在、的場史跡公園として整備されています。」
とある。 掘立柱建物風の東屋の展示を見ながら行動食補給し、次の緒立遺跡に向かう。数百メートルしか離れておらず、古代の役所跡であるらしい。古くは縄文時代から中世に至るまでの複合遺跡で、この地域の中心として栄えた場所らしい。古墳時代には直径30mの円墳、緒立八幡宮古墳もあり、古墳時代前期、この平野部最大の円墳らしい。奈良平安時代の遺構としては大型倉庫と推定される建物跡や井戸、祭祀具など古代の役所を思わせる遺跡らしい。
緒立遺跡から文化財センターは4�劼發覆�、あっさり到着、講演会受付を済ませ、荷物を講堂において、「鋳物師」の展示を見る。これが二回目で前回はまだ展示解説のパンフレットができていなかった。北陸の製鉄は8世紀の箱型炉から始まり、9世紀〜10世紀にかけて、最古の鋳造関連遺物。遺構の出ている下ヶ久保A遺跡がある。製鉄技術や鋳造技術は北陸の石川県あたりから伝わっているようだ。日本海の騎乗交通がさらに整備されて、山陰地方の鉄製品が大量に流入する中世には製鉄産業は新潟県域では衰退し、かわりに鉄を輸入し、鋳物生産が盛んになったようだ。
講演では、展示にもかかわった福島大学の菊池芳朗氏が、古墳時代の集落と古墳、豪族居館との関係を火山灰の下から出土した黒井峰遺跡や三ツ寺遺跡などの研究から、東日本の古墳時代の集落と古墳、豪族居館との関係について、現在までわかっている研究成果をもとに話をされた。この時代、「豪族」と言葉は研究者によりまちまちで、どう理解するかは難しい問題だが、古墳の被葬者と考えられる首長の居館やそれと関連する祭祀遺構と考えられる遺跡を菊池氏はその大きさや内容から分類し、その性格を検討している。黒井峰の集落遺構からは、周提を持つ竪穴建物（住居）と新たに発見された平地建物が1：5の割合で検出され、菊池氏は竪穴建物を主として冬の住居、平地建物を3シーズンの住居と推理する、大きさは竪穴建物が大きく、より多くの人が住める。一方平地建物はやや簡素な造りで、住居以外のあり、建物の時期差もあって、この比率になっているらしい。
また奈良の都周辺地域ではこれらの豪族居館のような建物は見つかっておらず、大阪の法円坂や和歌山の鳴滝遺跡など、大型倉庫群などは見られるが、豪族居館にあたるような5世紀の建物は見つかっていないので、中央豪族や王権と地方の豪族居館などとの比較や関係を調べることは容易でない。いわゆる古墳時代の豪族居館土師器的に5世紀に集中しており、その前後からのものは見つかっていないので、その理由も知りたいところだが今のところよくわからない。また5世紀はいわゆる輪の五王の時代で、国造制などの制度作りが進む以前であり、これらの首長層の役割や、中央豪族・王建との関係などわからないことだらけだ。5世紀の奈良周辺の遺跡としては葛城氏との関係が想定される南郷遺跡群があるが、いわゆる居館は未発見で高殿といわれる極楽寺ヒビキ遺跡とは比較できるのだろうか？質問でそのことを尋ねるのを忘れたことが残念。文字資料も含め、史料の増える6世紀より前の時代の豪族の姿、中央との関係など不明なことが多く、今後の新しい発掘調査による発見や研究の進展を望むばかりだ。
講演は3時過ぎに終わり、質疑の跡3時半前にセンターを出発、4時15分頃、新潟駅付近でチャリを返却、帰途に就いた。
