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(階段で冬眠中 -1)https://www.yamareco.com/modules/diary/181745-detail-325964
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4月5日。
翌朝の私は張り切っていた。
「あんなに痩せたコウモリちゃんに、なにか食べさせてあげなくちゃ!」
と、野生動物へ対するにはややおせっかいな使命感に溢れていたのである。
本当は余計な手出しなのだろうと思う。
ただ、このままダメだったとしても、コンクリートのマンションの階段なんかで死んでほしくないという思いがあった。
我ながら理屈の筋が通っていないと思うし、うまく言語化できないけれど、多分に感情的な、自己満足的な行動なのかもしれない。
夏場に道路に落ちているセミを拾って植え込みに移動させるのも、そうした思いがあるからだ。
「ここで私と出会ったのも他生の縁、少し付き合ってもらうぞ」
という気持ち。
昆虫食であるらしいヒナコウモリに、何を与えたら良いだろうか。
先に見つけたブログでは、ゴキブリ(爬虫類の餌用に売ってるやつ)やジャイアント・ミルワーム(同じく餌用に売ってるやつ)を与えていた。
うーん…ゴキブリは、ちょっと、無理…かもしれない。
ジャンボワームなら動物園のイベントでインコやオウムにあげたことがあって、もしかしたら頑張れるかも…でもミルワームのほうが小さくてありがたいな、ミルワームじゃダメかな。
あれこれ考えながらマンションの階段を昇っていると、手すりに止まった一匹のアブ(注1)と目が合った。
「よし。すまないが、あんたはコウモリちゃんのご飯になってくれ」
同じ生き物でもコウモリは保護して、アブは餌にする。我ながら筋の通らないことである。
コウモリ同様、寒さで動きの鈍いアブは簡単に捕まった。
もう1匹、小さな蛾(注2)も捕まえた。3〜4センチほどの大きさで、もしかしたらコウモリの口には大きすぎるかもしれないが、羽根をとって身の部分だけならいけるのではないか。ゴキブリやジャンボワームよりはぜんぜん小さいと思う。
早速ヘッドライトをつけて、まだ暗いベランダへ出る。
段ボールのフタをあけてみると…コウモリがいない。いや、いた。箱の側面にぶら下がっていた。
段ボール箱に元々あいていた小さな穴に足の指をひっかけて逆さに寝ている。
さすがだ。
この狭い真っ暗な箱の中で、そんな器用なことができるとは。
案外、元気なのかもしれない。
(注1)ハナアブの何かと思われる
(注2)ハスオビエダシャクかと思われる。
(つづく -6)https://www.yamareco.com/modules/diary/181745-detail-327477
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