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同期の相棒達と3人で奥又白谷を何ルートか稼いだときに、初めてヘルメットを被りました。
その頃はヘルメットは工事現場などで使われ、登山用ではありませんでした。
今にして思えば非常識ですが、当時のクライマーは帽子だけで登攀するのが普通でした。
緑色のそのヘルメットは、相棒のO君が持つて来た工事現場用のハイゼックス製で、地色のダークグレイをO君が自分で緑色に塗ったものでした。
ペンキの定着が悪く、下地に”竹中工務店”と書いてあるのが丸見えでした。
ヘルメットが一つの場合、パーティーでは慣例のようにセカンドがヘルメットを着けます。
3人パーティーのセカンドは、荷分けの分担は多くなりますが、確保以外では仕事が一番楽なのです。
ただトップからの落石をもろに被りますので、ヘルメットが一つのときは自然とセカンドが被ります。
私がセカンドを担当するルートで、O君がヘルメットを被せてくれました。
紐締めに手間取っていると、O君が顔も真近にしっかりと、締め直してくれました。
鬚の濃い、いい顔でした。
ヘルメットを被ると落石には少しは安心ですが、視線を振るなど頭を岩の真近で動かすときに、縁が当たって少し不自由な気がしました。
今では登攀用のスリムで高性能なヘルメットが普及し、パーティ全員が被るのが当然なことになっています。
ある日の事、北岳の山頂で休んでいると、3人の若いクライマーが現れました。
バットレスを攀じて来たのだそうです。
全員がスリムでカラフルないいヘルメットを被っていました。
山で彼らのようなクライマーと行き会うと、いつもO君を想い出します。
彼が谷川岳で遭難し、亡くなってからもう半世紀以上になります。
奥又白で、私にヘルメットの紐をしっかりと締め直してくれた、あの精悍な顔を昨日の事のようによく覚えているのです。ainakaren
ainakarenさん、こんにちは。
現在のクライミングギアは、昔のものに比べ性能は向上し、また軽量化されており、
クライマーにとってはより安全な登攀ができるようになってきているようですね。
ただし、道具が進化しても、これを使用するクライマーあるいは登山者自身が進化
しなければ事故はなくならず、私もクライミング初心者ではありますが、このこと
をいつも頭の片隅に入れて登山計画を練っております。より高度な登山を体験したく、
背伸びして無理な計画をしないように、今後も自分の実力にあった安全登山を
意識していきたいと思います。
tayukayuさん・コメント深謝です。
山道具屋さんに行くと、最新の山道具が豊富にあり、私にはどのように使うのか見当も付かない不思議な道具でいっぱいです。
仰るとおり、道具が進化しても、使うのは人間ですからね。
一瞬の注意力の隙が最悪の結果になります。
一般の軽登山の場合も同じですね。
のんびり普通に歩いていて、躓き転落する事故が多いのです。
貴、日記を拝見しました。
北鎌尾根を縦走なさるとの事、パーティは何名ですか。
私は大昔のルート状況しか知りませんが、岩の風化が激しく浮石が多かったですね。
二度目なら単独行フリーで可能なルートと思いますが、初めてのルートなら経験者の同行があればいいですね。
全員が始めてのパーティでしたら、難所では部分的に確保したほうがいいと思います。
安全な登山を満喫して下さい。相仲
ainakaren 様
良い想い出を持っておられ大変うらやましく拝読させていただきました。
若かりし日の仲間との想い出はいくつになっても鮮明に思い出されます。
特に「山」というある程度閉ざされたフィールドで、寝食を共にした仲間とあればより一層強い絆で結ばれているのではないかと、そのような経験のない私にも想像に難くはありません。
私は、登山という趣味を持ったのも40過ぎの中高年の仲間入りをしてからであり、ほとんどが単独行のためそのような、仲間との交流がまだありません。
いつの日か、過去を想い起こす年齢になった時そういった想い出はかけがえのない財産ですね。
私も、これからでもそんな仲間が出来ればと、ふと思ったりしました。
ainakarenさん、こんにちは、
とても思いで深い内容で感銘を覚えました。友人の出来事は心の安全ベルトとなり、今のainakarenを支え守っている事は間違いない事実と感じました。
taka4さん・コメント深謝です。
昔の相棒との想い出は私の無形の宝です。
当時の先輩と仲間達の過半数が世を去りましたが、同期3人の1人が亡くなり、私とE・O君の2名が生存しています。
私は後2年位は登れそうですが、E・O君は10年程前からパーキンソン病に罹患し手足が不自由で登れません。
でも逢うと山の昔話に花が咲きます。
最近の山の会は年配者の新入会もできるし、安全な登山を志す良い会も多いと聞きます。
ヤマレコでコースを予告して頂上ミーティングも出来ます。
同好の士と山の想い出を沢山作って下さい。ainakaren
追伸・ヤマレコ・バッジがミーティング時に役に立つそうです。
私も一度くらいは、やってみたいと思います。
kintakunteさん・コメント深謝です。
一年のうちに3件の遭難事故で4名が亡くなり、三件ともそのご家族の方々とお会いしました。
ご家族の中に「好きな山登りで亡くなったのだから本望でしょう」と仰る方がいらっしゃいました。
私はその時に思い至りました。
山好きなのはご家族ではなく本人なのです。
本人が自分の好きなことをして家族を悲しみの淵に突き落としたのです。
それに気付いたとき退会する決心をしました。
kintakunteさんの仰るとおり、亡くなった人達が私を守ってくれたと何時でも思っています。
お互いに安全な山登りを致しましょう。相仲
ainakarenさん、こんにちは。
奥又白谷・・・「氷壁」で読んだイメージだけなので、僕の中では凄い場所になっています。
いつも日記を拝見させて頂いております。
今日は特に「コメント感謝!3」に対しての深い共感がありました。
昨年、実の母が大病を患い、生還いたしました。
それから山に登った時、山に対して感動を覚えた時に母に対しても「生んでくれてありがとう」と感謝するようになりました。
今月初めには義理の親族に不幸がありました。
その闘病生活の間、山に登っている場合ではなくなりました。
ありきたりの感想かも知れませんが、このような体験を通じて -登山が出来る、という事が実は周りの人々に支えられている- という当たり前の事を深く痛感するようになりました。
最近、今後の姿勢を考えますが、上を見すぎるのは控えようと感じる事があります。
僕にとっての「登山」とは、生んでくれた両親、支えてくれている家族の想い、それらと良いバランスで楽しむ事を最優先にしていきたい、と思う今日この頃です
これからも色々と勉強させて下さい!
こんにちは。
今日初めて山頂間近で撤退しました。
悔しかったし、情けなかったし、下山後ホントに涙が出ました。
経験のある方からすれば撤退しなくて良いシチュエーションだったかもしれません。
でもそのときはホントに怖かった。息子と両親の顔を思い浮かべて、ここで遭難する訳にはいかない!!
無傷で帰りたい!!と、強く思いました。
>「好きな山登りで亡くなったのだから本望でしょう」
よく聞く言葉です。ご遺族が大事な家族を亡くされた事実を受け止め、乗り越えるためには必要なコトバだとは思います。
が、あえて言わせていただければ、hirorineは「好きな山だからこそ死んではいけない」と思います。
初心者の若輩者が生意気なコトを言ってごめんなさい。
jimsonさん・コメント深謝です。
お母上、良かったですね。
御大事にしてください。
若い頃心配をかけた私の母は、九十八才で老衰により眠るように亡くなりました。
私の遭難で悲しませることもなく、よかったと思っています。
奥又白は涸沢側より急峻ですが、夏は登り易い短いルートも沢山あって、総てが小説の舞台のような長い難コースではありません。
jimsonさんのバランスを持って、とのお考えには共感します。
ハード登攀はやはり、あえて危険を覚悟して乗り越える登山です。
体力も気力も充実した若者の世界と割り切っております。
それを中年に差し掛かる寸前で気付かせてくれた人達に感謝しております。
山は想い出が大切です。
若い人達には良い想い出を沢山作っていただきたいと思います。ainakaren
hirorineさん・こんにちわ!コメント深謝です。
よく引き返されましたね。
やばいかなーと感じたとき、引き返すのが、バランスの取れた山登りです。
ところで、何処のピークを狙ったのですか? ainakaren
追伸・hirorineさん、大室山登頂を突然の豪雨で撤退との事、英断でしたよ。ainakaren
私も40年前初めて、岩を始めた時には「工事用の黄色のヘルメット」(ミドリ安全製)でした。たしか三ツ峠だったと記憶しております。
北岳、谷川、横岳等々登攀しましたが結婚を機に縦走登山に変えました。現在はランニングを兼ねてトレイルなんぞしておりますが・・・。
懐かしく当時を想い出しました!
YAMAKENさん・コメント深謝です。
この30年ほどの登山道具の発達は驚いてしまいます。
ヘルメットもスリムで軽く、しかも強度も強いそうです。
昔は軍用の鉄帽か、工事現場用のハイゼックス製を流用するしかありません。
それもパーティ全員には揃わず、セカンドだけに被らせた、今の若いクライマーが聞いたら呆れてしまいますね。
YAMAKENさんの結婚を期に縦走中心の軽登山は、良い選択だと思います。
用心と慎重さがあれば危険はないからです。
コメントのレスポンスが遅く皆様に申し訳なく思います。
一本指キーインでポツリ・ポツリ打つものですから、10倍くらいの(10本対1本)時間がかかります。
お許しのほどを〜ainakaren
ainakarenさん、はじめまして。sowakaと申します。
ヘルメットの回想を書かれたと同日に、知らずして私も同じ装備に関する拙文を載せてしまいました。
失礼致しました。
軽量化と効率化の進んだ装備を、さらに高度に使いこなすにはどうしたらよいか。
いつも頭を悩ませています。
また、ご教授下さい。
sowakaさん・コメント深謝です。
貴日記、拝読いたしました。
新旧ヘルメットの対比、出来るなら前後に並んだ記事にしたかったですね。
両方を読んでくださった方は、一層興味深く思っていただけたのではと思います。
sowakaさんのヘルメットについての愛惜の情と知識深さに感心しております。
山岳用のヘルメットにも規格があるのですね。
不明にして知りませんでした。
ヘルメットは、もはや私には想い出の中だけの山道具ですが、使い心地と型式名など、日記にアップして下されば購入の参考になさる方もいらっしゃると思います。
sowakaさんのご無事な山行をお祈りします。相仲
ainakarenさん、こんにちは。
私は80年から87年頃まで、クライミングをやっていました。その当時としてはやや旧式のインターアルプという、すこし重く、耳も隠れるようなヘルメットを使っていました。理由は安く購入できたからです。はじめの5年くらいはこのメットを使っていましたが、85年くらいからは部室に転がっていた軽いメットと併用していました。
メットに助けられたことと言えば、それも奥又白の岩場なのですが、85年夏に前穂高�峰南東壁のルートをトップで登っている際に、�級のフリーを抜けてほっとした直後、アプミを残置ハーケンにかけた瞬間にハーケンが抜けて、約20mほど墜落したことあがります。気がついたら左腕が血だらけになっていましたが、幸い、骨折もせず、頭部にはかすり傷一つ負いませんでした。ほぼ自然落下でしたから、頭部もぶつけたようですが、メットのおかげでしょうか。それにしても、相棒がよく止めてくれたと思います。10m以上のトップの自然落下を止めるなんて、ゲレンデでは練習のしようも無いことですから。
今は低山でのワンデイハイクが主体で、クライミングはやっていません。墜落を止めてくれた相棒は、その後の激しいヒマラヤ登山で腰椎を痛めて手術を受け腰に金属プレートを入れられ、今では歩くのもおっくうな状況で、山に誘える状況ではありません。
しかし、できれば、その相棒ともう一度ザイルを組んで、昔のように岩壁を攀じりたいと心密かに思っているのですが、、、。
この気持ちはainakarenさんならお分かりいただけるのではないでしょうか。
pamir88さん・コメント深謝です。
80年代の中頃ですと、奥又白の未登ルートも無くなり、それだけに残置ハーケンも多数在ったでしょう。
10メートル以上の落下ではヘルメットが無ければ、頭部をお怪我なさった虞がありましたね。
もし50年代の後半であれば、布の帽子だけですからアウトでした。
パートナーが本当によく止めましたね。
独立した、しっかりとしたセルフビレイが無いと、確保が難しいケースだと思います。
相棒の病気や死去は辛く寂しいことで、お気持ちはよく解ります。
共に山に在った想い出を大切になさって下さい。
それこそが宝です。
もしも相棒の健康が回復したら、例えば夏の前穂北尾根や北穂東稜のようなフリーで登れる易しいルートで、ザイルで友情を結び合って登るのもいいのではありませんか。
私の年齢はそれも無理なほどに老いてしまいましたが〜。
お元気で安全な登山をお祈りしています。相仲 廉
相仲 廉さん、ご返信いただき、有り難うございます。
ご返事を拝読し、相棒との昔の記憶が甦ってきて、胸が熱くなりました。
クライミングを再開できないのは、昔の仲間以外とザイルを組む気持ちになれないことが理由の一つです。
そうですね、時期をみて易しいところに誘ってみたいと思います。私のほうも登れるかどうかはわかりませんが。
これからもどうか、いろんなコメントをお願いいたします。とても楽しみにしております。
pamir88さん・”昔の相棒との記憶が甦って胸が熱くなる”とコメント下さいました。
その想い出こそ宝なのだと思うのです。
人は誰も老います。
そしていつか山に登ることができなくなったとき、相棒と共に山に在った想い出が自分のアイデンティティそのものだと思っています。
今は亡き相棒も、仲間達も先輩も、病の中にある相棒も、想い出の中では若々しい登山姿のままなのです。
そしてその人たちを、家族同様に大切に思っています。
相仲 廉太郎
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