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2022年03月05日 12:10博物館、展示会、美術館など全体に公開

3月5日 まほろん20周年記念講演会

福島県の白河にあるまほろん県文化財センター白河館20周年記念講演会を聴講するためやまびこで新白河まで行きタクシーで白河の小峰城址歴史館に向かう。
 タクシーの運転手に城址からコミネル文化センターに向かう道を尋ね、Googleマップでみた通りの回答だった。小峰城址歴史館に入り、展示を見学。まず3D画像による小峰城址の歴史の概要を確認し、展示室に入る。中世では無論石垣ではなく、土塁主体の防御的施設で天守閣などは無論なかった。後醍醐天皇、足利尊氏の時代に城址の歴史が始まり、秀吉による没収で結城氏支配は終わる。会津藩の領地となり蒲生秀行時代に城下町が整備された。近世城郭は寛永四年丹羽長重により大改修があり完成された。
 展示室2.3ではこれらの主要人物にまつわる美術品や書状などの貴重な資料が展示されていた。
 見学を終えて復元された石垣や門と三重櫓などを見学。三階まで急な階段をロープに助けられて登り町並みを見下ろす。駅の向こう側には外側の城跡の遺構が出ており広場になっていた。そうしてみるとこの城の本当のスケールが分かる。
 三重櫓から急いで線路の反対側のコミネスまでトンネルをくぐって移動、公園がわから建物に入る。受付で資料を受け取り指定された席に座り開演を待つ。
 最初に主催者挨拶のあと菊池徹夫館長からまほろん20年の歩みや話があった。初代館長がもう二つの日本ろんを書かれた藤本強氏であることを思い出した。その藤本氏が出張先のドイツで急逝され一年後に悩んだ末に菊池現館長が大学定年後に引き受けられたこと、その前にまほろん設立の話が進み、その愛称を公募した際にまほろんというていあんがあり、意味はヤマトまほろばのまほろ、と古代史ロマンを合わせてまほろんの愛称が決まったという。会館の際には白河市の多大な協力と地域の学校の参加で開館イベントなどを行ったこと、菊池氏が迷っていたときに東日本大震災が勃発し文化財も多大な被害を受けてその救出が問題になったこと、その事があって館長を引き受ける決め手になったとのこと。被災地における文化財救出、修復などの経験は文化財の保全と活用の重要性、何をすべきかを考える大きな転機になった。さらに今後はコロナ禍で分かったことオンライン化やデジタルアーカイブスの必要性
資料の3D復元記録保全などの重要性など将来はの課題など語られた。大変分かりやすい話だった。
二番目に修復保全科学の立場から福島県文化財センターの中尾真梨子氏が、膨大な内容を持つ文化財保全科学とまほろんにおけるその実践に関して要領よく解説した。一般市民が保存科学や文化財修復の話を聞く機会はそう多くないだろう。ほんの入り口の話だとしても貴重な機会だった。この20年間に東日本大震災と津波、台風被害など、多くの文化財の被災があり、その救出で東北全域をはじめ全国の専門家の支援を受けた地域だけに、その証言は貴重だ。現在まほろんで行われている戦後福島の考古学展でも原発事故の被災で休校となっている県立双葉高校史学部の戦後の福島考古学における活躍とその成果、歴史を展示している。

 午後は白河市の文化財課の鈴木功氏が「白河の歴史的風土」の中で大正・昭和期のパイオニアである岩越二郎と藤田定市両氏の活動が及ぼした大きな影響とそれを受け継いだ戦後の考古学、遺跡の保全と活用がどのように歩んだか、天王山遺跡、下総塚古墳、谷地久保古墳、借宿廃寺、関和久遺跡、舟田中道遺跡などを例に興味深い話だった。とりわけ古墳時代にこれらのいくつかの遺跡がともに関係しあうことを推測するにいたる過程は興味深い。また谷地久保古墳発掘後似たような大石転がっているという話を伝え聞いて現場に行き、谷地久保古墳の石かくの床石と同じ石を見て発掘してみたら何と上円下方墳を発見、翌日の新聞に王家の谷発見の文字が踊った話は中々感動的だ。が戦前にパイオニアのお二人が弟子たちに残すべき重要な場所が戦後から今日まで破壊を免れて存続し、再調査などで国指定史跡となるなど、その歴史を学ぶことができた。
 また最後に同センターのー氏が縄文から慶長五年までー史実への迫り方、として一次資料二次資料史料をいかに読み込むか、同氏の失敗経験を開陳し、例えば沼沢火山爆発による火山灰に埋もれた縄文住居跡の発掘で火山灰の下に黒っぽい土の層があったことから沼沢火山爆発より少し前の時期としたのがその後の別の土地で爆発で倒されて溶けた火山岩が付着した樹木破片が発見されたのを見て、熱風で吹き飛ばされ火砕流に巻き込まれた場合屋根などが一挙に燃え落ちて土の層のように残る可能性を見落としたとして火山爆発で埋もれた住居跡、集落の調査の問題に触れ、また慶長五年の関ヶ原前夜の書状の解釈について書状原本を探して読み直して解釈の間違えに気づいた話など史料をいかに読み込むか、これまでの読み方と異なる見解を持つに至った経緯を語った。
 
 福島県、白河という考古学の歴史の中の一コマの歴史を深く知ることができ、来てよかった。
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