東博で解されている「黄金のアフガニスタン」展を、平山郁夫美術館の学芸員による解説で見た後、東京芸大の関連企画展「バーミヤン大仏天井壁画」展を見る。東博のアフガニスタン展は、バーミヤン石窟などタリバンらによって破壊された文化財とさらなる破壊からどう守るかーーアフガニスタン政府の文化財関係者が命がけでかくして守った文化財と日本などに流出した文化財を文化財難民として、その保護を訴えた平山郁夫氏の遺志を継いで流出文化財をアフガニスタン政府に返却することを前提に、アフガン政府が守った文化財の一部とともに展示が構成されているもの。テペ・フロール(紀元前2千年)、アイ・ハヌム(ヘレニスム時代)、ティリヤ・テペ(1世紀)、ぺグラム(クシャーン朝)、流出文化財の5部に分けて展示されている。とりわけティリヤ・テペ遺跡のお墓の出土品は非常に繊細な金の装飾品がすばらしい。遊牧民族の王族の装飾品らしい、部品の取り外し可能な王冠などは、シルクロードを辿って中国・朝鮮半島を越えて、日本の藤ノ木古墳出土の黄金の王冠に通じるものがあるという。しかし仏教的な文様と解説されたメダイオンに関しては、果たして仏教的かどうか前田氏は疑問を呈する。車輪は法輪と解釈しているが、仏陀ではなくヘラクレスが武器として車輪を持っていると解釈できるという。今回、アフガニスタン側が展示品を日本に持ち込んだのが展示会直前で、十分研究する時間がなかったかもしれない。クシャーン朝時代の部グラム遺跡出土品に関しては、象牙の工芸品などインド的な色彩が強いものが多い。衣装が遊牧民は厚い乾燥気候の土地で、長袖、長ズボンのような衣装が多いが、インドは裸に近いような衣装で、豊満な体を大げさに表現しているが、インドに行ったら実際にそのような女性を見かけたと苦笑。
東博を出て東京芸大の天井画展示を見る。
この展示は東博の展示会に合わせて、芸大によるハイテクを駆使して破壊された天井画や壁画の復元に挑んだもの。破壊される前に日本人研究者により撮影された物を元に、ハイテクを駆使して復元に挑んだという。
写真1)アイハヌム・ゼウス像復元:残されたのは左足崎だけだが、これまでの様々なゼウス像を元にして想像復元に挑んだもの――面白い復元だーー。
写真2)仏座像壁画 クローン想像復元:ハイテクを駆使してクローン・レプリカを作り、さらに顔の想像復元に挑んだもの
写真3)天井壁画の復元作品の一部
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