７月２０日(土)生駒山西麓産土器に関する研究史ー大阪弥生文化博物館講演会

2024年07月21日 07:28講演会・研究会全体に公開

７月２０日(土)生駒山西麓産土器に関する研究史ー大阪弥生文化博物館講演会

午前中、大阪弥生文化博物館の土器研究の可能性という企画展の展示解説を聞き、午後には、関連講演会の第一回として、展示解説をして、この展示の企画責任者の学芸員の、三好玄氏の展示の見所の解説のあと、神戸市文化財局の荒田啓介氏が生駒山西麓産土器研究史の話をされた。
　ところが東京からの急用でこの話を聞くかとができず、当日資料からポイントを書くことにした。
　この講演の内容は令和２年度まで行われた愛媛大学の科学研究費の報告書によるものだ。　
　最初に三好氏からも話があったが今回の企画は普段博物館では土器そのものを大々的に取り上げることはほとんどないこと、素人には分かりにくく皆同じに見えるなど、館長からから昔釘をさされたこともあったが、今回は意を決して土器変愛車の研究をシェアすることにしたという。拍手喝采‼?
　最初に生駒山西麓産土器が見つかる現場の紹介。、埋蔵文化財包蔵地で地面を掘削する作業ー住宅建設、道路建設などー
　　この後現場の写真を幾つか紹介したようだが見れずに残念です。
　３、生駒山西麓産土器の発見
今里幾次ー在野の研究者ー弥生土器、古代瓦などで著名らしい。
　市ノ郷遺跡ー昭和18年「播磨市ノ郷弥生式遺跡の研究」の中で国鉄姫路貨物駅操車場拡張工事(1941年)の際に市ノ郷廃寺の塔心礎残存土壇の北西から、大量の弥生土器が出土。その後播磨弥生土器を第一類から４類に分類、前期後半から後期の土器編年を試みる。この内第三類を市ノ郷式として、「雲母土器」を河内、讃岐、吉備からの搬入土器と指摘。
　4.生駒山西麓産土器のポテンシャル
　この土器は、焼成時にチョコレート色を呈し、生駒山地由来の角閃石粒(黒い粒)を含有する。
　(同時に雲母は光を当てると光る)
　3.土器が移動する時は人が移動する時
　４、今里の研究を次に進めたのは佐原眞ー生駒山西麓産土器は、個性的なため小さな破片でも特徴を掴める場合が多い。このような土器は西麓から二三キロメートル離れた集落まで運ばれている。
　さらに、
１、摂津の遺跡から出る生駒山西麓産土器は、紋様で飾られた器種が壺や鉢に限られ、河内の産物を運ぶ容器として、交易に使われたと推定
２、堺市西区四ツ池遺跡出土生駒山西麓産土器は、一通り器種が揃い河内の人が土器を携えてこの地を訪問したと指摘
３、摂津よりも和泉の集落の方が河内とより強い結び付きがあった
　次に都出比呂志は、人の移動を４類型に分けて説明。
　移動A類型ー貯蔵具が動く
　B類型ー貯蔵具、供膳具、煮沸具のほか土製紡垂車も動く場合～、５～10％＝生活営む場合
　C類型ー容量３リットル前後の庄内甕～土器そのものが商品か？
　D類型ー墳墓に供献または土器棺

4-8 生産地以外で見つかる生駒山西麓産土器ー秋山浩三説
　搬入A類型ー引っ越し型ー器種の多くが搬入、煮沸具があること
B類型ー貯蔵、供膳、煮沸全ては揃わず、貯蔵具主体～内容物の交換または、加飾土器そのものに価値？
C類型ー特定器種搬入が遺跡数
、土器量で突出ー特産品として商品移動
D類型棺転用、墓供献土器ー葬祭型ー墓の被葬者、縁故者の
出自と関係する土器移動　

4-7生駒山西麓からの移動時間と距離

4-8 時巻軸図る物差しとしての役割

5.秋山浩三賛歌
5-1生駒山西麓産土器を極限まで追及

5-2生駒山西麓立地遺跡と京都乙訓出土縄文ー平安時代土器の製作、生産状況概観、
搬入背景。類型化
弥生時代前期は引っ越し型A類型
中期は宅急便型B類型
5-3後期は、前半はB類型、宅急便型、後半はA類型、引っ越し型ー拠点集落の解体、小規模化

さらに、胎土分析による土器の分類、器種別、時期別搬入量の比較

６、近年の研究動向
①川上洋一(橿原考古学研究所)奈良県西部における生駒山西麓産土器の搬入の時期別様相
方形周溝墓からの出土多いー異なる地域的性格
②長友朋子(立命館大学)による讃岐、吉備、播磨、摂津などの搬入土器に着目、および他地域との併行関係の検討
③濱田延充(大阪公立大学)集団墓供献用生駒山西麓産土器の優品を入手できる集団の存在を指摘、
　弥生後期初頭の、生駒山西麓産土器搬入品から見て河内から讃岐への製作者移住または、土器製作への関与があった。
④荒木幸治(赤穂市教育委員会)ー南播磨から北河内にかけて集成した生駒山西麓産土器の分布を整理、在地土器との割合は１％に満たない。
この土器は商品として流通したものでなく人の移動により持ち運ばれた結果の蓄積
　この土器の分布は、弥生人の活動範囲を反映したもの。

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