今回の最後は、名古屋のあさひ遺跡ミュージアムの「むしのしらせ」展。小学生向けの夏の動物に因む企画展で虫を主題とした。先週、同ミュージアムの講演会で、昆虫考古学者の森先生の講演会があったのだが、急用で参加できず当日参加でないと資料も貰えず残念。先生の本でも読むかー 館内では学芸員による展示解説映像が流されていた。銅鐸には、カマキリ、クモ、トンボなどの昆虫やヘビ、カエルなど害虫を食べるものが描かれている。農耕段階に入って急に害虫に悩まされたことだろう。高床倉庫も、ハシゴは外されるようになっており、害虫が侵入できないよう策を尽くしたのだろう。また、纏向遺跡から、チャバネゴキブリの化石が出ている。縄文時代から、悩まされたのかも知れない。御所市の縄文晩期の遺跡から、ノコギリクワガタの全身像が出土、この頃はクワガタの住むクヌギ、コナラなどの広葉樹の雑木林があったことがわかり、次の時代には切り倒されて農地となり、こうした昆虫は姿を消す。同様に朝日遺跡でも当初は雑木林にいるような昆虫がいたようだが、森が開墾され、農地など人の住む環境を好む虫や害虫が増えてくる。さらにゴミムシやフンコロガシなど環境の悪化を示す物が増えてくる。集落が衰退すると森林やそこに住む昆虫が復活してくるなど、残された遺物から当時の環境の変遷が見えてくるのが面白い。こんな時代から人類は環境破壊を繰り返してきたわけだ。
また、弥生時代には、コメなどの作物ばかりでなくカイコを飼って絹を生産することも大陸からもたらされた。貝輪等に付着したわずかな絹の残存物を発見する考古学者の眼力も大したものだ。カイコは外から入ってきたが、会場でも展示されていた山繭はどうなのか?弥生時代には糸を取ったらしいが縄文人はどうだったか?遺跡からでてくるムシの痕跡から、当時の社会を考えてみるのも面白い。
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