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Yamareco

記録ID: 102114
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
剱・立山

雲の平〜薬師岳を周遊・縦走

1977年08月19日(金) 〜 1977年08月22日(月)
 - 拍手
GPS
80:00
距離
52.3km
登り
4,507m
下り
4,500m

コースタイム

8/19 折立平(8:30)〜太郎坂の台地〜三角点〜太郎兵衛平中間〜太郎平小屋〜薬師沢源流〜薬師沢小屋(15:15〜  )
8/20 薬師沢小屋(6:00)〜赤城平を背に〜雲ノ平西肩〜アラスカ庭園〜雲ノ平山荘〜祖父岳登り〜岩苔乗越
〜稜線デポ地〜水晶岳南峰〜デポ地〜ワリモ岳〜鷲羽岳〜三俣山荘(15:45〜
8/21 三俣山荘(5:15)〜三俣蓮華岳〜黒部乗越し〜P1〜P2〜黒部五郎岳〜2577mピーク〜中俣乗越し〜赤城岳〜
北ノ俣岳〜庭園風池塘〜太郎平小屋(15:10〜 
8/22 太郎平小屋(3:00)〜薬師平(4:00)〜薬師岳山荘〜薬師岳〜薬師平〜太郎平小屋(7:15)
太郎平小屋(8:15)〜太郎兵衛平中間〜三角点〜折立平(10:40)
天候 雨/曇り〜晴れ
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
富山地方鉄道:有峰口発の始発バスで折立へ
コース状況/
危険箇所等
夏山には遅い時期のため、人も少なく静かな山を満喫できた山行になった。

あれほどの絶壁をぬって流れる黒部川であるが、源流は岩苔小谷からこぼれる一滴であり、
意外なほどノンビリしていることが以外な発見だ。

三方を黒部の源流に囲まれ、薬師沢からせり上がり岩苔小谷へ落ち込む台形の高原・雲ノ平は
一面花が咲き、這い松の間に池塘が点在しまさしく雲上の楽園だ。
ここから眺める薬師岳はどっしりと横たわり、黒々とした水晶岳が堂々と聳え、黒部五郎岳は
大きなカールを囲む長大な壁のようである。
またここで眺めるよりも岩苔乗越まで降りると、より大きく迫るのが三俣蓮華岳でその大きさに驚く。

とにかくこの山域からは北アルプスの名峰が一段と素晴らしく眺められる。
槍〜穂高連峰はいかにも岩の殿堂らしく厳しいほど鋭角的に、
笠が岳はその名に忠実な姿にと、登った者に第一級の展望と奥深さを与えてくれる。

見かけた高山植物も最盛期は過ぎたが、チングルマ・ハクサンイチゲ・ミヤマキンポウゲ
トウヤクリンドウ・ヒメウスユキソウ・アオノツガサクラ・ゴゼンタチバナ・コイワカガミ
コバイケイソウ・オニシモツケ・ウメバチソウ・ウサギギクと豊富に見られる。

(8/21以降カメラが不調で、薬師岳で見た荘厳な日の出を残せず残念)
8/19 薬師沢出合の黒部源流
8/19 薬師沢出合の黒部源流
8/20 雲の平の西肩より
太郎山〜薬師岳を。
2021年06月29日 11:05撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
6/29 11:05
8/20 雲の平の西肩より
太郎山〜薬師岳を。
《アラスカ庭園》
槍ケ岳〜三俣蓮華岳
《アラスカ庭園》
槍ケ岳〜三俣蓮華岳
《アラスカ庭園》
抜戸・笠そして黒部五郎を
2021年06月29日 11:06撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
6/29 11:06
《アラスカ庭園》
抜戸・笠そして黒部五郎を
《ギリシャ庭園》
ハイマツと池塘の庭園奥には笠ヶ岳
2021年06月29日 11:06撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
6/29 11:06
《ギリシャ庭園》
ハイマツと池塘の庭園奥には笠ヶ岳
《ギリシャ庭園》
《ギリシャ庭園》
《奥日本庭園》
薬師岳〜大日岳〜立山(別山・雄山)
《奥日本庭園》
薬師岳〜大日岳〜立山(別山・雄山)
《奥日本庭園》
立山の右には赤牛岳
《奥日本庭園》
立山の右には赤牛岳
《スイス庭園》
薬師岳は大きな山だ。
《スイス庭園》
薬師岳は大きな山だ。
岩苔乗越より望む岩苔小谷と三俣蓮華岳
2021年06月29日 11:10撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
6/29 11:10
岩苔乗越より望む岩苔小谷と三俣蓮華岳
鷲羽岳にて(背はワリモ岳)
1
鷲羽岳にて(背はワリモ岳)
《水晶岳》
雲の平と黒部五郎岳を。
《水晶岳》
雲の平と黒部五郎岳を。
《水晶岳》
赤牛岳・立山・黒部湖・針の木岳
《水晶岳》
赤牛岳・立山・黒部湖・針の木岳
《水晶岳は北アのど真ん中!》
大天井岳・常念岳・東鎌尾根
2021年06月29日 11:13撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
6/29 11:13
《水晶岳は北アのど真ん中!》
大天井岳・常念岳・東鎌尾根
《水晶岳は北アのど真ん中!》
北鎌尾根・槍ヶ岳・穂高岳・奥穂高岳
2021年06月29日 11:13撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
6/29 11:13
《水晶岳は北アのど真ん中!》
北鎌尾根・槍ヶ岳・穂高岳・奥穂高岳
《水晶岳は北アのど真ん中!》
西穂高岳・鷲羽岳・岩苔乗越・双六岳・三俣蓮華岳
2021年06月29日 11:13撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
6/29 11:13
《水晶岳は北アのど真ん中!》
西穂高岳・鷲羽岳・岩苔乗越・双六岳・三俣蓮華岳
槍ヶ岳を写す鷲羽池
槍ヶ岳を写す鷲羽池
撮影機器:

感想

【 古い記録だが自分の山行記録として残すため書き込む。】

夏山最盛期の終わった頃、昨年予定していたコースを歩くことに。
北アルプスでも最も奥深く、大きな山が多い山域で静かな山行が楽しめそうだ。
8月18日の深夜23:57発「むろどう」の自由席確保の為、ホームで4H待ちして富山の有峰口へ向かう。


8月19日  雨後曇り
眠りから覚めたら富山地方鉄道に入っていた。有峰口発朝一番のバスには2時間ほどあるので、軽くフランスパンをかじって腹ごしらえする。
小雨がしょぼしょぼ降って肌寒い構内のベンチでバスを待つ。

登山口の折立にバスが着く頃には雨は上がってくれた。
バス停近くに休憩所があり、水道もある。20kgほどの荷が肩に食い込む。
約3ヶ月ぶりの重荷なのでペースを落としてゆっくり行こう。
ナラの巨木のゲートをくぐり樹林の切り通しへ入って行く。脇のササが露に濡れ、
足元はかなりぬかるんでいる。太郎坂と言われる登りは、夜行の脚にはきつい。
  展望はなく岩と根が混ざり合うぬかるみの急登ですぐに汗が吹き出す。
足元を見つめ黙々と登って行くといきなり平地に飛び出る。1877mの三角点である。
深いガスの間に垣間見える太郎兵衛平の尾根は、まるで広い草原のようだ。
所々ベンチが設けてあったり池塘が有ったりと、誘惑が多いが振り切って長くゆるい登りを行く。
2193mの独標を過ぎる頃、やっとガスも薄れ、うす陽がさすほどに回復してきた。
左手には大きな薬師岳が横たわっているのが見える。
木組の広い道を登る。疲れたら薬師を見て気分を変え、また登る。
傾斜はさほどではないが疲れがひどい。空腹のせいと決め付けて草付きに座り込み大休止。
  まるでバスでも走りそうないい道をしばらく登ると赤い屋根の太郎平小屋となる。
小屋前のベンチで水を飲むがさほど美味しい水でもなかった。 小屋前の平地は広く真夏なら
見事なお花畑になるであろう。しかしうす陽の中、薬師・水晶・雲ノ平が展望できる。
 小休止の後、時間も早いので予定を変更して薬師沢へ向かう。
小屋左を通り太郎山左山腹を絡んで下るとすぐに小沢に出会う。流れの水は冷たくて美味しい!
横切ると今は枯れているがチングルマの密生地となる。
しだいに傾斜も増し、足元も荒れてきてまもなく右手に流れを聞く。
まだかなと思いながら下ると二俣の合流点に出る。薬師沢の源流である。
のんびりと渓流釣りをいている人も見かける。 左岸へ移りしばらくして右岸へ移ると今度は
ひっそりとトリカブトが咲いている。右岸は広くまるで平である。
薬師沢左俣を横切ると次第に高みへと登り、沢身よりかなり高い所を行く。
ササの原を通り樹林を抜け、枝沢をいくつも横切ると広々とした湿原となりカベッケが原である。
(去年1976年より幕営は禁止に) 右手には黒部五郎岳の北壁が屏風のように聳える。
ここまで来れば、薬師沢・黒部川の合流点で少し下れば今日の宿も近い。
薬師沢の右岸を見下ろすように薬師沢小屋が建っている。
宿泊申し込みを済ませて、黒部川左岸へ降りた河原で青く澄んだ流れを見ながら一人で夕食を。
幸いシーズンオフ?の小屋はゆったりできる。(20:00寝)

折立平(8:30)〜薬師沢小屋(15:15〜  )

8月20日 晴れ
熟睡して外が明るいので目が覚めたら5時だ。
夕食と同じ場所で朝食とする。 見上げる空はもう秋のようで、雲量も少なく西から東へ流れている。
今日は期待どうりの展望が楽しめそうだ。
黒部川源流にかかる吊橋を渡り本流へ降りる。谷の冷水を補給し、顔を洗って目も身体もサッパリ。
 高天原へのコースと分かれ雲ノ平へ向かう。
昨日眺めた雲ノ平は全くよく名付けたもので、雲上の平原そのものであるが、薬師沢から見ると
台形になりその斜面はかなりの角度で登っている。今日は朝一番からきついアルバイトである。
岩がゴロゴロした登りは見た通りである。
樹林の切り通しを喘ぎ喘ぎ登る。直登そのものである。途中樹林の切れ間から振り返ると
赤城平の伸びやかな草原が見えるので、しばらくここで小休止。
 直登もしばらくすると、やっと傾斜がぐっとゆるみ開けた台地となり薬師岳の展望台に。
頭上には太陽がぎらぎら輝き快晴である。
中越乗越し〜薬師岳に延びるのびやかな稜線がおおらかに望まれる。
多分この辺りは雲ノ平の西肩になるのであろう。
やがてハイ松に埋まったのんびりした感じのアラスカ庭園(2463m)となり、展望も一段と良くなる。
全く口笛でも吹きたくなるような楽しいコースである。
左手の薬師岳はデッカク横たわり五色が原〜立山にと連なり、赤牛岳・水晶岳が目の前に聳え
鷲羽岳・槍ヶ岳へと続き、笠が岳・黒部五郎岳へと拡がってくる。
注意すると、黒部五郎〜北ノ俣岳のコル奥には白山さえ望まれる。
雲ノ平の中心部では池塘が点在し、コイワカガミやチングルマの花が咲き、まさしく雲上の楽園だ。
 それにしても、あまりにも薬師岳がデッカク、水晶岳が堂々としているのが印象的だ。
奥日本庭園は平の中心部だ。記念に雲ノ平山荘に立ち寄り記念スタンプを押していく。
伸びやかな平原を雲ノ平の東肩になるスイス庭園を行くと、祖父岳への登りが始まる。
ハイ松の枝をくぐるようにして東肩からピークへ向かう。
直下で祖父岳(2821m,)の左山腹にからむように回りこむと花の乱舞となる。
岩苔小谷へ落ち込む斜面に、日本のエーデルワイス、ヒメウスユキソウとミヤマキンポウゲ・
ハクサンイチゲ・コイワカガミ・ウサギギクと判るだけでもこれだけ有るのだ。
 ピークからは少し崩壊が見られるザレをトラバースし、小ピークを越えて岩苔乗越しへ急降下。
乗越しの左側は岩苔小谷で高天原を流れ、右側は祖父沢が黒部川源流となり雲ノ平を回りこみ
やがて共に黒部川へ流れ込むふたつの沢の分水嶺である。
気がついたら雲ノ平の展望に浮かれすぎて昼食を忘れていたのでクラッカーとコーヒーの食事を。
 乗越しより見上げると主稜線への登りは短いが急登である。電光形に登る。
稜線に立つと水晶岳が以外に近く感じられる。予定にないがサブザックで往復することにする。
キスリングを指標の下にデポして北へ向かう。稜線と言うには広すぎる尾根がゆるく登っている。
小ピークの手前で分岐だ。右へは野口五郎岳方面への縦走路、左へ折れゆるい登降を繰り返し
行くと徐々に岩峰に変わってくる。岩がガラガラと落ち着かないので落石と滑落に注意して行く。
水晶岳の南峰(2978m)に立つと素晴らしい展望だ!
北アルプスの真ん中に位置する場所からの展望だ。北アルプス一番の素晴らしさも当然か!
 後立山の一部を除き、北アルプス全山が見渡せる。10本の指では足りないほど。
北・黒部湖に始まり、烏帽子岳・野口五郎岳・燕岳・大天井〜常念岳そして、槍ヶ岳〜穂高連峰・
鷲羽岳・槍ヶ岳へと続き、笠が岳・黒部五郎岳へと拡がってくる。双六岳・三俣蓮華岳・
黒部五郎〜雲ノ平・薬師岳・立山そして黒部湖へ。 文字通り360度の大展望だ。
シャッターを何度も切って、見惚れていると身体が冷えてきたので戻ることに。
戻る途中、足元を注意して行くと水晶を含んだ岩がゴロゴロしている。
(別名:黒岳と言われるが雲ノ平から眺めると、緑深い雲ノ平・赤い山肌の赤牛岳と比較し、
岩ゴロでいかにも黒々として見える。)
雲ノ平の魅力もバックの砦ような水晶岳がひきたてているのかも知れない。
分岐ピークの左裏に水晶小屋を見ながら下る。広い尾根をデポ地へ戻ると14時だ。
再び重荷を背負いワリモ岳へ向かう。露岩のザレを見つめて黙々と行くと、ピークを右捲きして
コルまでトラバースし、鷲羽岳への登りと続く。キツそうに見えた登りも意外と早く尽きて、
鷲羽岳(2924m)山頂に出る。流石に風が冷たく思わず身震いする。
相変わらず展望は素晴らしい。槍ヶ岳の穂先が一段と尖って天空に突き出して見える。
下りにかかってすぐ、左手を見ると青いよりも緑がかった水を湛える鷲羽池が目に入る。
この火山湖はまるで槍ヶ岳を映す鏡のようだ。周囲を散歩するパーティーもいる。
  下りもゆるくなると三俣乗越しになり、左から湯俣より登ってくる伊藤新道を併せる。
なだらかな平地を行くと今日の宿・三俣山荘となる。
 珍しく水を自由に使える自炊小屋なので、今夜は腹いっぱい食べよう。(21:00寝)

薬師沢小屋(6:00)〜 水晶岳南峰(12:50〜13:15)〜三俣山荘(15:45〜  )



8月21日 晴れ
今日の目覚めは4時15分だった。
山荘を出るとすぐ立派なハイ松の樹海となる。樹海を抜け雪渓を残すテント場を行くと三俣蓮華岳
への登りにかかる。岩稜を行き途中、左へ双六岳への分岐を過ぎるあたりで傾斜を増すと
一気に山頂へ。三俣蓮華岳(2841m)は黒部五郎・双六・鷲羽への分岐で、行政上も
長野・岐阜・富山との三俣である。 山頂の西側・黒部五郎の左に孤高を保つ加賀の霊峰・白山が。
まだ周囲の山は眠りからは完全に覚めていないようだ。
一通り展望を楽しみ、腹にエネルギーもつめたので出発する。
出会う人と挨拶を交わしながら黒部乗越しへ向かう。西へ延びる稜線を小コルへ降りて、
またピークへの登り返しとなる。笠が岳が一人稜線から外れ存在を示すように高く感じられる。
 ピークを越すと花の宝庫となり、尾根が広がり南へ向きを変える。
広くゆるい尾根を笠が岳に向かって行き、草つきに変わる頃 右手山腹にからみ、次第に谷筋へ
入ると狭い岩ゴロの急降下となり降りづらい。谷筋を抜け思いがけず明るくなると黒部乗越しに。
脇に黒部五郎小屋があり、カールの底といった感じで明るいけれど展望はない。
いよいよ黒部五郎岳に向かうわけだが、コースは稜線かカールか迷うがカールの底の眺めを
期待いて稜線から行こう。
小屋前を左に取るとテント場があり、植物保護用の杭を奥まで進み右の踏み跡へ入って行くと
山腹の狭い谷筋となり、尾根まで登りつめることになるが、ザックが枝につかえるほどの広さだ。
かなりの急登を喘ぐと、徐々に谷が広がり伏流の音が聞こえる頃やっとザレの尾根に出る。
尾根に出て改めてカールも大きさに驚く。主稜線と東側に延びる尾根に囲まれたゆったりと
拡がる底には残雪があり、お花畑が見られる。きっと真夏のカールは素晴らしい迫力だろうな。
広い尾根のP1を超える頃のお花畑も良いよ。アオノツガサクラや赤い身をつけたゴゼンタチバナ
なども加わって花の宝庫だ。
そんな尾根も次第にやせてきて這い松の岩稜となるが、枝が行く手を阻んで歩きづらい。
跳ね除けたり、跨いだりの歩行は苦しい。P2に近くなると岩稜の岩を飛び飛びして高度を稼ぐ。
 しかしなかなか目の前の山頂に届かず小休止とする。
レモンとヨウカンでエネルギーを補給する。
大きな山だとあきらめて、足元を見てひたすら登りに専念する。やがて名前の通り
岩がゴロゴロの岩山になると黒部五郎岳山頂に辿り着く。展望より先に腰を下ろし喘ぎを収める。
 一息ついて見渡すと、正面に今まで隠れていた剱岳が姿を現し、背の笠が岳奥に乗鞍・御岳と
一段と眺望が広がる。展望の中岩陰で昼食を済ませる。ちょっとガスがでてきたのをきっかけに、
まだまだ先は長いのでそろそろ出発しよう。
 相変わらず岩屑を踏んで下って行く。電光形に行くと幅が広がった尾根は次第に道もよくなり、
這い松帯に変わってくる。小さなコブを越え大きなピーク(2577m)を越えるとヒメウスユキソウの
乱れ咲きだ。様子が尾根と言うより草原に近くなると中俣乗越しに着く。
あちこちに涸れた池塘が見られる。あれほどのびやかに見えた北ノ俣岳への稜線だが見ると
赤城岳まではきつそうだ。おおらかな草原状の尾根にアクセントのような岩屑の山頂が赤城岳だ。
この頃になるとますますガスが通過するようになる。水晶岳はもう見えない。
北ノ俣岳は稜線上のコブという感じで、200mの間に3つほどコブが現れ最後のコブが北ノ俣岳。
山頂から下りにかかると、左から神岡新道を併せる。
 広い尾根にはオニシモツケ・コバイケイソウが多くなる。一転してガレの急降下に変わると
日本庭園風の枝尾根の広がりが見え、まるで高原の散歩道のようなコースが延々と続く。
嫌になるほどの長さも太郎山(2373m)を越え、雷鳥保護柵の中を降りると太郎平小屋となる。
これで再び太郎兵衛平に戻り、3日をかけて黒部源流の山を1周した事になる。
小屋内の自炊場で夕食を終え、日没前の神秘的な見逃せない景色に見入る。


三俣山荘(5:15)〜黒部五郎岳(9:55〜10:55)〜太郎平小屋(15:10〜 )



8月22日 晴れ
御来光を見るため2時に起きるつもりが少し遅れたので、あわててサブザックに荷物をつめて
朝食抜きで小屋を出る。外は満天の星が降ってくるようだ。ヘッドランプの細い光を頼りに闇を行く。
コースを確認しながら慎重に。  ササの中を降りていくと沢音が聞こえ薬師峠キャンプ場に出る。
テント場を抜け薬師沢源流の右岸を行く。わずかに流れる谷底を岩に付いた靴の跡を頼りに登る。
次第に傾斜を増してくる。やがて谷が涸れ、ガレ場も広がりコースが怪しくなる。
二俣を右に行くが・・・コースを外した感じなので戻る。
二俣の少し下で注意深く足元を照らしコースを見出す。右手山腹にからんでどうやら尾根筋へ
出るようだ。少し登ると薬師平となり、ケルンが建っている。
(S36年、冬に愛知大学パーティが尾根を間違え遭難した悲しい事故を教訓にした物)
ケルンから左手樹林をくぐって尾根筋に出た。這い松からガレの主稜線に出る頃、
山並みも薄いシルエットの中に見分けられるようになり、ランプを消す。
薬師岳山荘を素通りし、いよいよ岩屑の登りになるころは、日の出と競争しているようで焦る。
避難小屋を見ると南肩で、トラバース状に岩を踏み行くと立派な祠が祭ってある。
薬師岳山頂に出た。祠の陰で風を避け日の出を待つ。
  いよいよ壮厳な日の出だ!!
正面に剱岳・立山〜後立山連峰が眺められ、その奥に雲海が広がっている。
針ノ木・赤牛の中間付近に雲が湧き太陽を隠したため御来迎は拝めなかったが、雲がオレンジに
輝き、幾筋もの光が黒部の谷に射し込む眺めは素晴らしいの一言だ。
この時のために小休止も朝食も取らずに一気に来たので疲れた。
ザックを開けると何と!コンロを忘れてきた。寒い中、水とクラッカーの朝食だ。
一時間もすると、太陽はもう頭の高さに輝く。
岩苔小谷からせり上がる黒い壁・水晶岳は豪快に、槍ヶ岳〜鷲羽岳は華麗に眺められる。

夜で気づかなかったが、峠までの谷筋は左岸に踏み跡が峠まで続いている。
夜間には注意が必要だ。
太郎平小屋に帰った時は、皆出発した後で空っぽだ。
遅い朝食を小屋外のベンチで腹いっぱい食べて、さあー下山だ。
  入山と同じコースを帰るわけだが、今日は晴れているため太郎兵衛平の表情がよくわかる。
草原のゆるい起伏がどこまでも続いている。
左手に白山・下に有峰湖・右手に薬師岳を見ながら降りていく。日焼けの腕がひりひりする。
長い下りなので途中、三角点で休憩する。
正面北に剱岳〜立山連峰の最後の展望を楽しみ折立平までゆっくり降る。

夏山には遅い時期のため、人も少なく静かな山を満喫できた山行になった。

太郎平小屋(3:00)〜薬師岳(5:10〜6:00)〜太郎平小屋(7:15)
太郎平小屋(8:15)〜折立平(10:40)





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