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写真��同
写真⓷同
加曾利貝塚から市川市のメディアセンターに移動、総武線下総中山駅下車、シェアサイクルポートのあるWE HOME HOTELまで歩き、予約したチャリを開錠してメディアセンターに向かう。ここは生涯学習センター施設の中にあり、一度来たことがあるが、那珂が複雑でよくわからない。チャリポートにチャリを置くが、駐輪できないので返却できないので鍵だけかけておく。
中で手続きをして決められた席に着く。前から4番目、比較的前の方で早めに来て正解だった。その後満席となり、ほーつの外に映像で見る席が作られた。２６０席では足りなかったようで主催者の予想を超えた盛況ぶりだった。会場では博物館友の会のメンバー数名と顔を合わせ、おひとりとは昼食も共にした。
今回は市川市立考古博物館と新潟の例の医療福祉大学の人類学研究室の共同主催で、最初の挨拶は考古博物館、趣旨説明は医療福祉大学の佐宗亜依子氏が行った。昨年末の同大学で行われた上野遺跡出土人骨の見学会でお話を伺った形質人類学者であり、今回のプロジェクトリーダーだ。
最初に１）市川市考古博物館の領家正浩氏が市川市の縄文貝塚と姥山貝塚の発掘調査と研究史を概説し、
２）聖マリアンナ医科大学の水嶋崇一郎氏（解剖学）が、姥山B9号住居址人骨の身体特徴について、出土人骨の証左を説明、
３）東邦大学法医学講座の水野文月氏（🚺）が最も注目された同人骨のDNA分析結果を報告、例のごとくDNA抽出、分析にあたっての様々な技術的なポイントを長々と話される。専門家にとっては最も重要な部分の一つであるが素人には理解不能な枕詞のようなものだ。
理解できたことは、核ゲノム解析は現在進行中で、これを取り出せるかどうかはまだわからない。ミトコンドリアDNAに関しては解析が進んでおり、今回の報告はこれにあたる。様々な技術的なクロスチェックから、かなり信頼性の高いデータが取り出せたという。解析は個々人のパソコンでも可能な領域とスパコンによる外注解析をしなければならない場合があるようだ。
次世代シークエンサーの説明が続き、
��DNA情報のリレー数
�▲�バー率
⓷深度
の三つが重要であるらしいが、素人にはチンプンカンプン
面白いのはこれまでの縄文人DNA解析結果と沖縄の湊川フィッシャー人骨のミトコンドリアDNAハプロタイプが異なるのであるが、広く東アジア集団の中に入ることに矛盾はないそうだ。詳細は今後の解析を待たねばならないがーーそれでも列島の縄文集団と沖縄の旧石器の集団の出自はやや異なるものであることは確かであろう。白保竿根田原の人骨の核DNAは取り出せていない。少し後の時代の人骨のMtDNAは解析できていることはわかっている。
さて、姥山貝塚B9号住居址出土人骨のDNA分析結果だが、
1号人骨：N9ｂ
2号人骨：N9b
4号人骨：N9b
5号人骨：N9b
となり、3号人骨だけ、サブハプロタイプが異なる珍しいタイプで船泊などでもまれに見られるタイプらしい。また性別鑑定ではこれまでの形態学的な分析と一致したが、血縁関係についてはＤＮＡ解析によれば5体の血縁関係は薄く、親族関係はない（少なくともみな母親が異なる）という結果が出てきた。これは佐宗氏らの人骨形態からの血縁推定とは異なる結果で、現状ではＤＮＡ解析を信じることになる。佐宗氏は最後のまとめで、この点に触れ、人骨とりわけ頭骨の特徴が似ているケースが多く、血縁を想定したが、ＤＮＡにより否定されたことをどう考えるかー今後の検討課題だが、考えられる問題点の一つとして、集団内の過去の血縁関係において、近親婚などが繰り返される場合に母親が異なっても形質が似てくるというケースも考えるン必要があるかとまとめた。佐宗氏自身は今回、病理学的な分析結果の報告をされたのだが、人骨の出土状況と人骨のタフォノミー分析の重要性を強調された。
タフォノミーとは
生物が死後に堆積物に取り込まれるまでの過程を調べる研究分野。その過程で死骸から何が失われ、どのようなノイズが付加されたかがわかれば、過去の生物やその生態の復元の精度が向上する。水流や波浪によって違う場所に住んでいた生き物が混じり合っていないか、違う時代に死んだ生き物の遺骸が堆積物中に住む動物によってかき混ぜられていないかなどの研究がタフォノミーに含まれる。貝殻や骨格などの硬組織は、化石として残りやすい。硬組織でも、ホタテガイやカキの殻をつくる方解石は、常温常圧下で他の二枚貝の殻をつくるアラレ石より安定している。このような知識を持って、ホタテガイやカキの殻が目立つ地層を観察するとアラレ石でつくられた殻をもった他の二枚貝の溶けた跡を多数発見でき、もとの二枚貝群集の精度の高い復元につながる。バージェス頁岩をはじめ、保存されることが稀な化石が見つかる地層は、化石鉱床あるいは化石鉱脈と呼ばれる。化石の特殊な保存のされ方の研究もタフォノミーの一分野である。スウェーデンのカンブリア紀後期のオルステン化石鉱床からは、組織が顕微鏡的詳細まで保存された化石を産出する。京都大学の前田晴良博士らのグループは、保存は、動物の糞粒に含まれるリンが組織に染み込むのが原因であることを突き止め、糞粒密集層から保存の良い化石を効率的に得る方法を発見、2011年に報告した。このようにタフォノミーの研究は、保存の良い化石の発見を容易にすることを通じても古生物の詳細な復元に大きな手がかりを与える。
のように古生物学における化石の復元のための生物が死んでから化石に至る過程の研究だが、生物としてのヒトが亡くなってから埋葬され、後世に人骨として発見される場合の復元のための研究もなされているようだ。人骨研究というものは実に様々な研究、調査、解析の上に成り立っていることをわからぬまでも感じ取った次第。
最後に参加者の質問に答えながら、コメンテーターとして東大学術博物館の近藤修氏がタフォノミーについて海外研究は多いが日本語文献はわずかしかないこと、東北芸術工科大学の青野友哉氏や骨考古学者の視点から人骨出土状況をどうとらえるかについて、同氏の長年の研究からお話しされた。青野氏は北海道の続縄文の墓域として著名な有珠モシリ遺跡の研究と国史跡指定のための調査を指揮された方で、現在は上記大学に拠点を置いておられる。ここでお目にかかるとは思わなかった。最後に新潟でお世話になった佐宗氏にあいさつし、上野遺跡や土橋遺跡の焼人骨について、一つ質問したが、打ち上げの時間となったので、また大学の奈良先生が研究中とのことで、改めて研究を待つことにした。
最後に困ったのはチャリの返却で、よくわからないのは駐輪したときは返却できず、停車、施錠しただけだったが、スマホの電源が切れて充電しているうちにどうにかなったのか、借りたはずのチャリが亡くなっている。通信が切れて自然に返却されたのか、不思議。やむなく新たに借りたが、返却できるポートが見つからず、西船橋まで走ってようやく返却できた。千葉のような人口密集地では借りるのも大変だが、シェアサイクルの返却場所が最大の問題だ。おかげで帰宅時間が遅くなったが、寒いので取っておいたキリタンポで庭の菜花とルッコラを使って鍋を作ってしのいだ。
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