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写真2.千葉市埋蔵文化財センター展示の早期の土偶
写真3.同千葉市指定重要文化財
土偶研究会が千葉市で開催されるので応募して覗いてみた。山梨や遠くは青森から、土偶研究に携わる考古学者らが集まる。今回のテーマは初期土偶。縄文時代早期前期の全国的にも出土例の少ない難しいテーマだ。半世紀前には六例位しか発見されておらず、その後の発掘調査の急増＝高度成長やバブル時代の乱開発＝により、現在ではおそらく300例くらいはあるかもしれない。それでも縄文時代中期から後晩期にかけては、急増しおそらく三万点近くなるのではなかろうか？その中の300は少ない。
資料集を開くと東北、北海道、東関東、西関東、北陸中部高地、東海などの大きな地域別に主として形式学的な初期土偶の研究が並んでいる。冒頭にこの分野に長く関わる文化庁の原田氏がこの半世紀の初期土偶研究の概要とご自身の研究について話をされた。旧石器時代の大分のコケシ形岩偶や、顔を表現した土製品など扱いの難しい土偶類似品をどう考えるかなど基本的な問題を論じた。おそらくこの場に来ている人々は先刻承知の内容だろう。
冒頭に司会者から最近話題になっている人類学者の竹倉氏の土偶植物祭祀論に関して研究会誌DOGUで特集(批判的立場で)を出す予定で、批評論文、エッセイを募るようだ。形式学を中心とする考古学研究者の間では竹倉土偶論の評判は極めて悪いものだが、欧米のような考古学と神話学、宗教学、美術史などの境界領域の研究に乏しい日本の考古学者があまり釈迦力に否定するとかえってやぶ蛇になる恐れもある。竹倉氏の植物祭祀論もあまりできがよいとも言いがたいが、なめて掛かるとかえって考古学者の視野の狭さを露呈することにもなりかねないと危惧を抱いた。私が不思議に思うのは、際初期の土偶は、主として西日本に現れ、その後西日本では、土偶がなくなり、東日本で激増し、縄文時代後半期に西日本にも伝わると言う謎をどう解くのか？植物と関係があるなら、気候が温暖で植物利用が早く始まった西日本でもっと長く土偶祭祀が続いても良さそうに思うが全く土偶のでなくなる時期が結構長いのはなぜか？東日本では、気候がやや寒いのでより植物祭祀が発達したと言うのだろうか？それにしても初期土偶のヴァイオリン形の小さな土偶は女性像にしか見えないが、竹倉氏は、初期土偶に関しては論じていないようだ。ただし形式学は大事だがそれだけで土偶の意味が見えてくるわけでもない。それを彼らはどう乗り越えようとするのか？今日の議論ではさっぱり見えてこないのも確かだ。
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