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一昨年の開花以来、二年ぶり二度目の花である。
初めて庭に曼珠沙華の開花を見たのは、二年前の彼岸前のことであった。
それまで庭で曼珠沙華を見たことがないし、植えた覚えもなかった。
義兄の葬儀で数日留守にし夜半に帰宅の翌朝、書斎の障子を開けると目の前に忽然と咲いていたのである。
そのとき早咲きの彼岸花を前に「兄さんは彼岸を待ちきれなかったのだろう〜」と、家人と語りあった。
翌年の彼岸には、庭の何処にも曼珠沙華の開花がなかった。
今年六月の紫陽花の咲く頃に、残る義兄が入院先で亡くなった。
一年を超える長期入院の末であった。
昨年咲かなかった曼珠沙華のことは忘れていたが、今年は奇しくも彼岸に開花再来したのである。
前の場所より建屋に近く、窓から花に手が触れる程の至近位置である。
相次いで兄二人を亡くした家人は、「やっぱり、帰ってきたのねぇ〜」と懐かしそうに呟いた。
家人に「庭に曼珠沙華の球根を植えようか?」と問うと、「その儘でいい〜」と云う。
曼珠沙華の赤い花は、如何にも西方浄土を連想させる。
その姿を、あの世からの便りのように思う人もいるだろう。
自分が死んだら、何処の庭に咲くのだろうか〜、ふとそう思った。ainakaren
< 曼珠沙華わが墓どころにも咲くか 清水基吉 > 角川書店『花の大歳時記』
*関連日記「早咲きの彼岸花」 https://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-127885
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