![]() |
確かに山中でスキーを失ったら遭難間違いなしだから有効な保安具であると思うが、骨折を防止するためスキー締具がセーフティ型に進化したことによって必要になった装備であると思う。
昔は転倒してもスキー板が外れにくかったので必要性が低く、そうした製品もなかった。
古典的な締具の代表はラグリーメンとカンダハーだが、昭和30年代半ばになつてゲレンデスキーが盛んになると、それぞれ爪先の突っ掛け部分がセーフティに改良され、過剰な捻りで爪先から足を左右に逃がし骨折を防ぐ構造になった。
セーフティ化されたラグリーメンは爪先が外れてもスキー板は回転するだけで足に着いたままだから、流す心配がなかった。
だが烈しい転倒や雪崩に巻き込まれた場合は、足に不自然に着いたままのスキー板が身体を強打して危険ともされた。
更に切実なセーフティ化の問題点はカンダハーにあった。
スキー板が足から完全に外れるので流失の危険が大きかったのである。
そこで流失の危険に対応して「流れ止め紐」が製品化された。
それは30センチ程度の短い紐で靴とスキーを結んでいるので、流失は防げるものの烈しい転倒や雪崩のときに体と板が接近して流されぶつかり合うから、やはり危険とされた。
そしてジルブレッタの時代にはスキートレーサーが定着したらしい。
私は昔のスキーヤーだからゲレンデスキーはセーフティのロータリーラグリーメン、山スキーでは山スキー用カンダハーまでしか使用した事が無い。
だから「スキートレーサー」も「流れ止め紐」も必要がなく、「ジルブレッタ」も使った事がない。
山スキーでもゲレンデスキーでも、プラスチック靴さえ履いたことがない近代山道具の音痴なのである。
使用体験もなく批評するのは僭越だが、雪崩に巻き込まれた場合のスキートレーサーは本来の目的外に有効な点があるのではないかと思っている。
雪崩れに巻き込まれればスキーが外れ、あの雪中で目立つ色の紐が少しでも雪上に露出すれば救助が早くなるかも知れないと思うのだ。
そういえば昔ビーコンも、古くはバルーンもなかった頃、「雪崩紐」と言うものがあった。
パラシュートの紐ほどの太さの軽くて丈夫な約10メートルの長い赤色の紐である。
1メートル間隔で目印の付いた紐もあったと思うが、要は単に只の紐であった。
私達は雪崩れの危険のある斜面をトラバースする時に、その長い赤色の紐の一端を腰に結んで引きずりながら、前を行く仲間の紐を踏むことなく終端を目視できる程度の距離をとって慎重に歩を進めたものだ。
ブッシュの出ている場所では絡ませないように紐を手繰り寄せて掌中に握り、雪崩れたらそれを空中に放り投げろと教えられていた。
真白い雪の斜面にスルスルと生き物のように動き、前進する長い赤色の紐と緊張の時間〜、それは懐かしく又、いまだに凛とした仲間達の心意気が想いだされる光景であった。ainakaren
* https://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-157965
日記「雪崩注意報の発令に思うこと〜」
ainakarenさん こんばんは
北海道のスキー場の新雪で転んでスキー板がはずれた時、
『やすしきよし』のやっさんのように
「めがね
ゲレンデだから、板が見つからなくても帰れますが、山だったら厳しいんですね。
ainakarenさんの日記から、登山の知恵を教えてもらってます。いつも参考になります。
ありがとうございます
お
おめでとうございます
mantenmomoさん、こんばんは。
ゲレンデでも流れたスキーが人に当って大怪我をさせた例もありますから、流れ防止は必要ですね。
私は新しい山道具には浦島太郎状態です。
特に登攀具は解りません。
ですから古い思い出話は、現代の登山のご参考にはならないと思います。
昭和の登山と道具の変遷の想い出話として、楽しくお読み頂ければ幸いです。ainakaren
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する