奥秩父主脈縦走〜ときどきトレイルラン
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コースタイム
10:27瑞牆山荘-10:53富士見平小屋-12:05大日岩-13:45金峰山-14:31朝日岳-15:19大弛小屋(泊)
【23日(月) 大弛小屋〜将監小屋 距離28.5km、累積標高差+2272m、-2899m】
5:25大弛小屋-5:42夢の庭園-6:17国師ヶ岳-9:27甲武信ヶ岳-9:40甲武信小屋9:48-10:50破風山-11:38雁坂嶺-11:52雁坂峠11:59-12:24水晶山-13:19雁峠-13:56水干-15:06唐松尾山-15:57将監小屋(泊)
【24日(火) 将監小屋〜奥多摩駅 距離31km、累積標高差+2185m、-3589m】
5:43将監小屋-7:23禿岩-8:02三ツ岩-8:42狼平-9:37雲取山9:56-10:18奥多摩小屋-10:43七ツ石山-11:29鷹ノ巣山避難小屋-12:28六ツ石山分岐-13:16登山口-13:39奥多摩駅
天候 | 22日:曇り、一時小雨 23日:晴れ 24日:晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
路線バス 山梨峡北交通・韮崎瑞牆線(韮崎駅8:50発〜みずがき山荘 10:05着) 帰り:JR青梅線(奥多摩駅〜) |
コース状況/ 危険箇所等 |
・日中の気温は金峰山、甲武信ヶ岳山頂付近で13〜15℃程度。午前4時ごろのテント内の気温は、大弛小屋(2363m)で11℃、将監小屋(1738m)で15℃程度。過ごしやすい気候でした。残雪もなく、難しい路面状況ではありません。 ・金峰山、破風山の山頂付近の道は、花崗岩の塊が積み重なっています。足場が不規則で、隙間も開いているので、それまでの樹林帯と比べると歩きにくい印象です。 ・大弛小屋から甲武信ヶ岳までの縦走路は、倒木で道が塞がれている場所が4箇所以上あります。倒木の多さに道が分かりにくくなっている場所もありますが、赤テープが丁寧につけられていてるので、これを追っていくと安定します。迷いそうな場所では赤テープの位置から次のテープが見えるほどの間隔です。 ・唐松尾山山頂から将監峠へは、ほかの方の記録にも書かれているとおり、山頂の標識から数m戻って、南東へ下ることになります。地形図で確認すると、唐松尾山の尾根は大きく3方向、南西・北・南東に伸びています。山頂から下るときには、方位を確認したいところです。 ・将監小屋から飛龍山を巻いて雲取山に至る道は、幅が狭く、ところどころ谷側に傾いていますので、注意が必要です。両側に同じ高さまで笹が生えていても、谷側には足場がないと思った方が良いでしょう。山側から張り出した葉に体をこすることになっても、谷側に膨らまない方が安全です。 ・トレイルランニングのコースとして考えた場合、走れる場所は雲取山まで、ほとんどありません。国師ヶ岳から甲武信ヶ岳間の一部、雁坂嶺から雁峠、将監小屋から狼平までの一部は走れますが、倒木が多い、道幅が狭いなどで、ペースを上げにくいと思います。気持ちよく走れるのは、やはり雲取山山頂からでした。奥多摩駅まで続く石尾根は、ほどほどの傾斜で足元はふかふか、巻き道の幅も飛龍山より広めで、快適に走れます。 ・水場について。各小屋で補給できます。大弛小屋は、小屋泊・テント泊の料金に水場の利用料が含まれます。そうでない場合は有料とのこと。甲武信小屋は、1リットル50円。玄関の横に流し台があって、そこで汲みます。将監小屋は、特に表示はありません。小屋の前から、勢いよく流れています。ほか、笠取山南の「水干」の手前に、「多摩川の最初の流れを見られます」という標識が立っています。標識に従って20mほど下っていくと確かに小川が流れていて、頑張ればここでも補給できます。ただし、浄水器を通すなどした方が安心でしょうね。鹿の多い山域です。 ・トイレについて。大弛小屋は、舗装路沿いにある公衆トイレを利用します。甲武信小屋は、母屋のトイレを利用できます(清潔で、気持ちよく利用できそうです)。将監小屋は、汲み取り式で、備え付けの紙もないので、持参する必要があります。 |
写真
感想
奥秩父主脈縦走ルートの存在を2011年発行の雑誌『TRAMPIN'』の記事で知り、機会をうかがっていました。雪がなくなり、軽い寝袋でも休める時期に入ったので、決行しました。
装備は絞って、水・食料など消耗品を除くベースウェイトが4.1kg、消耗品込みのパックウェイトが7.6kgほどです。食料はフリーズドライが中心ながら、余分に持ったので重量がかさんでいます。寝袋はモンベルのU.L.スーパー スパイラルダウンハガー #5、スリーピングパッドは山と道 Minimalist PadとBackPad15で快適に過ごせました。ワンポールテント設営のためにストックを持ちましたが、行動時には使いませんでした。ハイドレーションは使わず、ザックのショルダーストラップ両方にドリンクホルダーを取りつけて、650mlのボトルを2本挿しました。重量バランスが改善しますし、水の補給もしやすくなるためです。サコッシュをフロントバッグの代わりにし、地図など頻繁に出し入れするものを入れました。これで、基本的にザックを下ろさず行動できました。
1日目
スーパーあずさ1号から乗り継いだバスで、10時過ぎに瑞牆山荘へ到着。料金は2000円、降車時に支払います。日曜ということもあってか、マイクロバスはほぼ満席でした(半数は途中の「ハイジの村」で降車)。
瑞牆山荘の隣のトイレで用を足して、出発。
出発地点の瑞牆山荘の標高が約1500m。金峰山まで、1000m上げていくことになるので、体を慣らすようにゆっくりと、霧のかかった深い森を進んでいきます。富士見平小屋は賑わっていましたが、小屋を越えると人は少なくなりました。金峰山までにすれ違った人は、個人が2人、ペアが2組、5〜8人のパーティ2組といったところです。
森林限界を超えてハイマツ帯に入ると、景色ががらっと変わります。路面も土と木の根から、むきだしの花崗岩に。稜線の下から吹き上げてくる風が心地よいです。
金峰山山頂には、20人ぐらいが休憩していました。金峰山小屋に宿泊した方、大弛峠から上がってきた方が多かったのでは。大弛峠は、自動車で行ける峠としては最も高い2360mで、ここから金峰山は片道4.5kmほどです。
晴れていれば奥秩父一の展望とのことですが、この日はガスに囲まれて展望は得られず…。それでも、ハクサンシャクナゲが迎えてくれました。石楠花のシーズンは終わったと思っていただけに、嬉しい。
ところが、ここでミスコース。山頂から北東に300mほどで南東に角度を変えるポイントがあるのですが、気づかず直進し、ガレ場を20m下ってしまいました。コンパスで真北に向いているのを見て気づきました。正しいルートは花崗岩の塊を抜けたあと、すぐに樹林帯に入ります。
この時点で午後2時。大弛小屋にテントを張ると決めていたので特に急ぐ必要もなく、下りも歩きました。
大弛小屋に午後3時19分に到着。テント設営の受付をし(幕営料500円)、うどん(700円)をいただきます。このときの気温は15度。汗で湿った服が冷やされて寒いほどだったので、暖かい食事がありがたいところでした。
テント場は木に囲まれていて風を防げ、地面が柔らかくペグを手で刺せます。水も小屋の横から汲めるという、テント泊初心者の私にとっては非常にありがたい環境でした。難点は、先にテントを張っていたパーティが、午後8時を過ぎても大声で話していたことです。耳栓を持っていて良かった。
2日目
午前4時起床、5時25分出発。起きたころにはライトが不要でした。この日の宿泊予定地・将監小屋まで、11〜12時間程度を予想していました。もうちょっと早くに出発したかったのですが…なかなか寝袋から出られず。
出発して300mほどで分岐があります。左が国師ヶ岳方面、右が夢の庭園とありますが、せっかくなので景勝地「夢の庭園」を経由することにしました。整備された木道を上がると、すっきり晴れた青空の下に、雲海が広がっていました。国師ヶ岳では、富士山のシルエットも。
さて、ここからがある意味、奥秩父主脈縦走路の本番です。国師ヶ岳と甲武信ヶ岳の間は通行する人が少なく、倒木も多いと聞いていました。実際に、すれ違った人は1人、倒木で道が一時道を見失った場所もありました。
ただし、赤テープが丁寧につけられているので、尾根から外れないことと、赤テープを意識していれば迷う心配はなさそうです。この区間は走りました。といっても、道が荒れている分ペースは控えめで。甲武信ヶ岳山頂まで、出発から4時間ほどかかりました。
甲武信小屋で水を補給して改めて地図を確認すると、ようやく、この日の行程の3分の1。承知のうえですが、やっぱり長い。休憩もそこそこに、先を急ぎます。
イメージでは「甲武信ヶ岳を越えたら、後は下るだけ」でしたが、実際には破風山、雁坂嶺などを登り返さなければなりません。特に破風山は、ほぼ直登できつく感じます。山頂付近は金峰山と同じように、花崗岩の塊が突き出しています。
雁坂嶺を越えてしまえば、雁峠まで、概ねゆるい下りで走れます。巻けるところは巻き、でも面白そうなものがあれば寄り道し。多摩川・荒川・富士川の分水嶺や多摩川最初の流れなどを見て、地元と繋がりを感じていました。
雁峠まででこの日の行程の3分の2ちょっと。8時間経っています。最後の唐松尾山の、何でもない登りがつらいこと…。
将監小屋に到着したのは、出発から10時間半ほどでした。小屋から男性が出てきたので、関係者だと思って挨拶すると、「誰もいないよ。1時に着いて待ってたけど、誰も来る気配がない。」
営業期間外だったか?と思いながらテントを設営していると、エンジン音が。管理人さんが戻ってきました。遅まきながら受付をして、幕営料500円を支払い。
固形燃料のストーブでお湯を沸かしてフリーズドライの食事をとり、明日のルートを確認すると、もう意識がありませんでした。
3日目
午前4時半起床。当然のように明るい。重たい体を起こしてテントを出ると、男性のテントは引き払った後でした。ロングハイクするなら当然ですよね、と思いながら、マイペースで出発の準備。午前5時43分出発。
最終日は、大きな登りは雲取山だけです。目標は奥多摩駅。遅くとも午後3時には到着の予定でした。
飛龍山の巻き道は以前にトレイルランニングの雑誌で紹介されていたこともあり、快適に走れると思っていたのですが、道幅が狭かったり、岩が張り出したりしていて、ペースアップできません。朝露を溜め込んだ笹に触れて足元は水浸しになり、鹿のフンを踏まないように注意を払い、熊(?)の足跡に怯えながらゆるゆると進んでいきます。
飛龍山の南にある禿岩では、富士山などを展望できました。雲取山に着くころにはガスがかかっていたため、ここが展望を楽しめる最後の場所になりました。
出発から4時間ほどで雲取山山頂へ。残り20km。ここからが、トレイルランナーとして本領を発揮する場面です。ストラップを締めなおし、走れるトレイルの下りへ。
雲取山から奥多摩駅まで続く石尾根には、高丸山、鷹ノ巣山といったピークを踏む道と、巻き道が平行しています。走っていて楽しいのは巻き道。地面の感触も柔らかく、どこまでも走っていけそうな気になります。
六ツ石山分岐先の急斜面は腰を落として小股で。しっかり埋まった石を踏んで、速度をコントロールしながら降ります。三ノ木戸山分岐を過ぎた辺りからは路面がぬかるんでいましたが、決して腰を引かず、上体を斜面と垂直か、やや前のめりにして走ります。
山頂から登山口まで、約3時間。奥多摩駅には、午後1時39分に到着しました。奥多摩駅近くの「もえぎの湯」で3日間の汚れと疲れを落として帰宅しました。料金はタオル別で750円。ロッカーは受付で渡される鍵に対応したものを使います。大小ありますが、登山者と見てか、ザックが入る大きなロッカーをあてがってくれました。
関節の痛みは、なし。トレイルランニングを始めた2年前にも雲取山を下りましたが、途中で膝が痛くなり、時間が押して夜間走行を強いられました。今回は当時よりも大荷物で、より長距離を行動したにも関わらず、トラブルはありません。少しは成長できたのかと、感慨深いです。
奥秩父主脈の縦走は、70kmの行程の中で百名山を3座通り、花崗岩の峰から笹の尾根へ、景色の変化を楽しめました。テント場が点在し、自分のペースに応じて宿泊地を調整できる良さもあります。
満足のいく旅でした。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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最近は本格的な奥秩父縦走は少なくなって来ていますが、お疲れさんです、
いつも書かせてもらっていますが、昔の山ヤは奥多摩から丹沢へそして奥秩父と進みました、
昔は零細企業で働く身なので精々夜行日帰りが限界な私自身は、
休みの関係上実現できませんでしたが、
連休があり先輩と秩父の笛吹川の東沢を登ったのが唯一の奥秩父山行です、
当時は増富までは誰とも会わなくて、静かでしたよ、
奥秩父縦走の山行記録のコメントには先輩の記録として参考に書かせてもらっていますが、
奥多摩の石尾根から雲取から金峰山迄夜行で行き2日です、
参考になるか解りませんが一応書いて見ました、
先輩は氷川(今の奥多摩駅)を21時00分に出発、七ツ石山→雲取山(5時00分着)→
雁坂峠(16時00分ツエルトで仮眠0時40分発)→破不山(3時15分)→
甲武信ヶ岳(5時30分着)→金峰山→増富(17時00分着)です、
当時は小屋などはお金の関係上利用できませんしたから、
奥多摩>丹沢>奥秩父と、難易度を上げていったんですね。縦走路の長さ、森林限界を超える標高など、奥秩父は雰囲気が違いました。
東沢から増富へというと、沢登りから国師ヶ岳・金峰山経由で縦走されたのでしょうか。私は沢登りの経験がなくて不案内ですが、縦走の手段として沢登りすることもあるんですね。
先輩の記録は、ただただ恐れ入ります。
前半の行動時間19時間、仮眠を挟んで16時間行動とは・・・体力だけでなく、精神力も要求されそうです。私なら、まず仮眠から起き上がれない
奥多摩駅が改名されたのが1971年とのことで、それ以前からツェルトを積極的に使用されていたんですね。
今回の山行で使った金額は、8000円弱です。内6000円が特急とバスの運賃。テント泊は経済的ですよね。準備を整えるまでに投資が必要ですけど
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