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「トムラウシ山遭難事故調査報告書」には、当時の状況を詳しく記載してある。生き残った人の数々の証言は、自分の登山経験に役に立つものだと思う。
http://www.jfmga.com/pdf/tomuraushiyamareport.pdf#search=%27%EF%BC%91%EF%BC%90%E5%B9%B4+%E3%83%88%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B7%E4%BA%8B%E6%95%85%27
この報告書の中で気になるのは、「気温6℃、風速20m/s」だったということ。
厳しい条件に思えるが、これは、大雪山系では、想定範囲内。この条件で歩けないなら、大雪山系を縦走する資格はない。
トムラウシ遭難事故と自分の過去の2件の山行時の気象条件を、気象庁の「過去の気象データ検索」にて検索してみるが、なんと最大瞬間風速が10m程度で、さほどでない。
前後を見ても、平地においては、さほど強い風が吹いた日ではなかったようだ。
●2011年08月07日(日) 〜 2011年08月10日(水) 【百名山、三百名山】望岳台〜オプタケシケ〜トムラウシ〜化運岳〜忠別岳〜旭岳〜旭岳温泉
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-610625.html
この記録は、自分が初めて大雪山系を縦走した時の記録だが、最終日8/10は風速20m/sぐらいだった。
これは、もうロープウェイなんて、絶対動くはずがないと思って、姿見に行くと、なんと風速は、10m/s程度で、ロープウェイは普通に運転しており、観光客の姿もちらほら。
下界に降りると、「強風?なにそれ?」みたいな感じで拍子抜けした。
●2016年9月28日(水) 〜 10月01日(土) 紅葉の大雪山を散策 温泉だにゃー♪
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-975041.html
この時は、9/30、10/1にかけて、15m/sぐらいの強風だったが、過去の記録では、平地の最大瞬間風速が5m/sだったようだ。
なだらかな尾根歩きは、大雪山系縦走のハイライトであるが、強風が吹くと逃げ場がなくて、最悪だ。
特に小泉岳〜緑岳、北海岳〜間宮岳の区間は、最悪だった。
もちろん、気圧配置や風予測、てんきとくらすなどで、強風の予測はできる。あえて強風に突っ込むことはないと思うが、北海道まで行くと引っ込みがつかない場合もあるだろう。
ただ、それには、十分な装備、技術、体力があることが前提である。
そういった意味では、トムラウシの事故は、最初から遭難していたようなものであって、「対応が100%完璧であれば、事故は起きなかった。」とか、バカなことはあり得ないのである。大前提がまちがっていれば、後から取り戻すことはできないことのいい例となっていると思う。
ところで、この時、A社が避難小屋を独占するとか、とんでもないことをしていた。そもそも、避難小屋をガイド登山など、営業で使うのは、論外である。こういったケースは、見つけ次第、関係機関に連絡すべきである。
●北海道管理の避難小屋
https://www.yamareco.com/modules/diary/73693-detail-121688