午前中、古代オリエント博物館の自由学校の「シュメル学入門」の講義の二回目。前回は初めてで、いきなり古代王権と身代わり王、道化などの難解な話で度肝を抜かれた――これが「入門」なのかーー??と驚いたが、今日の講義は講師の小林登志子氏の「シュメルの神話」という著作に基づいた話になるので、前回ほどぶっ飛んだ話にはならなかった。最初に過去の発掘の出土品で現在大英博物館、ルーブル美術館、ペンシルベニア大学博物館などで所蔵される粘土板の「署名目録」に関しての話。シュメルの文学作品などのリストと考えられる目録がこれまで10ほど出土しているが、このうちニップル出土の書名目録(ペンシルベニア大学博物館所蔵)には62の書名があり、このうち20は現存している。その他の粘土板目録などと合わせて、200以上の作品があり、今後もっと多くが発見されると考えられている。これらは、書かれた当初のものではなく、アッカド語やヒッタイト、エラム語など様々な言語に写され、解今日まで伝えられている。また洪水伝説など、旧約聖書のノアの箱舟の洪水説話の原型とみられる話も出ており、ギルガメッシュ叙事詩などとともに多くの文化圏に影響を与えてきたという。またシュメル人の神話に出てくる神様と創世記神話の特徴を日本や他の文明圏の神とヒトの関係などから論じていた。面白いのは、日本神話には神様が人間をつくるシーンはなく、人間の存在は重要でないこと=天皇が神々とどのようにつながっているかを示すことが重要=。またシュメルは多神教で、それぞれの都市は都市神を持つ。小林氏は都市神というより氏神様のようなものと考えているが、シュメルを神々の中の地母神信仰に関して、後にローマで国教となったキリスト教の三位一体論が一神教というより、多神教との妥協の産物で、マリア信仰はまさに地母神信仰で、ユダヤ教やイスラム教の一神教とは似ても似つかないものだとする。これはまあー宗教論としてはよくある見方だろう――。最後に次回からのシュメル神話の各章の概要を話して、今日の講義は終了ーー。終わってから目黒の自然教育園に向かう途中、同じサンシャインビルで開催されている「蘭展」を見て、同じく隣の展示スペースで開催されている沖縄フェスタで沖縄そばを食べて、昼食の代わりとした。
写真1,2「蘭展」一等当選作品
写真3:沖縄フェスタの野外イベント
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