猪熊隆之氏の山岳気象講座その2「山岳気象の3要素」を受講
今回は「山岳気象の三要素」というテーマで
1)上昇気流、2)水蒸気量、3)大気の安定性を概説
山岳気象の第一人者の猪熊氏の著書は素人にはなかなか難解で、わかりにくいところがある。それは、気象という複雑な現象、宇宙・地球との関係を原理的に説明しようと試みているために、わかりにくいのだと思われる。勉強あるのみだーー。
雨が降るのは雲が湧くからーー雲は上昇気流などにより生じ、上昇気流は地球の温度差などから生じ、山岳地帯では地形との関係で、風が山にぶつかり、上昇するーー。
特に海を越えてきた湿気の多い風が山にぶつかり、上昇気流が発生すると、風上側では雨などが降り、風下側は山側から下降気流となり、天気は安定する。
上昇気流が雲を生み出す仕組みは、例えば地表が30度とすれば、標高が2千m、3千mと上昇すると10℃,5℃と気温が下がり一定体積当たりに保持できる水分が少なくなり、やがてあふれ出て雲になる。
2)水蒸気の量
富士山の夏は、太平洋側で太平洋高気圧や台風の影響で暖かく湿った空気が海側から流れ込み、静岡側で大雨になることが多いが、山梨側は好天に恵まれることが多い。
ヒマラヤでは同様にインド側のアッサム(世界一の多雨地帯)では大雨が続いても、チベット側ではシベリアの寒冷で乾燥した高気圧から冷たい北風が吹き、乾燥しているために雲はあまり湧かない。知りたい地域の天気は、空気にどのくらいの水蒸気が含まれているか(湿度)が雲や雨の量の予測に重要ーー
3)大気の(不)安定度
元来暖かい空気は軽く、冷たい空気は重いが、実際には地表付近は暖められ、上空は冷たい、空気にはストレスのある状態にある。この状態でも空気はある程度まで許容できるが、強い寒気が流れ込むと、この安定が崩れ、強い上昇気流が発生して、普段雲ができない高さまで上昇、アルプスなどの鉱山の山頂付近でも大荒れになりやすい。シベリアからの寒気団の状態などは高層天気予報などを見なければならないーー
大気の特性と体感温度:
大気というものは、地球の引力に引っ張られて、薄皮のように地表付近に張り付いている。様々な物質を含むがその多くは太陽光を好まずに地上まで通過する。大気がなければ地表の平均気温はマイナス18℃になり、二酸化炭素、水蒸気、オゾンなど太陽光を好むものが、熱を含んでいるため、地表の温度が保たれている。地球温暖化にも大きな影響がある。
アルプスなどの高山を歩くと、直射日光が強く、気温以上に暖かく感じることが多いが、逆に日がかげり、風が吹くと、急激に冷たく感じる。ゴールデンウィークの八ヶ岳やアルプスでは夏山と冬山の両方の要素があり、服装、装備に悩むことになるが、風対策、防寒対策を怠ると遭難に直結。
気圧と風:
等圧線の見方と風向きに関して説明がある。気圧の高いほうから低いほうに風が吹くが、地球の自転の影響で90度近く曲がり、等圧線とほぼ平行に風が吹くように感じられる。
低気圧が接近、通過する場合、太平洋側では南の海側から強い風が吹き、天候悪化する場合が多いが、通過すると回復する。
しかし日本海側では通過した後でも日本海側から北風が吹き込み通過後に天候が急変し、悪化するケースが多く、通過して天候回復と思い込んで遭難事故につながることがある。このほか、ジェット気流や山風、谷風など盛りだくさんの話が聞けてよかったが、理解できたとはとてもいえない。気象は難しいーー。
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