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写真��同大容量須恵器甕
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早朝、テニスのイタリア国際でジョコビッチとルードの準決勝の途中だったがジョコビッチの復帰復調で勝負は明らかに見えた。昨日は雨の中相模原市をシェアサイクルで走り回り、やや疲れたが今日は陶邑と初期須恵器に関する講演があるので、東京駅から始発のひかりで出かけた。陶邑について深く勉強したことがなかったので良い機会と考えた。東京駅始発のひかりで新大阪に出て天王寺から近鉄で喜志駅に出て、バスで近つ飛鳥博物館下車、遊歩道を歩いて博物館に出る。
陶邑須恵器窯跡や須恵器生産については余り良く分からないので良い機会かと思い近つ飛鳥まで出かけてみた。展示は一部屋だけのこじんまりしたものだがTK73よりも古い最初期の須恵器生産と思われる大庭寺山遺跡の出土品が大阪府の指定文化財となった記念に開催されたもの。
大庭寺遺跡は1990~91年の阪和自動車道建設に伴う調査で見つかりそれまで最古と考えられていたTK73型式よりもさらに形態や文様、技術が三国時代の百済や栄山江、伽耶地域などの陶質土器の特徴を色濃く残す土器であった。日本の須恵器やその後の窯業生産を考える上で重要資料だと解説パンフレットでは述べている。
発見された窯跡からは失敗して歪んだ形の須恵器や灰原という窯を開けて焼き物を取り出す際に出てくる炭について展示や解説がある。野々井西遺跡のON231号窯跡の灰原の炭の分析から時期は四世紀末から5世紀前半を示していた。
韓半島の研究者は漢城で出土する倭製須恵器の年代を5世紀半ばとしており講演の中久保氏は日韓のみならず本家の中国や北東アジアを含めた陶質土器の年代比較を進める必要があるという。
面白かったのは韓半島や中国などの世界では陶質土器出現以降はそれ以前の土器は廃れていったが列島では須恵器と伝統的な野焼きに近い土師器が廃れずに共存し、平安時代になるとむしろ土師器の方が生活用具としては好まれるという列島独自の道を歩むこと。須恵器はどちらかというと数百リットルというと大容量の甕、保存容器として酒や発酵調味料などの保存容器として使われたという。一方、こうした須恵器の製作技術はその後の列島の窯業の発展の基礎を築いたのだった
初期須恵器の生産を担った技術者、陶工らの工人は主として韓半島南部、伽耶地域から招聘されたが、出土品を検討すると伽耶だけでなく百済や栄山江など多くの地域のえいきょうが読み取れるという。また韓半島では陶質土器は地域性が強く同じものが広域に流通することはなかったが、列島では同じような製品が北は岩手県南部の最北の前方高円墳の角塚古墳を築いたであろう中半入遺跡からも南九州からも出るという広域流通センターをしているという大きな違いがある。韓半島などでは煮炊きにはやがて銅鍋などの金属器が用いられ、陶質以外の土器は失くなっていくが列島では使われ続けるというのも面白い文化と歴史の違いだ。
講演が終わり急いで会場を後にして館を出て階段をかけ登りバス停へと急ぐ。３時十分の喜志駅行きバスに乗るためだ。外は天気予報と異なり寒い。今日は蒸し暑くなるとの予報を信じて半袖ニッカの薄着だったが裏切られた。寒さに耐えてひかりで帰宅した。
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