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故、平岡正明氏著作の単行本で1980年10月に刊行され、古書市場では今も人気がある。
内容にはここでは触れないし、論評(レビュー)も本意ではない。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/u403252498
刊行の1980年頃と言えばバックパッキング、フリークライミング、ボルタリングに代表されるアメリカンアルピニズムの興隆期である。
ハンチングやチロリアン帽とニッカーボッカーに代表される欧風登山風俗が流行遅れになり、ヒッピーや米大陸先住民族文化の影響をうけた米国風登山風俗に様変わりが急速であった。
肩まで伸ばした長髪にバンダナ鉢巻をし、タンクトップにジーンズの若者が腰にチョーク袋をぶら下げて近郊の岩場にしがみ付いたり、暖かい季節に外側フレームの大きなザックを背負って、原野を渡り鳥のような放浪歩きをして自らをヨセミテ派とかロッキー派とか称していた。
その頃から次第に自分のチロリアン帽とニッカーボッカーが好奇の目で見られるようになり、仕方なく登山装束の一新をした。
そのとき、後輩の薦めでウエアー類の銘柄を”タラスブルバ”で統一した。
〜と云っても外から見えるアウターウエアだけで、古いアンダーウエアーはそのままだった。
筒切りウールコーデュロイ山ズボン、ブルゾン調防寒シンサレートパーカー、ブルゾン調ウィンドパーカー、ヨセミテ風チェック山シャツで、ガラッと見てくれだけは激変したが、中身はアンダーウェアーを含めて肉体 精神とも少しも変わらない。
但し、おじさんには似合わないバンダナ鉢巻だけは受け入れることができず、キャップ帽を被った。
http://www.yamareco.com/modules/xsns/?p=topic&tid=169&s=60
”タラスブルバ”とは、運動靴の鬼塚タイガーで知られた会社が社名変更した、靴で有名な”アシックス”のアウトドアー衣料銘柄だ。
オニツカタイガーは当時アメリカで好評で、その現地代理店としてスタートした靴会社が現在の”ナイキ”なのである。
http://www.asics.co.jp/outdoor/tarasboulba
http://www.asics.co.jp/outdoor/
ブランド名の”タラスブルバ”は物語「隊長ブーリバ」に因んでおり、人名であるからタラス・ブーリバと発音するのが妥当であると思う。
主人公のタラス・ブーリバはウクライナタタールのコサック隊長で、勇猛果敢な人物として記述されている。
中央アジアから東ヨーロッパのモンゴル系民族を”タタール人”と呼ぶが、本来遊牧騎馬民で狩猟採集を業とし肉食が主である。
タタールが訛って、食品の生肉のタルタルステーキやタルタルソースが有名だ。
その”タタール人”の漢字表記が”韃靼人”なのである。
韃靼(ダッタン)といえば韃靼蕎麦が有名だが、これは独特の苦味があってなかなか美味い。
植物的に蕎麦の種類が普通の蕎麦とは異なる。
どうも食い物の話に脱線してしまうが、韃靼蕎麦はルチンとポリフェノールが豊富で栄養価も高いそうである。
https://www.nikkoku.co.jp/entertainment/dattansoba/mamechishiki.php
https://www.nikkoku.co.jp/entertainment/dattansoba/
さて、物語の挿絵で見る韃靼人コサック隊長ブーリバの装束は、タラスブルバのアウターウェアとは似ても似つかない。
大昔の物語だから当たり前である。
その勇猛果敢さを、登山に準えてブランド名に選んだのであろう。
そして履いている靴は長靴の様である。
韃靼人は険しい道を歩いたり馬に乗ったりするのに、どんな靴下でどのように靴を履いたのだろうか。
当時、勿論のことアシックスのような靴もタラスブルバの靴下も無い。
「韃靼人ふうの 靴の履きかた」〜があったのだろう。
ところで戦時中、子供のときに読んだ児童向けの本の題名は「隊長ブリーバー」であって、ブーリバではなかった。
人名も時代と共に読み方が変わるらしい。
「ギョエテとは 俺のことかと ゲーテいひ」〜と、古い川柳を思い出した。ainakaren
*韃靼蕎麦関連日記 http://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-45972
最後の川柳は、死んだ母に昔よく聞かされました。彼女の父(私の祖父)がドイツ語教師だったためかもしれません。
現在はカタカナでママリーと書かれる英国人登山家も、かつてはマンメリーと表記されていましたね。
私は読んだことはありませんが、「隊長ブーリバ」は
ニコライ・ゴーゴリの小説や
http://p.tl/oSd4-
これまた、観たことないのですが、
ユル・ブリンナー主演によるその映画化
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=13706
で知られているのではないでしょうか?
中学生の頃(40年近く前)、オニツカ・タイガーのキャラバンシューズもどきを履いていました。これはビブラムのようなゴム底に、さらに2,3箇所、トリコニー的な鋲が打ってあるというのがウリになっていました。
その後、アシックスはガントレなる靴を売っていたこともありましたね。
http://www.ma-mart.com/cgi-bin/detail.cgi?listno=4147
おはようございます。
焼酎の韃靼蕎麦茶割りを飲むことが多いので韃靼蕎麦のことは知っておりましたが韃靼=タタールとは知りませんでした。
なるほど、一つ疑問が解消しました。
kennさん、お早うございます。
コメント深謝です。
「隊長ブリーバー」は昔から児童向けの絵物語本があり、血湧き肉踊る冒険物語としてリアルな挿絵が沢山ありました。
児童書は皆、ブリーバーと表記してありましたね。
あらすじ的にはゴーゴリの原作が下敷きになっています。
ナイキといえばスニーカーの有名メーカーですがスタートはオニツカ・タイガーの販売代理店に過ぎなかったんですね。
後輩がアシックスに勤めていたので登山装束をタラスブルバにしましたが、品質は良かったです。
殆んどが現在も使えています。
もう、デザインは古くなりましたが〜。ainakaren
kenpapaさん、お早うございます。
コメント深謝です。
タタール人の漢字表記が韃靼人なんですね。
タルタルステーキ、タルタルソース、韃靼蕎麦と食い物の話ですが、韃靼蕎麦茶ばかりでなく、韃靼蕎麦焼酎も有ったと思います。
韃靼人は中央アジアから東ヨーロッパまで広く分布しますが所謂、北方騎馬民族です。
日本人の祖先が北方騎馬民族との学説がありますが、とすれば我々も韃靼人の末裔なのかも知れませんね。ainakaren
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