12月10日(日)葛城市歴史博物館「渡来人の暮し」展

体調はまだ万全でないが、昨夜一晩寝て熱が下がったので新横浜から出かけてみた。熱が下がらなかったら新幹線チケットなど払い戻しに行くことも考えたが、午後の講演もあるので思いきった。新横浜から京都経由で大和八木、橿原神宮前、尺土と乗り継ぎ忍海駅に出る。博物館では、まずこの地域の最初の王である室宮山古墳と二代目の掖上鑵子塚古墳の首長が、記紀に出てくる葛城氏の外交活動により、伽耶、百済南部ー馬韓、栄山江地域から渡来系集団や技術者を招き寄せた。その先駆けが五世紀前半の南郷遺跡群であり、主力が北側の忍海地域に移動してからも古代に至るまで鍛冶、鉄器生産など活発な手工業生産を開始していた。五世紀後半、南郷遺跡群が馬匹生産の牧に変わり、かわって忍海が手工業生産の拠点となり、奈良盆地の天理付近の和邇氏関連遺跡同様、新技術を駆使した手工業生産拠点として継続した。
　展示では長柄遺跡や下茶屋カマ田遺跡などから、出土した韓式系土器や、筒形土製品(カマド煙突)、竹内遺跡出土初期須恵器、大壁建物の模型など渡来人の生活と関係の深い遺物などが並ぶ。先にNHKBSで放映したフロンティアという番組の第一回で、日本人の起源について最新の分子遺伝学、DNAゲノム解析結果から.従来の二重構造モデルでは、説明できないことが明らかにされた。縄文から弥生時代移行期では、まだ縄文系遺伝子が多くのこり、渡来系の影響はまだすくなかったが、次の古墳時代になり、急激に遺伝子構成が変わり、一気に現代人に近づいている。古墳時代に何が起こったかを解明することが大きな課題となった。この時期これまで考えていた以上に大陸から大量の人が列島にやって来たのは、確実視された。