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「ぜんたい、ここらの山はさびしいわねぇ。林の中は薄暗いし、花もあまり咲いてないし、なんでもいいから早くきれいな花が見たいわねぇ」
「つつじの紅い花の繁みなんか2,3ヶ所にでもあれば、ずいぶんきれいでしょうにねぇ」
雑木林の道は、ゆるやかな登り下りを繰り返しながら、のびやかに続いておりました。
ときどき風がドドウッ、ドドウッと二人を吹きぬけてゆきました。
「なんだか熊鈴の音がしないと、さびしいわねぇ」
「熊鈴は持ってきたけれど、まさか熊もいない鎌倉の山でリンリン鳴らすわけにもいかないわねぇ」
二人は電車を降りると、お昼ご飯も食べず、すぐにあるきだしてしまったのでおなかもすいて喉も渇き、少しばかり不機嫌になっておりました。
「ちょっとばかり喉が渇いたし、どこかで休んで何かおいしいお菓子でもたべたいわねぇ」
「こんな山のなかにも、軽いものでも食べさせてくれる喫茶のお店でもあればいいのにねぇ」
風がドドウッ、ドドウッと吹くたびに木の葉が、ザザアッ、ザザアッと揺れておりました。
道が小高くなった二股の分かれ道になると、そこに看板があり右の小道に向かって大きな矢印が書いてありました。
看板には”喫茶と軽食・樹ガーデン”と、お店らしい名も書いてありました。
「こんな山のなかに、本当にお店があるのかしら」
「とにかく行ってみましょうよ」
ゆるい下り坂を少し行くと森のなかに一軒の家が見えてきました。
ケヤキとクヌギの林の中に、山の斜面に突き出した赤レンガの広いテラスが幾層にも重なるとても素敵なお店でした。
ドドッ、ドドッと吹く風でザワッ、ザワッと揺れる新緑に包まれて、テラスで二人はリスと遊びながらおいしい珈琲と軽い食事を食べて、ゆっくりと時間を過ごしました。
「こんなに山のなかなのに、こんなにいいお店があるなんて夢みたいね」
「ほんとだわねぇ、みんなに教えてあげなくちゃ」
もう二人とも花の少ないことなどすっかり忘れて、ご機嫌は上々になおっておりました。
見渡す新緑の林を、風は相変わらずドドウッ、ドドウッと吹き抜けておりました。
相宮澤 賢治郎


*北鎌倉から浄智寺の横を入り、山道を登ると源氏山の葛原岡神社に出ます。
そのまま源氏山公園を抜けると、大仏ハイキングコースに繋がります。
大仏に向かってコースを進み、左の佐助稲荷への分岐を過ぎて右本道を暫らく登り下りを繰リ返すと、右側に道標がありその近くに軽食喫茶の店”樹ガーデン”(いつき〜と読む)の看板があります。
大仏への道標が指し示さない右の脇道に入り、それを下ると林の中に空中庭園のような赤レンガ造りの大きなテラスを持つお店があります。
そのお店を、宮澤賢治の語り口を真似て紹介しました。
特に新緑の頃は、大自然に包まれたティータイムをゆっくり過ごすには最適なお店です。
付近には野生のリスが多く棲息して、その姿をしばしば見る事が出来ます。
雨天休業で晴天の昼間のみ営業しています。
テラスは緑に囲まれ静寂そのもの、文句なしに素晴らしいロケーションです。
お薦めです。ainakaren
*関連ハイキングコース案内 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2615964.html
最後は食われてしまうのかと期待して読み進めましたが、実在のお店なのね。
山のデータで登録するといいかも。
語り口は宮澤賢治の寓話風ですが、実在するお店です。
山の中にあるので、徒歩でしか行かれません。
人知れず、ひっそりと営業しています。
外国からの客人を鎌倉の山に案内するときに、このお店に連れて行くと、とても喜ばれます。
ビールなどの酒類も飲めますよ。
新緑の頃が最高です。
お値段は普通だと思います。
食べられちゃうなんて事は決してありませんから、ご安心下さい。ren
茶屋があると訳も無く吸い込まれて行く軟弱maruに合うコースですね!
友人といってみようかしらん♪
山行レポには「二人のまだ若い(と自分では思っている勘違い)女が、すっかり山ガールの(格好をしてるつもりが程遠い)かたちをして。。。」と編集しなければ
このお店に行くのには、この記事のように大仏ハイキングコースから入るか、もう一つは鎌倉駅前の市役所通りから気の遠くなるほど長い階段を上るかしかありません。
階段は長いですが谷川岳の土合地下駅ほどではありません。
昭文社の都市地図、「神奈川県5、鎌倉市」は鎌倉の山歩きに最適な地図ですが、このお店が”カフェテラス・樹ガーデン”とはっきり掲載されています。
長谷トンネルの近くです。
鎌倉のハイキングにはこの地図をお薦めします。
さて、宮澤賢治が山ガールを見たらどのように書いたでしょうかねぇ〜。
山行記録の編集は、思いっきり脚色して絶世の美女山ガールに書いてください。
お店のロケーションが最高であることは保障しますよ。ren
RENさんの日記を読んで、すっかり行ってみたくなりました。
雨天休業・・・梅雨が開けたら友達を誘って歩こうかな。
若い山ガールのつもりになって・・・。
chanqさん、こんにちは。
テラスは露天で天井が無いから、雨の日は営業できませんね。
客も来ませんしね。
心配なら電話で確認したほうがいいかな。
0467−23−3947
飲物と料理は建物の玄関で注文してからテラスのお好みの場所に座っていれば届きます。
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