８月30日（月）貝づくし考古学②ベンケイ貝

2021年09月02日 01:24講演会・研究会全体に公開

8月８日に、あいち朝日遺跡ミュージアムでの講演会が中止になり、市原市の忍澤成視氏の講演を聞き逃した。幸い、朝日カルチャー千葉教室で表記の講座があり、忍澤氏の講演を聞く機会を得た。忍澤氏は、縄文～弥生時代に出土する貝や貝輪装飾品などの専門家で、とりわけ出土貝製品などの同定や、貝原料の原産地、入手方法、加工方法などについて、市川市や房総半島のみならず伊豆諸島や全国各地の海岸や遺跡を歩き回って、その解明に成功した研究者。朝日カルチャーにもおそらく同氏の貝輪づくり教室などの参加者らしきファンとおぼしき女性たちが多く参加していた。各地で集めた赤貝、ベンケイ貝、サルボウなどから貝輪製作実験を繰り返し、また様々な貝類の生息環境・生態や貝類同定方法を研究、さらには、深い砂地産の貝類をどのように集めたのか、そうした方法などを詳細に調べ上げ、採取しにくい貝類などは、海流に乗って浜に打ち上げられる場所が全国各地にあること、そうした場所の近くに貝輪などの製作遺跡が多いことなど、これまでよくわからなかったことを突き止めたのは同氏の大きな功績だろう。
　例えば昭和3年に中山競馬場建設の際に発見された「古作貝塚」からは蓋つきの縄文時代の壺から51点のフネガイ科の貝の貝輪が出土、東京大学人類学教室が所蔵し、当時の八幡一郎氏はサルボウの貝輪と報告したが、忍澤氏はその出土貝輪類を調べなおし、その中にベンケイ貝が多く含まれていることを突き止めた。フネガイ科にはサルボウのほか、ベンケイ貝やサトウガイなどがあり、大きさや厚み、放射肋とその間の距離などが微妙に異なることから、貝類同定を進めていた。またサトウガイなど外洋の海底に生息する貝類をどのように採取したのか、各地の海岸を歩いた結果、海流や台風などで浜に打ち上げられる場所があることを発見、また縄文時代各時期により、好まれる貝類の種類が変化することからその謎を突き止めるべく、製作実験を繰り返し、その加工方法、製作しやすさ、破損個所、美しさなどを調べて、縄文後晩期になぜベンケイ貝の貝輪が好まれたのか、その秘密に迫った。フネガイなどの二枚貝の先をくり抜いて貝輪を作るときには、割れやすい箇所があり、ベンケイ貝は比較的割れにくいこと、手にはめたフィット感や色調が美しいことなど、好まれる理由があったこと、また房総の鴨川の蓮沼や前原海岸など、台風の後などに突然大量にベンケイ貝が打ち上げられることがあるなど、全国各地にこうした貝類が打ち上げられるポイントがあるそうだ。

　私もビーチコーミングをしてみようかな？

2021-08-23 8月22日（日）⑥見附から県埋

2021-09-03 ９月３日金曜日　安土城考古資料

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