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写真１：出棺前
写真２：サカタのタネ百周年イベント（掛川）
写真３：イベントの球根ベゴニア・フォーチュンの展示
母の思い出
1． 母の子ども時代
母は小柄でしたが、足が大きく靴選びに苦労していました。もし少女時代にを戦争出なく平和なで栄養状態の良い時期に過ごしていればもっと背の高い女性だったかもしれません。子ども時代の母はやや風変わりな少女で、叔父らと虫とり
に熱中したり、隣の経堂まで砂利道を下駄で走って鼻緒を切って裸足で帰宅したり、多摩川に台湾育ちの祖母が伝授した水府流と得意の平泳ぎで泳ぎ回って地元の人に河童と間違われたりしたらしいです。水泳は七十台半ばを越えるまで区民プールに通っていました。また家族と川や海に時々釣りに出かけたりしていたこともあったようてす。
2.コーラスとの出会い
結婚前の娘時代には銀座の東京デパートに勤め、この時期か女学生時代にはニコライ堂の合唱団でコーラスの楽しさを知ったようです。結婚後アルバイト先の知人から生活クラブを勧められそれ以来五十年ちかく、時には苦手な役員までやったこともありました。一番の楽しみだったコーラスはマザーグースとの出会いがとても大きな出来事でそこで五十年以上歌ってきたのではないかと思います。その後、生活クラブの関係でグリーンエコーという合唱団の立ち上げにも参加して、一時はコーラスを三つも四つも参加し体操教室や水泳教室など掛け持ちで忙しい日々を過ごしておりました。
3．山歩きなど
高齢になりまだ体が動いていた７０台半ばまでたまには私が母を山に連れて歩いたことも思い出されます。中でも７０を越えたこころ八ヶ岳の蓼科山に登った時のことは記憶に残っています。このころは山では母のような年齢の登山者はまだ少なく、よく母に最敬礼するような人もいました。蓼科山は新幹線の佐久平駅からバスを乗り継いで蓼科牧場に出てゴンドラで七号目登山口から蓼科山頂を目指しました。私の計画ミスで日帰りは出来ず、母は山頂手前の蓼科山荘に入るなり倒れ込んでコタツに入って体を休めました。季節は夏の初めだったか、タカネザクラが咲いており、山頂ではミネズオウやコマクサも咲きはじめていたように記憶しています。山荘は音響設備のこった造りで食事後歌や音楽か始まり母も懐かしい歌を沢山唄いました。その後米沢市の西吾妻山に二人で歩いたのが最後でその時から坂を登ることが苦しくなってきました。
4．自転車事故と水泳
１５年前くらい前。母７０代後半、自転車事故で骨折して以来、自転車をあきらめ、行動範囲が狭くなりました。水泳は70代まで区民シニア大会に参加し、平泳ぎで上位にいるようでしたが、いつのころからか引退しました。区民プールもバスと徒歩で行っていましたが次第に足が遠のくようになりました。
5．ガーデニング
もう一つ、庭でのガーデニングや区民農園を借りての野菜作りなども長い間楽しみにしていましたが、体の動きが悪くなると、主力は長男の私に移行しました。２０１３年の１１月、母の足がまだ動いているときに、長年の苗や種の購入でサカタのタネ百周年記念の行事に招待され、掛川のイベントに出かけ、コーラスの知人にも話をしていたらしくうれしかったようです。
6．試練−外出が難しくなるー
このころから一人での遠出が難しくなり、八ヶ岳山麓での合宿などにも足が遠のくようになりました。コーラスでの横浜でのイベントなど、渋谷のヒカリエ開業で大幅に駅周辺が変わり、階段の上り下りが苦痛でエレベーター・エスカレーターのある場所しか移動しないようになり、次第に移動エリアは小田急に限定されてきました。５〜６年位前には、つえを突き始め、２〜３年前にはそれでも歩くのがつらくなってきました。それでもコーラスや体操教室には何とか行っていました。豪徳寺の整形外科で骨粗しょう症の治療などを行いながら、コーラスにはタクシーで往復し、合唱団の方々にはずいぶん心配やご迷惑をおかけしたかもしれません。体操教室やコーラスも一つやめ、二つ辞め、最後は２年前くらいに最後のコーラス団からも引退、この２年間は、介護保険で週2〜3回のデイケアセンターと医者通いがほとんど唯一の外出となりました。昨年から足のむくみや炎症値が高くなり、それでも家の中では一人であちこちにつかまりながらトイレやベッドに移動するなど、生きるための戦いを続けました。
7．24時間介護の日々
今年の夏前にはそれもままならなくなり、トイレも介助が必要になり、、６月には足のむくみが容易に治まらず、ついに入院、入退院を繰り返し、要介護度も２から５になり、寝たきり生活に入りましたが、病院のベッドでドイツ語で第九（フォロイデ）などを歌い、周りのベッドから拍手が鳴ったりしたらしいです。退院するたびに元気を回復し、２４時間介護体制を組んでヘルパーさんに一日3回、訪問看護師さんに週一回、主治医に月一回の往診で今後も介護体制を続ける見込みでしたが、ついに10月26日の朝、食事を介助して、朝食をとっている最中に急に呼吸しなくなり、救急を呼んで病院に行きましたが蘇生できませんでした。しかし、苦しむことなく自宅で静かに息を引き取ったこと、顔は笑っているように見え、幸せな最期だったと信じます。
8．母を支えた皆様に感謝
父が介護病棟で、胃ろうなど不自然な延命措置を行い、最後はあまり幸せな亡くなり方ではなかったので、母にはできれば自宅で静かに最後を過ごしたいという希望があり、もう十分生きて幸せだったという気持ちだったと思います。そこで、退院後は自宅で過ごせるようにケアマネージャーや病院のソーシャルワーカーに協力をお願いし、皆さんの努力でよいヘルパーさんや訪問看護師が集まり、介護体制を作りました。約1か月半くらいの間でしたが、こうした自宅介護ができたのは、こうした関係者の強力なサポートのおかげでした。ケアマネージャも生活クラブに関係するグループで、散らかっていた家の片付けも今回の葬儀も生活クラブに関係するグループの皆さんにお世話になりました。最後まで歌い続けようとしたグリーンエコ―という合唱団も当初は生協との関係で出発したものでした。生協と花とコーラスと水泳に支えられた人生でした。
皆様、本当にありがとうございました。
